【LM推進地議連連載/リレーコラム47~地方議員は今~】
第100回 『マニフェスト大賞』には歴史的な使命(ミッション)がある (2014/8/27 神奈川県横浜市会議員 黒川勝氏/マニフェスト大賞実行委員長)
政治山では、政策立案を行う「政策型議員」を目指す地方議員らで構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」(略称:LM推進地議連)と連携し、連載・コラムを掲載します。地域主権、地方分権時代をリードし、真の地方自治を確立し実践するために設立された団体のメンバーが、それぞれの実践や自らの考えを毎週発信していきます。現在は、全国47都道府県の議員にご登場いただき、地域の特色や問題点などを語っていただく「リレーコラム47~地方議員は今~」を連載しています。記念すべき第100回は、横浜市会議員の黒川勝氏による「『マニフェスト大賞』には歴史的な使命(ミッション)がある」をお届けします。
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ローカルマニフェスト推進地方議員連盟の政治山でのリレーコラムが100回目を迎えました。記念すべき100回という節目にコラムを書かせていただくのは光栄なのですが、現在マニフェスト大賞の応募締め切りを8月31日に控え、実行委員会はてんてこ舞いです。急遽再登板した出戻り実行委員長ではありますが、1人でも多くの人にマニフェスト大賞をご理解いただければと、原稿を書かせていただきます。節目の記念的なコラムは次号にご期待ください。
ローカルマニフェスト推進地方議員連盟が主催する最大の事業『マニフェスト大賞』が、今年も11月14日に六本木ヒルズを会場にして開催されます。全国から集まった様々な政策提言やマニフェスト、ネット選挙を見据えたウェブの活用、復興支援や防災対策の取り組みなどを5つの部門で表彰します。
私が当初から実行委員長を務めた2013年は、2140件のエントリーの中から部門ごとに7~9の優秀賞が選ばれ、さらにその中から最優秀賞といくつかの審査委員会特別賞が選ばれました。審査は早稲田大学マニフェスト研究所の北川正恭教授を中心にした、学者・シンクタンク・マスコミ・有識者からなる審査委員会によって厳正に行われます。
六本木ヒルズでの授賞式にはマニフェスト大賞を受賞された清水勇人・さいたま市長や、審査員特別賞の熊谷俊人・千葉市長、田辺信宏・静岡市長をはじめ、公務も忙しい中42組の受賞者の9割以上が出席してくださって盛大に開催することができました。授賞式翌日には共催の毎日新聞社や、後援の共同通信社を通じて全国の多くのマスコミが取り上げてくれました。政治山でも結果の紹介や受賞者によるコラムの掲載など、ご協力をいただき感謝しております。
また、授賞式前日には毎日新聞社の毎日ホールをお借りして受賞されたそれぞれの政策の事例発表会を行い、参加者全員による投票によって上位3組を優秀プレゼンテーション賞として実行委員長から表彰させていただきました。
全国各地で意識の高い優秀な政治家たちが地道に地域の福祉の向上や政治の進化のために頑張っている姿を、六本木ヒルズから全国に発信する『マニフェスト大賞』には大きな3つの使命(ミッション)があります。
ひとつは、素晴らしい政策を全国各地で共有、実践していこうということです。どこかの地方自治体で大きな成果を挙げた政策は、他の自治体でもその地域なりのアレンジは必要でしょうが、同じように成果を挙げることができるはずです。ひとつの地方自治体で成功した政策が、マニフェスト大賞の受賞をきっかけに全国に広がっていくことになれば素晴らしいことだと思います。
ふたつ目は、新しい改革にチャレンジしている政治家が、政策で勝負できる政治家になれるように応援しようということです。新しいことに挑戦するときには必ず抵抗勢力が存在します。昔から変わらない政治・行政・業界の関係などを守りたい勢力にとっては、新たな改革や開かれた議会は迷惑な話です。しかし先進的な取り組みが表彰されたり、新聞に掲載されたという実績が、抵抗勢力を抑え市民を味方にすることにつながるのです。
そしてもうひとつは、地方議員の存在意義を国民に認知してもらおうということです。『マニフェスト大賞』には地域の個性を活かした政策もたくさん応募があります。その地域ならではの政策が成功して経済的な効果や雇用の促進、観光振興などに寄与している実例もたくさんあります。そういった地域独自の政策は、行政職員や国会議員からはなかなか出てきません。自分の暮らす地域の特性を充分に理解して政策を提言し、実践できるチカラを最も発揮できるのは地方議員であり、その発想力と実現力を持った議員を評価しようということです。
六本木ヒルズという著名な会場、毎日新聞や共同通信、政治山などの全国的な発信力、NTTデータをはじめとする協賛各社のご協力、早稲田大学マニフェスト研究所や北川審査委員長をはじめとする審査委員会の権威と公正性、そして私たち地方議員がボランティアで全国から集まって開催しているということ、これらのひとつが欠けてもマニフェスト大賞は実現できず、3つの使命も達成できないのです。
『第9回マニフェスト大賞』の当初の実行委員長は大西一史・熊本県議会議員でした。先日、本人から電話があり、熊本市のために大きな仕事に挑戦することになったので、実行委員長を代わってほしいとのことでした。政治家としての大きな挑戦には最大のエールで応援したいと思い、余計な心配をさせないためにも私は再登板を即決しました。5年前(2009年)にも当時の福田紀彦実行委員長(現川崎市長)が突然川崎市長選挙に出馬するということで、ローカルマニフェスト推進地方議員連盟の共同代表3人で実行委員長を引き継いだことを思うと、私は2度目の返り咲き、4回目の実行委員長です。やりすぎだとは承知しておりますが、日本の地方政治の進化のためにはマニフェスト大賞の失敗は許されません。
ヤジや号泣や違法ハーブの不祥事で地方議員に対する世間の目は大変厳しくなっています。頑張っている地方議員が、しっかり成果を挙げていることを世間に示し、地方議会の必要性を国民に分かってもらえる数少ない機会が『マニフェスト大賞』です。『第9回マニフェスト大賞』を成功に導き、来年の統一地方選挙において、国民に本当に必要な政治家を正しく選択してもらえる土壌作りに汗をかきたいと思っています。ぜひみなさんのご理解とご協力をお願いいたします。
- 著者プロフィール
黒川 勝(くろかわ まさる):1965年11月12日生。神奈川県横浜市会議員2期。自由民主党所属。社団法人横浜青年会議所第54代理事長、NPO法人横浜スタンダード協議会初代理事長を歴任後、2007年横浜市会議員に初当選。第8回マニフェスト大賞実行委員長、前ローカルマニフェスト推進地方議員連盟共同代表。
HP:黒川勝ホームページ
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