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中国激怒も想定内? 日本、尖閣5島命名のねらいとは 日中首脳会談への影響に海外メディア注目  ニュースフィア 2014年8月5日

関連ワード : 中国 尖閣諸島 

 政府は1日、領海内の名前のなかった158の島の名称を決めたと発表した。この中に尖閣諸島を構成する5島が含まれていたことから、領有権を主張する中国が猛反発している。中国共産党機関紙・人民日報(英語版)は、日本側の動きを「一方的かつ違法・無効である」と激しく批判した。AP、ブルームバーグなどの欧米メディアも一連の動きに注目している。

【「釣魚島が中国領であるという事実は変わらない」】
 今回名称が決められたのは、日本の領海の範囲を決める基点としている「国境離島」のうち、これまで名前のなかった北海道から沖縄までの158島。尖閣諸島については、もともと名称があったのは中心の魚釣島などの一部で、国有化が進められた2012年になって排他的経済水域(EEZ)の起点となる4島に名称がつけられた。今回は、その後も無名のままとなっていた5島にも「南東小島」「南西小島」「東小島」「西北西小島」「南東小島」と名付けた。

 APによると、菅義偉官房長官は「尖閣だけの問題ではない。領海の全ての離島について幅広く見直している所だ」と述べ、命名が尖閣諸島の領有権の主張とは直接関係がないと記者団に述べた。政府は、名前をつけた理由を「適切な維持管理をするため」「国民の関心を喚起するため」などとしている。

 中国外務省は、この日本政府の発表にただちに反応。秦剛報道官が日本政府の命名行為を「違法かつ無効だ」と断じ、「中国の領土と主権を傷つける行為に断固として抗議する。日本のいかなる一方的な動きも、釣魚島(尖閣諸島の中国語名)と周辺の島々が中国に属するという事実を変えることはできない」と非難した。

【日本による国有化は「泥棒を正当化する破廉恥行為」】
 中国側の主張は、尖閣諸島は明代以前に中国人が発見・調査・命名したものであり、日清戦争後に結ばれた下関“不平等”条約によって「盗まれ」、本来であれば日本の敗戦に伴って第二次大戦後に中国に「返還」されるべきだったというものだ。

 人民日報は3日付の社説で、こうした中国側の主張をあらためて詳細に並べ、「古代より中国の領土である島々に、日本が“命名”する権利はない」と糾弾。そして、中国名の「釣魚島」の名称が最初に出てくるのは1403年に出版された中国の紀行『順風相送』であるとし、「もし、最初に命名した者に所有権があるというのであれば、日本政府によってお膳立てされた“命名”の茶番は中国の主権を正当化するだけだ」と主張している。

 その一方で、「中国は2012年3月に尖閣諸島の71の小島に明確な名前をつけた」と、自国の命名については正当性を主張する。同じ月の日本による「国有化」については、中国側が返還の根拠としている第二次大戦中のカイロ宣言・ポツダム宣言を「破廉恥に侵害」し、「泥棒を正当化する」行為だと罵っている。

【日中首脳会談実現に黄信号か】
 ブルームバーグは、今回の動きを、安倍晋三首相と習近平国家主席の首脳会談実現を目指す両国の動きと絡めて報じている。日本側は先月、福田康夫元首相を中国に極秘訪問させるなどして、11月に北京で開かれるAPEC会議の場での日中首脳会談実現を打診しているという国内報道もある。

 上智大学の中野晃一教授(政治学)は、記事の中で「日本は過去に十分に強い主張をしてこなかったために、弱い立場に立たされてきた」と、日本政府が中国側からの非難を承知の上で尖閣諸島の島々に追加命名したことに一定の理解を示している。しかし、日中首脳会談の実現に対しては、マイナスの要因になる危険性を指摘している。

 日本政府は島々の命名とほぼ同じタイミングで、ベトナムに6隻の巡視船を供与することを発表した。ブルームバーグは、これがベトナムと南シナ海で領有権を争う中国をさらに刺激すると懸念している。

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