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東京都知事選挙2014

【都知事選】鈴木達夫氏の出馬会見全文(2014/1/14) (2014/1/24 政治山)

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 鈴木達夫氏(73)が14日夕、東京都庁で記者会見し、2月9日投開票の東京都知事選挙(23日告示)への立候補を正式に表明しました。鈴木氏の冒頭の発言は以下の通りです。

◇        ◇        ◇

 では私、鈴木達夫の方から、簡単な経歴と私の主張について、皆さんにアピールしたいというふうに思います。

 私は東京生まれです。あまりこの辺を言ってもしょうがないんですが、門地、出生地にこだわるつもりはありませんが、三代そろった江戸っ子です。1940年に生まれましたけれども、59年新宿高校を卒業して、東大の理科一類、いわゆる工学部を主とした志望者のところに入りました。1964年、この前の東京オリンピックの年です。その年に東京大学の工学部の土木工学科都市計画コースの第1回卒業生です。今、都市工学科というのができているかもしれません。都市工といわれるやつですね。オリンピックのころ、この前のオリンピックのころ、都市とは何なのか、都市計画がやはり必要なんだということが議論されたころです。そのときの第1回卒業生として私はやはり、都市の問題については、それなりに勉強したり自分の意見を形成したつもりです。

 その後、同じ年にNHK、日本放送協会ですね。番組制作担当ディレクターとして長崎に赴任しました。そして番組づくりを続けていたわけですが、67年にはそこの分会の皆さん、職員ですね、約100人の分会ですけれども、その委員長に推され、ちょうど67年から70年いわゆる70年安保闘争の年ですね。分会長をやって、さまざまの闘いをやりました。一番、その頂点になるのが、原子力空母のエンタープライズが、ベトナムから佐世保に寄港する、被爆地長崎に原子力空母が寄港するということに大変な反対運動がありまして、その先頭にも立ちました。

 そういう分会長のさまざまな私の活動に対して、嫌気したというか嫌ったんでしょうね。NHKが東京への私の配転を命令しまして、私はもちろん東京への転勤・配転は希望していなかったんですが、現職の分会長を東京に業務命令で行かせるというのは、やはりどうしても納得できないという分会の強い声の中で、100日間配転反対闘争を闘いましたけれども、その中で起訴されて、NHKは休職になりました。

 身分はもちろん、皆さんのお手元にあるように82年まで身分は続いたわけですが、その後もやはり70年の安保闘争の渦中におりましたけれども、結局、82年にはNHKを引かざるを得ない、解雇されるという事態になりまして、15年間、最高裁まで裁判闘争をやった経験をいかそうということから、勉強して、88年司法試験合格、91年に第二東京弁護士会に弁護士登録を行いました。

 弁護士会での主な委員会活動などは、ここに記載した通りです。主として、弁護士会の委員会活動としては、刑事弁護関係を担当しました。さらに現在、受任中の主な訴訟事件、弁護団など、これはここには労働事件、あるいは学生運動弾圧事件を主として記載してあります、書いてありますが、もちろん弁護士である以上、それこそ相続から離婚からいわゆる一般民事、これは数え切れなくやっている中で、あえて私が皆さんに訴えたいということであれば、ここに書いてあります動労千葉、あるいは動労総連合の様々の闘い、労働組合の運動に関する訴訟でありますし、また法政大学の学生運動の弾圧、これは百三十何人が逮捕され、三十数人が起訴されるという、2006年以来、ここ7、8年のうちに凄まじい弾圧が来ていますが、それに対する弁護団をやりまして、つい先頃には全員無罪を一審で勝ち取るなどの活動をやっております。

 また、星野文昭さん、これも経歴の中の注としておりますが、星野文昭、今、徳島刑務所で既に39年無期懲役囚として服役しておりますが、これは71年の11月、沖縄の問題で渋谷の闘いがありました。反戦青年委員会とか学生がですね。その警察官がその中で1人亡くなったわけですが、その実行犯とされて無期懲役を強いられているわけですが、それの再審の弁護団長も行っております。経歴については主として、あるいは今引き受けている事件については、そのようなものです。

