【LM推進地議連連載/リレーコラム47~地方議員は今~】
第102回 「人口減少対策」に交流自治体連合で取り組む (2014/9/10 長野県箕輪町議会議員 木村英雄氏/LM推進地議連会員)
政治山では、政策立案を行う「政策型議員」を目指す地方議員らで構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」(略称:LM推進地議連)と連携し、連載・コラムを掲載します。地域主権、地方分権時代をリードし、真の地方自治を確立し実践するために設立された団体のメンバーが、それぞれの実践や自らの考えを毎週発信していきます。現在は、全国47都道府県の議員にご登場いただき、地域の特色や問題点などを語っていただく「リレーコラム47~地方議員は今~」を連載しています。第102回は、長野県箕輪町議会議員の木村英雄氏による「『人口減少対策』に交流自治体連合で取り組む」をお届けします。
◇ ◇ ◇
信州、箕輪町をご存知ですか?
日本地図を思い浮かべてください。本州のほぼ中央、信州は伊那谷にある、26,000人が住む町です。長野県は山には不自由しません。箕輪町は、「日本の屋根」、南アルプスと中央アルプスに挟まれ、中央を天竜川が流れています。風光明媚! 稲作や果樹栽培などの一次産業だけでなく、精密工業も盛んです。
首都圏・中京圏から中央自動車道で2時間、「伊北インターチェンジ」で降りていただきます。宿泊ですか? 「ながた荘」(http://e-minowa.jp/nagataso/)はいかがでしょうか。
箕輪町職員時代、このながた荘の温泉掘削を担当しました。だからというわけではありませんが、泉質には自信があります。ぬるぬるとするお湯は、お肌がツルツルになる美人美肌の評判の湯です。わざわざ上諏訪温泉がある諏訪からも、多くの皆さんが日帰り入浴にいらっしゃるほどです。
7月23日、「みのわ祭り」が行われました。箕輪町が以前から交流している浜松市庄内地区、そして豊島区の皆さんをお招きし、一緒に祭りを楽しむことができました。久しぶりにお会いする皆さんと酒を酌み交わすのは楽しいものです。酒は強くないのですが、近況報告に始まり、それぞれの身の回りの問題を語り合う、これが楽しくて酒をやめられないのです。弱い酒好きです(注1)。
皆さんとお話しするうちに、「自治体の消滅可能性」が話題になりました。
動き始めた「人口減少対策」
日本創成会議が発表した「消滅の可能性が高い市町村」が高い関心を集めています。増田寛也同会議座長は、「半数の自治体の人口が増える可能性はないという事実に、ショックを受け、1年でも早く対策をとらなければならない」と述べています。
この人口減少問題、今でこそ注目を浴びていますが、以前、国土交通省の「国土の長期展望」(注2)でも指摘されていた問題です。それに、深刻な過疎問題に直面している自治体では、20年以上も前から、自治体独自で対策を考えている問題なのです(注3)。
人口減少社会に対応するには3つのアプローチがあるとされています。
1.少子化対策
2.人口大都市集中から地方へと「人の流れ」を変える
3.女性、高齢者などの人材活用
これは、日本創成会議の提言でも指摘されている事項ですが、これらのアプローチは人口が減少に転じた2008年以来、繰り返し述べられてきているもので、特に目新しいものではありません(注4)。同会議の提言は、内容より、「消滅」という言葉のインパクトの強さで「人口減少問題は、オールジャパンで取り組むべき課題である」と再認識させてくれた点が画期的だったのだと思います。
この提言の後、政府は<2060年で人口1億人維持>を目標に掲げました。そして、「まち・ひと・しごと創生本部」を設置し、政策を推進すると報道されています。「創生本部」は政策テーマに地方活性化と人口減少対策を掲げ、子どもが多いほど有利な税制、地方への移住・定住促進策に取り組み、各都道府県に「地方ビジョン分科会」を設置し、2015年度中に地方版総合戦略をまとめるということです。
自治体が自主的に補完しあい、「人口減少対策」に取り組む
<21世紀は再定住の時代>だという説があります。
<全国で人口が減少する状況下では、どの地域も別の地域の自然発生的な流入を期待することはできない。結果、人口の呼び込みを目指した競争が起きるだろうし、また、そうでなくてはならない。各市町村は新しい産業を興し、その魅力を競い合って定住人口を維持する必要がある>(注5)
