議論ではなく活用の段階に入っている公会計 (2014/9/4 有限責任事業組合 政策支援 細川甚孝氏)
早稲田大学パブリックサービス研究所が主催する公会計改革推進シンポジウム2014「財務情報の開示と活用」―統一基準導入の行方―(共催/株式会社パブリックファイナンス研究所、協力/有限責任あずさ監査法人、新日本有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツ、後援/早稲田大学総合研究機構)が8月27日、早稲田大学にて開催されました。同研究所の招聘研究員で有限責任事業組合政策支援の代表を務める細川甚孝氏のレポートをお届けします。
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前半は記念講演として東京大学名誉教授 神野直彦氏から「公会計の推進のために」、また、基調講演として、東京都町田市長 石阪丈一氏から「これからの自治体経営と事業別財務諸表」のタイトルでの報告がなされた。
後半は、公会計に関する情報公開に熱心な団体・自治体を表彰するパブリックディスクロージャー表彰2013の表彰式、そして関西大学教授パブリックサービス研究所招聘研究員 柴健次氏を司会とし、千葉大学大学院人文社会科学研究科教授 大塚成男氏、愛媛県砥部町企画財政課 田中弘樹氏、総務省自治財政局財務調査課長 原邦彰氏、有限責任あずさ監査法人パートナーで公認会計士の蕗谷竹生氏をパネリストとしたパネルディスカッションが行われた。
全体を通してのメッセージは、「公会計はすでに活用段階に入っている」というものであった。その上で、神野氏は公会計改革の最初の点を再確認すべきことを示した。
最初の公会計改革の始まりは、(1)「結果による管理」としての決算書の改革(2)市民参加を推進し、財政決定権限の市民へのエンパワーメント(3)発生主義導入による貸借対照表や行政コスト計算書の作成にとどまらない(4)財政民主主義の活性化を目指すと観念すべきであるとした。
対して石阪氏は、町田市が平成24年度から新公会計制度を導入し、事業別財務諸表を作成していることに触れ、導入の理由としては、会計情報に関する外部評価と情報提供・情報共有があって、市民協動が成立することを示した。そして課題として、人材、基準づくり、マネジメントへの活用、広報活動などとし、結果的には議会と協動した公会計の改革と実施が職員の意識を変えるとした。
パネルディスカッションでは、モデレーターの柴氏の「公会計は、必要性の議論から、作るための基準作りの段階を経て、今や公会計情報を賢く使う第三段階に突入した」というコメントが印象であり、それぞれのパネリスト達がそれぞれの立場から「賢く使う公会計」へ向けた活動を報告した。
原氏は、総務省としては三位一体化改革の推進、蕗谷氏は、IPSAS(国際公会計基準)についての有用性、大塚氏からはキャッシュフローの3区分分析の有効性、田中氏からは、中小自治体における公会計改革の有用性、必要性についての報告をした。
また、パブリックディスクロージャー表彰2013では、「アニュアル・レポート部門」「ポピュラー・レポート部門」「マネジメント・レポート部門」の分野において以下の団体が表彰された(詳細は早稲田大学パブリックサービス研究所HP参照のこと)。東京都荒川区、静岡県浜松市、岩手県北上市、千葉県習志野市、愛媛県砥部町、京都府精華町、東京都町田市、岐阜県美濃加茂市。
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