NYの視点:今週の注目、米予算、米税制案、ECB、BOJ 株式会社フィスコ 2017年4月24日
今週は欧州中央銀行(ECB)の定例理事会、日銀の金融政策決定会合に注目が集まる。両中央銀行とも金融政策を現状で維持する見込み。黒田総裁は訪問している米国でのインタビューで当面異例な金融緩和策を維持する方針を表明した。ドラギ総裁も域内経済には依然緩和策が必要だとのハト派姿勢を維持し、市場にあった早期利上げ観測を後退させている。米国との金利格差が拡大するとの思惑にドルの底堅い展開が予想される。
また、トランプ米大統領は就任後の節目である100日目にあたる29日に一部政府機関閉鎖を回避できるかどうかに注目が集まる。春休み明けで再開される議会では、28日に失効する予算案に関する協議を優先すると見られる。しかし、トランプ大統領は26日にも税制改革案を公表する計画を明らかにした。また、共和党ヘルスケア案が復活する可能性も出てきた。共和党ヘルスケア案は1ヶ月前、共和党保守派のフリーダム・コーカサスの反対で失敗している。
世界経済を揺るがす要因として、フランス大統領選挙にも注目。フランス大統領選挙では欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票の実施や通貨でフランの復活を掲げているルペン氏の勝利は市場にとりリスク要因となると警戒されている。現在の世論調査によると、1回目の選挙で極右派のルペン候補と、中立のマクロン候補が勝ち残り、2回目の選挙ではマクロン候補が勝利することが予想されている。ただ、調査によると40%の有権者がまだ、誰に投じるか決めてないという。このため、予想外の結果に終わる可能性も十分にある。
市場にとり最善のシナリオは中立派のマクロン氏とフィヨン氏の勝利。最悪のシナリオは極右派のルペン氏と、極左派のメレンションの勝利と見られている。ただ、昨年の英国のEU離脱、米国大統領選挙でのトランプ大統領勝利のように、ポピュリストの台頭で、ルペン氏の思いがけない勝利の可能性が警戒されているが、リスクを回避する動きは短命に終わる可能性もある。
■仏大統領選挙世論調査
1回目
極右派ルペン:22%
マクロン:23%
フィヨン:19.5%
極左派メレンション:19%
2回目(5月7日)
ルペン:35%
マクロン: 65%
経済指標では米国の1-3月期国内総生産(GDP)の発表が予定されている。1.2%成長が予想されているものの、1%を割り込む低調な成長に留まる可能性も一部で懸念されている。予想を下回ると利上げ見通し引き下げで、ドルの上値を抑制する可能性がある。金融危機以降、通年で1-3月期の成長が一番弱くなる傾向がある。
■今週の主な注目イベント
24日:ロシア、米国、UNとシリアに関する平和協議
●米国
24日:カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁が講演
28日:予算案失効、ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁が講演
29日:米1-3月期GDP:予想:+1.2%(10-12月期:+2.1%)
●欧州
27日:欧州中央銀行(ECB)定例理事会(予想:政策据え置き)、ドラギECB総裁会見
●日本
27日:日銀金融政策決定会合(予想:政策据え置き)
●地政学的リスク
ガザ紛争
イラク、イスラム過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」
シリア
イエメン
トルコ
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