進学、就職、そしてリタイア。人生の変換点で住む場所が変わります。これからの時代、リタイア後の定住先はどうなるのでしょう。
団塊の世代は、前の世代よりさらに健康に過ごす高齢者集団となっていくという見方があります。私も団塊のひとりなのですが、この世代は多様性があり、趣向も一様ではありません。団塊以降の世代も同じ傾向で、<今後はますます「高齢者」として一括りにできない多様性をもった集団が増え>(注6)ていくことになりそうです。
さて、この<定住人口の獲得競争>、なんとも、殺伐とした言葉ですが、競争ではなく<共栄>、あるいは<役割分担>ととらえることはできないでしょうか。
浜松市庄内地区、豊島区、そして信州箕輪町。それぞれの地域の魅力と機能を活かし合いながら、定住人口を維持していく仕組みを作り上げられないか? 両地域の皆さんと話しながら、そんなことを考えていました。個々の自治体がそれぞれ政策という「タイル」を持ち寄って、新しく人口減少問題対策という「モザイク」を組み上げる。そんなイメージでしょうか。国から県、そして市町村という従来型の流れでは、どうも血が通わない、地域の思いが伝わりにくい気がします。
また、人口減少問題は、各自治体が抱える課題や、自然環境、交通インフラ、それに医療・福祉の資源が異なります。離れている自治体ほど違いは大きいでしょう。ここに、県という垣根を越え、各自治体が自主的に補完しあう協力関係=【人口減少対策 自治体連合】を築く意味があります。せっかく自治体同士のお付き合いがあるのですから、まずはしがらみに囚われずに一緒に考えてみたい。私はそう思っています。
情報をいただけたら幸いです
人口減少対策について、情報をいただけたら幸いです。よろしくお願いします。
最後に、もうひとつご紹介します。
写真をご覧ください。二日酔いにはしじみ汁。誰もが経験したことがあるであろう、二日酔い。そんな時には、味噌汁を飲むといい、それもしじみ汁がいいと言われています。しじみには肝臓に良いと言われているアミノ酸がたくさん含まれているそうです。これはとてもおいしいですよ!浜松から取り寄せています。
うちの町にないものは、どこにでも行き、見て、説明をお聞きし、飲んで、買ってくる。これが、私の信条です。
2014年8月6日
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- 【注釈及び参考図書】
- (注1)東 直己.『酔っ払いは二度ベルを鳴らす』.光文社.2005.愛すべき酔っぱらいがたくさん出てきます。
- (注2)国土審議会政策部会長期展望委員会.『「国土の長期展望」中間とりまとめ』.国土交通省国土計画局.2011
- (注3)北海道初山別村(http://www.vill.shosanbetsu.lg.jp/)は、20年間以上前から人口減少対策に取り組んでいます。村の天文台を利用した「マイスターズシステム」や「巨人の星特定プロジェクト」など、わくわくする取り組みを実施。また、2013年には「地域おこし協力隊」募集ポスターを山手線・札幌地下鉄・大阪環状線・京都地下鉄東西線に掲示。なんと、7月募集時には5人、11月には10人の応募があったそうです。5人が、この4月から活動しています。
- ○「マイスターズシステム」(星のひとつを個人で所有し、名前をつけます。初山別村がその名前をその星とともに登録、永遠に保管してくれます。どんな名前がいいかなぁ)
- ○「KYOJIN no HOSHI特定小委員会リポート」(一徹が指差す「巨人の星」は、どの星なんだ!?)
- ○「初山別村 地域おこし協力隊 隊員 募集」(キャッチコピーに打たれます)
- ○「初山別村 地域おこし協力隊 フェイスブック」(初山別っていいなぁ)
- (注4)鬼頭 宏.『2100年、人口3分の1の日本』.メディアファクトリー新書.2011
- (注5)鬼頭 宏.『2100年、人口3分の1の日本』.メディアファクトリー新書.2011.114P
- (注6)鈴木隆雄.『超高齢社会の基礎知識』.講談社現代新書.2012.56P
- 著者プロフィール
木村 英雄(きむら ひでお) 1949年6月20日生まれ
箕輪町議会議員 現在1期目 町職員を退職後議員に。
現在 議会運営委員長 議会活動活性化委員会副委員長
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