[大阪市]博物館施設の一体運営に地方独立行政法人を設立 (2019/9/7 株式会社ぎょうせい)
大阪市(270万2400人)は、4月に市立の博物館施設を一体運営する地方独立行政法人として市博物館機構を設立した。これまで指定管理者制度で運営してきた博物館施設を地方独立行政法人化することにより、柔軟で効率的・効果的な運営と経営を図っていくのがねらい。(1)大規模展覧会の誘致・開催等による魅力の向上、(2)自主性の発揮や民間等の積極活用による利用者サービスの向上、(3)サービス向上による増収、(4)業務改善サイクルの確立と成果公表による透明性の向上、(5)各館の活動成果の継承・発展及び文化資源の蓄積――が図られると期待されている。
地方独立行政法人化したのは、市立美術館、市立自然史博物館、市立東洋陶磁美術館、市立科学館、大阪歴史博物館の5館。21年度開館予定の大阪中之島美術館(近現代美術・デザイン中心の美術館)の開館準備も一体的に進めていく。理事長には西日本旅客鉄道株式会社取締役会長の真鍋精志氏が就任した。
市の16年の試算では、地方独立行政法人化による地域経済等への波及効果は10年間で約54億円、うち各館の入館料等の収入増は約13億円と見込んでいる。また、指定管理者制度下における期間の制約がなくなり、地方独立行政法人化に伴って経営と運営の一元化が実現したことから、長期的視点に立った展覧会等の企画や安定的な人材の確保が可能となった。
今後は、各館の特色を活かし、かつ、複数の施設が連携することによる相乗効果を発揮して、また、マスメディアとの連携や戦略的な広報による効果的な情報発信に努め、ミュージアムビジョンに掲げられた「都市のコアとしてのミュージアム」の実現を目指していく。
博物館・美術館の地方独立行政法人化は全国では初めての取り組みとなる。
(月刊「ガバナンス」2019年8月号・DATA BANK2019)
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