 次に私の主張について、ごく簡単に述べたいと思います。先ほど司会の高山弁護士からも紹介がありましたけれども、やはり私は、都知事選、これは昔からそうだったと思うし、また今も言われていますが、都知事選というのは一種、国政選挙の性格を持たざるを得ない。首都東京、しかも1000万人の有権者という意味では、東京都政をどうするかということともに、やはり国政についての私の見解をはっきり出すべきだろうと、述べるべきだろうと私は考えました。

 中心的な主張はやはり、今ただ事ならない形で進んでいる憲法改悪に対しての安倍政権の、なんと言いますか、暴走などという言葉がよく使われますが、本当に人権、基本的人権という観点から見ても、戦争というのは最大の人権侵害です。それに向かって一気に走り始めた安倍政権をやはり、東京都民1000万の怒りでストップかけなければならない。倒さなければならないというのが私の中心的な主張であります。

 つい先日の報道によれば、安倍首相は一応は否定はしてますが、これから開かれる今通常国会の中で、集団的自衛権の容認の閣議決定および国会答弁はやりたい、ということころまで改憲、あるいは9条、憲法9条ですね、いわゆる戦争放棄の破壊が進んでいる。これに対して、ストップをかける闘おうというのが第一の私の主張です。

 特にその中で、秘密保護法これは大変な盛り上がりで、にもかかわらず、国会で強硬採決されましたけれども、私は60年安保、70年安保、すべて経験しておることから見るならば、その2つの戦後史を大きく画する民衆の反戦の闘いを上回るものが、この秘密保護法の闘いでは、広く深くあったと私は考えます。

 その点では、私は安倍政権が確かに戦争と改憲に本当に走っていますが、一方それに対する人々の反対する気持ちは非常に深いところに根ざしながら、絶対に戦争は許さないという声がやはり充ち満ちていると思います。私はその声を背負い、代表していきたいと思います。

 第2の私の主張は、言うまでもなく原発です。福島を切り捨てて、子どもの甲状腺がんが異様に増えているという事実など完全に無視して、原発の再稼働あるいは原発の輸出に走っている。これもやはり私は許せるものではないと思います。根本的に私の考えは、原発とか核と人類は共存できない、できるものではないという私の考えです。その立場から言うと、今、多くの原発の福島第一原発、あるいはその他の原発で働かざるを得ない形で、被曝労働を強いられている何千という労働者の皆さんの、この被曝労働そのものはやはり大きな問題として取り上げていかなければならないと思います。

 3番目の大きな私の主張は、先程来、労働事件を私主としてこの間、力を注いできたと言いましたけれども、やはり労働者の団結を破壊する民営化とか、非正規職とか、特に過労死、低賃金であるがゆえに長時間働かざるを得ないわけですね。その中でいま、特に若い人たちが、どんどん過労死で殺されていっています。凄まじい労働の現場です。過労死しなければ生きていけない、そういう今の賃金の低さ、労働条件の劣悪さ、現場には労働基準法など存在しなくなっています。これは言うまでもなく皆さんもご承知だと思いますが、そういう現状を何とかして変えていきたい。

 その中心にやはり、私は一切が、このような何で労働者がこんな状況に、働く人たちがなんでこんな状況に追い込まれているかという、その根本原因は、あの中曽根康弘元首相がやった国鉄分割民営化。結果として1047名の方々が解雇そして闘っておられるわけですが。中曽根さんは国労を潰すことによって、社会党総票ブロックを解体するんだと。もって新しい立派な憲法、新しい憲法を床の間に飾るんだというふうに公言されました。

 つまり労働運動を潰せば改憲ができると、これがやはり戦後ずっと憲法改悪に走ってきた自民党政権の引き出した教訓なんですね。何とか改憲にこぎつけたい。そのためには労働運動を潰さなければならない。その中心にあるのが国鉄労働者の闘いだと。

