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問われる学童保育の「質」―モデル事例となる地方自治体を募集 (2019/3/26 日本財団)

 日本財団が翻訳および出版に協力した書籍『新・保育環境評価スケール④放課後児童クラブ』(埋橋玲子訳/法律文化社)が、2019年3月18日に全国の書店・オンライン書店等で発売されました。

 厚生労働省の調査によれば、全国に2万5,328カ所の「放課後児童クラブ」があり、123万4,366人の児童が登録しています(2018年5月1日現在)。2014年度の調査では約94万人であり、受け皿の拡大が急速に進んできました。

 放課後児童クラブの「量」の確保が進む中、学校の空き教室や児童館などを活用した放課後児童クラブも多く、充実した設備が整っているとは言えません。また人員体制を見ても、国の基準では概ね40人以下の児童に、支援員2人以上を配置することとされていますが、これでは最低限の安全配慮に手いっぱいで、質の向上を図ることが難しい状況です。2018年11月には、放課後児童クラブの配置人数や資格の有無を地方自治体が独自に定められることとなり、事実上現行の基準を撤廃する政府方針が示されました。こうした背景から、客観的な指標に立脚し、放課後児童クラブの改善を図ることの重要性が高まっています。

 本書籍の原著である『SACERS(読み:サッカーズ、原題:School-Age Care Environment Rating Scale)』は、アメリカとカナダの研究者らによって開発された、小学校に通う子どもに、親以外の大人によって提供されるケアの質を評価する指標を書籍化したものです。7領域(空間と家具、健康と安全、活動、相互関係、育成支援計画、研修、特別支援)47項目の指標で測定します。

 日本財団は今後、複数の地方自治体と協力し、本書を用いて既存の放課後児童クラブの評価を行い、2019年度に結果を公表する予定です。これに先立ち、多様な地域や条件の下での評価結果を得るため、所管する放課後児童クラブを、評価の対象として提供いただける市区町村等の地方自治体を募集します。評価に必要な評価員の派遣等は日本財団が行います。

 なお、日本語版の制作にあたっては、日本財団が推進する、ひとり親家庭や生活困窮世帯の子どもを支援する全国のモデル拠点「第三の居場所」を運営する複数のNPOに協力いただきました。

書籍『新・保育環境評価スケール④放課後児童クラブ』
著 者: テルマ・ハームス、エレン・V.ジェイコブス、ドナ・R.ホワイト著/埋橋玲子訳
出版社: 法律文化社刊
発売日: 2019年3月18日
頁 数: 132頁
価 格: 本体2,400円+税

書籍『新・保育環境評価スケール④放課後児童クラブ』

※幼児版(『新・保育環境評価スケール①3歳以上』『新・保育環境評価スケール②0・1・2歳』『新・保育環境評価スケール③考える力』)に次ぐ、学童期版となります。

【訳者プロフィール】
埋橋玲子(うずはしれいこ)
同志社女子大学現代社会学部現代こども学科教授。保育の現場で、スケールを用いた保育研修を行う。アメリカで原著者らによるECERS、ITERS、FDCERSのトレーニングを受けた。『新・保育環境評価スケール①3歳以上』『新・保育環境評価スケール②0・1・2歳』『新・保育環境評価スケール③考える力』(以上、法律文化社)を訳出。
【著者プロフィール】
●テルマ・ハームス
ノースカロライナ大学(チャペルヒル)フランク・ポーター・グラハム子ども発達研究所(アメリカ、ノースカロライナ州チャペルヒル)
●エレン・ヴァインバーグ・ジェイコブス
コンコーディア大学教育学部(カナダ、ケベック州モントリオール)
●ドナ・ロマノ・ホワイト
コンコーディア大学人間発達研究センター(カナダ、ケベック州モントリオール)

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