[用語解説]外国人献金
公訴時効は3年、宮沢経産相らの外国人献金問題 (2014/10/30 政治山)
10月27日、宮沢洋一経済産業大臣が代表を務めた政治団体が外国人が過半数株を保有する企業から、28日には大塚高司国土交通政務官が在日外国人の男性から、それぞれ献金を受けていたことが分かりました。外国人献金は政治資金規正法により禁じられていますが、どのような罪に問われるのでしょうか。
寄附を禁じられているのは外国人だけでなない
宮沢経産相が代表を務めていた「自由民主党広島県第7選挙区支部」は、外国人が株式の過半数を保有する未上場の企業から、2007年に30万円、2008年に10万円の寄附を受けており、宮沢経産相は大臣就任後に調査してその事実が発覚したと述べています。
一方、大塚国交政務官は2007~2009年に在日外国人男性から、計115万円の寄附を受けていたことが判明し、双方とも全額返金したとしています。
外国による政治活動への干渉と国益の損失を防ぐために、政治資金規正法では外国人による政治団体への寄附(=外国人献金)を禁じており、受け取った者は同法の規定により3年以下の禁固または50万円以下の罰金に処せられます。
政治資金規正法第22条の5により寄附行為を禁じられている対象
- 1.外国人
- 2.外国法人
- 3.主たる構成員が外国人または外国法人である団体その他の組織
- ※1 外国人もしくは外国法人が株式の過半数を保有している株式会社は禁止対象
- ※2 国内市場に延べ5年以上上場している株式会社は禁止対象外
返金では済まされず、大臣を辞任するケースも
外国人献金が大きく取り上げられた事例として記憶に新しいのは、2011年民主党の前原誠司外相(当時)でしょうか。前原氏は2005年から2010年の間に在日外国人4人と在日外国人が代表取締役を務める法人1社から、合計しておよそ60万円を受け取っており、全額返金したものの大臣辞任を余儀なくされました。
ただし、今回指摘を受けている外国人献金は、いずれも政治資金規正法の公訴時効(※)である3年を経過しており、前原氏に続き外国人献金が発覚した野田佳彦首相(当時)は時効が経過していたこともあってかこの問題による辞任は免れています。
重要課題が山積する今国会ですが、今後どのような責任の追及がなされるのでしょうか。
※公訴時効とは・・・犯罪行為が終わった時から一定期間が過ぎて、刑事訴追できなくなる時効のこと
- <著者> 市ノ澤 充
- 株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー シニアマネジャー
政策シンクタンク、国会議員秘書、選挙コンサルを経て、2011年株式会社パイプドビッツ入社。政治と選挙のプラットフォーム「政治山」の運営に携わるとともにネット選挙やネット投票の研究を行う。政治と有権者の距離を縮め、新しいコミュニケーションのあり方を提案するための講演活動も実施している。
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