 それに対して、私が顧問弁護団の一員をやっております動労千葉を先頭に、また二十数年間、解雇撤回闘争を闘ってきました。そしてついに、昨年の6月29日ですか、東京地裁の一審で国鉄分割民営化の解雇には不当労働行為があったということを、裁判所が正式に初めて認めました。そして、失礼しました、一昨年の6月29日ですね。で、昨年の9月25日には、今度は東京高裁で同趣旨の判決が出ました。結局、中曽根首相がやった国鉄分割民営化は不当労働行為、つまり労働組合潰しの意図をもって行った、違法な許されない憲法違反の行為だったんだということが認定されたわけです。

 今、最高裁に向かって10万人署名運動が始まってますが、私はこの闘いは非常に大事な闘いだと思います。先ほど言いましたように、今、青年労働者はとてつもない劣悪な労働の現場に追い込まれています。その青年労働者を中心として、日本の6000万いると言われている労働者人口、このうちの38%が非正規労働者にたたき込まれているわけですね。この一切の根本にあった元凶に、国鉄1047名解雇撤回闘争は、そこで食らいついて、いま食い破ろうとしているということを私は、自分の闘いの中で感じております。もちろん労働者派遣法が、やがて開かれる近日中に開かれる国会では大変な問題になろうとしております。

 さらに、医療福祉、保育、これはやはり、あるいは今申しました労働者が生きられない社会が今、生まれてますね。特に、本当にマスメディアでも取り上げてますが、高齢者の方の福祉、どんどん切り捨てられながら、昨日のある新聞によれば、80歳代の男性と女性がカーテンの仕切りもない隣同士のベッドで、ざこね同様に詰め込まれて、デイサービスの泊まり体制というんですか、に押し込まれている。しかもそれが10人や20人じゃない、おびただしい高齢者、基本的に高齢者の方々はそういう中で人生の最後を送っている。こんな残酷なこと、私は許されないと思います。

 さらに私は、4番目にオリンピック、これはやはりどうしてもやらない、ということの結論をつけざるを得ませんでした。考えに考えましたこの問題は。難しい問題です、確かに。しかし都民の生活と労働者の権利をオリンピックは破壊するもの以外ではない。新国立競技場の建設に、何であれだけの、どんどんどんどん予算が増えているじゃないですか。それを高齢者や貧困や被災者の対策に振り向けないのか。

 さらに、このオリンピック招致の原因となった、契機となった、安倍首相の汚染水はコントロールされている、完全にブロックされている、これはもうここにいる皆さん、あるいはすべての国民、都民は、これは嘘だと分かっているわけですよね。ところが、これを国際的な場で言い切ってオリンピックを呼んでくる。私はこの嘘が許されないだけではなくて、この嘘の上に立ったオリンピック招致であるものは必ず大問題になっていくと。1940年、東京オリンピックは、日本は返上せざるを得なかった。ああいう事態すら起こり得る、私は考えております。結局、オリンピックは誰のためにあるのか、いわゆる1パーセントの大企業、大観光業のため、その利益以外にあるんだろうかと私は考えています。

 最後に私が考えてアピールしたい点は、弁護士だから当然といえば当然なんですが、今、新しい時代を作るといってもいいぐらいに、人々の監視、弾圧体制が強化されてようとしています。特定秘密保護法がその一環でした。大きな一環でしたけれども、その中で今、盗聴が拡大される、今、法制審議会で議論されていますが、今回の通常国会には出ようとしています。

 今、盗聴法、これは99年でしたか、大変な反対運動の中で、やっと成立しましたが、これはそういう経過もあって、経緯もあって、盗聴ができる対象の犯罪の罪資と言いますが、非常に限られているわけですね。それが一般犯罪にまで適用される。盗聴の対象が。さらに室内の盗聴が許される。つまりこれは通信傍受だけではないわけです。電話の盗聴だけではなく、室内に盗聴器を取り付ける、工事業者を装う、取り付ける、しかもそれが合法化されるわけですね。本当に安心して信頼し合う会話ができる場所は、この社会からなくなろうとする、そのくらい深刻な問題だと思います。

