第46回 「議会改革」はプロセス、最大のテーマは「議員改革」  |  政治・選挙プラットフォーム【政治山】

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【LM推進地議連連載/リレーコラム47~地方議員は今~】

第46回 「議会改革」はプロセス、最大のテーマは「議員改革」 (2013/8/7 新潟県柏崎市議会議員 与口善之/LM推進地議連会員)

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政治山では、政策立案を行う「政策型議員」を目指す地方議員らで構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」(略称:LM推進地議連)と連携し、連載・コラムを掲載します。地域主権、地方分権時代をリードし、真の地方自治を確立し実践するために設立された団体のメンバーが、それぞれの実践や自らの考えを毎週発信していきます。現在は、全国47都道府県の議員にご登場いただき、地域の特色や問題点などを語っていただく「リレーコラム47~地方議員は今~」を連載しています。第46回は、新潟県柏崎市議会議員の与口善之氏による「『議会改革』はプロセス、最大のテーマは『議員改革』」をお届けします。

◇        ◇        ◇

市の紹介

 柏崎市は日本海に面した、新潟県のほぼ中央に位置し、首都圏東京へ約300キロメートルの距離にあります。面積は442.70平方キロメートル、人口約8万9,000人(2013年6月末現在)の町です。地域の南西から東部一帯にかけて、米山(992.6m)、黒姫山(891.0m)、八石山(518.0m)の山系とその支脈によって囲まれ、北西方向は、延長42キロメートルにおよぶ海岸線で日本海に面しています。市のほぼ中央部には柏崎刈羽平野が開け、水田地帯を形成しています。海岸線の南西部は、海底から隆起した米山の山ろくが急激に日本海に落ち込んで出入りの激しい磯浜海岸となり、佐渡弥彦米山国定公園の一部を形成する景勝を成しています。一方、北東部はなだらかな砂丘が続き、海岸は遠浅で、絶好の海水浴場となっています。

 また、世界最大821万2,000キロワットの発電量の東京電力柏崎刈羽原子力発電所が当市と刈羽村にまたがって立地しています。原子力発電所の適合性審査の適否や再稼働に向けた議論など、地域経済との関係からも大きな課題になっています。

議会の状況

 市議会の定数は前回2011年選挙から4人減の26人で、8つの会派に分かれています。2011年の選挙では新人が7人当選しましたが、私もその1人です。女性議員は2人とちょっと少ない感があります。

与口 善之氏

新潟県柏崎市議会議員 与口善之氏

 私たちの議会でも改革先行型で議会改革に取り組んでいますが、会派代表だけの委員会とせず、全員参加で委員会を構成し、検討事項を3つに分け、それぞれの部会に分かれて検討を重ねています。私が属す第2部会は、通年議会、議員間討議、反問権、決算審査のあり方などについて担当しています。

 そして、議員間討議については2012年9月議会から試験導入し、2013年3月には議員倫理条例、震災等災害時の対応マニュアル及び議会災害支援本部設置要綱を策定しました。 同年5月1日から通年議会が実施されるとともに、試行として5月25日に議会報告会も開催させていただきました。

 残念ながら市民の参加者が少なく、どうやって議会への関心度を高めるかという大きな課題が残されました。6月議会からは、本会議のインターネット中継に次いで、常任委員会のユーストリームを使っての中継を始めました。そして、これらの試行実施、検証を踏まえ、議会基本条例の策定を行う予定になっています。

議会改革? 議員改革?

 議会の機能は、議決による団体意思の決定と執行機関の監視・評価であることは周知のことです。

 多くの皆さんが指摘するように、議員になってみて議会で議員同士が議論しないことに驚きました。しかし、当局提案のように、与えられた議案の中にどれほど議論すべき論点があるか、私は疑問です。時には賛否が割れる議案や否決すべき議案、または修正が必要な議案があり、議員間討議が必要な議案もあると思いますが、基本的には議員同士が議論して合意形成を図らなければならない議案は事実上ほとんどないのではないか。また、私たちの議会での試行を顧みると、理論でなく感情での討論になりがちで、相手の意見に納得し、反論し、あるいは翻意することはなく、言いっ放しの場合がまだまだ多く、論点整理や運営に改善すべき点も多い。

 むしろ、議会側から新たな取り組みを提案する過程であればこそ、活発な議論が議員間で交わされるのではないかと考えます。もうすでに取り組まれている議会もあると思いますが、常任委員会で1年あるいは任期中という期間の中で、テーマを決めて研究し、議会として政策提言する、あるいは、条例化を目指すなどの活動が重要ではないか。そして、その中にこそ活発な議員間討議があると考えます。地域の課題や要望などを議員個人でも把握し、解決に取り組んでいると思いますが、議会の団体意思としてそれらの問題をどう扱うかというプロセスの中にこそ、議員間の意見調整、自由な議論が行われるのではないか。

 ただし、議員間討議は目的ではなく、議会としての団体意思決定のツールでしかありません。

 議会改革は目的ではなく、どうやって市民に開かれた議会を実現するか、二元代表制の一方として議会の監視機能や意思決定のあり方はどうあるべきか、それを考え、目指す議会の姿を実現するためのプロセスです。それには、自らを含め、議員1人ひとりが資質の向上を図らなければならない、結局は議員改革ということが最大のテーマになるのではないでしょうか。

著者プロフィール
与口 善之(よぐち よしゆき):1958年生。日本大学法学部卒。建設会社勤務、測量設計コンサルタント会社代表を経て、NPO法人で子供の環境教育プログラムに携わる。新潟県柏崎市議会議員 1期目。自由民主党柏崎支部長。
HP:作成中 
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