 例えば、この盗聴の問題でもう少し1点だけ言えば、今、盗聴は通信業者で、そこでの立ち会いの下で、その場所で警察がやれることなってます。従って警察にとっては非常に不便です。しかし今、法制審議会で審議され、通常国会に出されようとしている盗聴の拡大は、警察署で盗聴ができる。そういう法案が出されようとしています。

 さらに、私たちは司会の高山弁護士が先頭に立って取り組んでおられますが、裁判員制度これは今や8割の国民がそっぽを向いてます。行きたくないって言ってます。しかしそれを一編の通知で裁判所に合意に連れ出して、行かない場合には10万円の過料に処する、過ちの料を書きますね。料刑罰の一種ですが、過料に処する、これは完全に現代の赤紙だと私たちは考えております。これはインターネットの中から出てきた名称です。私たちがいろいろ考えたんじゃなくて、やはり誰でもが、嫌なのに法廷に連れ出されて人を裁く。死刑判決がどんどん出ていますね。人が人を裁くというのは本当に大変なことだし、難しいことです。これを一般の国民に担わせる。

 とうとう今、福島ではそれを担わされた裁判員の女性が、血の海に沈んでいる死体を見せられる、傷口まで見せられるということの中で、とうとう心を冒され、務めが継続できない、そういうところまで追い込まれました。その方は、毅然とこういう制度は許されないという考えに立って、いま福島地裁で裁判が始まっております。ご存知の方も多いと思います。

 最後に、今、司法改革というものが、小泉内閣の時から続いています。この司法改革を担ってきた一端が宇都宮候補であります。あるいはその陣営であります。私たちは司法改革なるものは、主としてこれは、弁護士の大幅な増員、そしてロースクール、法科大学院です、法科大学院はほとんどが、もう定員割れしています。潰れかけてます。一時74生まれたんですが、どんどん廃校が続いています。

 弁護士の急増ということで、弁護士が生活できなくなる、従って弁護士登録をしてもしょうがない。今、護士会の会費というのは非常に高いんです。東京の3つの会は、これは人数が多いということから月4万円ぐらいですが、地方会、単位会によっては、東京以外の会によっては、9万から10万というところがあります。それを弁護士になったばかりで、しかも法科大学院で今ほとんど人たちが借金を背負ってます。平均660万とか言われてます。1000万の借金を背負って弁護士になる方も少なくありません。なろうとする方も少なくありません。その方々が、その登録料を払い、弁護士会のその10万近くの弁護士会費を月々払い、そして借金を払っていくということはとてもじゃない。しかも、弁護士になっても、ほとんど仕事は無い。ある方は、弁護士になってから毎月3万円しか自分の収入がない。親の援助で辛うじて生活しているという、そういう方が希ではなくなってきてます。そういう例がどんどん私たちの耳にも届いております。

 そういう司法改革というものは改革ではない。弁護士と日弁連を潰す、もって人々の人権擁護、人権の盾になるこの職業を一掃していく。うるさいことを言い続ける弁護士なんていうものは、この世の中から一掃しようと、食えなくするのが一番だという攻撃であると私たちは考えます。

 なお私は、先ほど触れましたので簡単にしますが、獄中39年、無実の星野さんを取り戻す、これの弁護団長でもあります。39年無実で捕らわれている政治犯です。何としてもこれを、すべての証拠を開示させる、検察が手持ちの証拠をまだいっぱい隠し持ってます。この開示を通じて、無実を明らかにして解放していきたい。釈放を勝ち取っていきたいと思います。

 ちょっと長くなりました。私の今回、都知事選に立候補するに当たっての抱負の基本的なところを述べさせていただきました。よろしくお願いします。

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特集:東京都知事選挙2014
東京都知事選挙の選挙情報(1月23日告示、2月9日投開票)

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