再犯防止を目指す職親プロジェクト、初の全国幹事会を大阪で開催 (2018/6/5 日本財団)
日本財団「職親プロジェクト」
目標再確認、課題への対応策議論
安心・安全な社会や、挫折しても再挑戦ができる社会を実現しようと、少年院や刑務所を出た人の再犯防止計画に取り組む日本財団は5月18日、就労の機会や教育を提供する「日本財団職親プロジェクト」の第1回全国幹事会(仮称)を大阪市内で開催。プロジェクトの目的・目標を再確認するとともに、課題への対応策や職親教育モデルの確立について意見を交換した。
日本財団職親プロジェクトは、企業の社会貢献活動と連携し、少年院や刑務所を出た人の円滑な社会復帰を支援するとともに、再犯者率の低下を目指した取り組み。2013年2月、お好み焼店チェーン「千房」(本社・大阪、中井政嗣・社長)など関西の7社と連携して始めた。
自立・更生意欲が高い人を対象に、少年院や刑務所内で面接を行い、雇用を通じて再犯防止を目指す。居住は社員寮や更生保護施設のほか、少年院出院者・刑務所出所者に不足しがちな「教育」を提供する中間支援施設(大阪、福岡、神奈川)があり、行政、企業ともに生活をサポートしている。取り組みの拠点は東京、福岡、和歌山、新潟にも拡大し、他の地域でも芽吹きの動きがある。
当日の幹事会には各拠点の中核的職親企業13社23人に加え、オブザーバーとして2社2人が参加。日本財団の発表によると、出院者・出所者のプロジェクトへの応募総数は計368人、うち雇用内定者は167人(内定率45・3パーセント)、参加企業も107社にまで増加した。一方で応募者数・採用人数は横ばいか微減状態にあり、17年度は採用者数ゼロの企業が89社(17年度末時点の参加企業102社のうちの87.25パーセント)にも上った。出院者・出所者の就労継続期間も約4カ月と短い傾向にあり、約30パーセントは1カ月以内に離職している。
こうした課題を受けて幹事会では、どうしたら応募者数の増加や採用活動の活性化を図ることができるか話し合った。約款で「重大事犯、薬物事犯、強制わいせつ事犯などは除く」とされている対象者の問題が取り上げられ、最終的には企業側の判断も尊重して、犯罪種別の一部拡充を認める表現を追加する案が総意としてまとまった。今後どのような表現にするか詰める。
「教育を受ける・受けないで職場定着率に大きな差が出る」ことについても意見交換が行われた。株式会社ヒューマンハーバー(福岡)の副島勲・社長は「再犯を起させない社会づくりのためにこの会社をつくった。人こそ宝だ。宇宙最大の資源は人間であると思っている。たとえつまずいた人であろうと、教育で気づきを与えるとよみがえる」と教育の大切さを強調し、同社が進める「そんとく塾」について原田公裕・執行役員管理部長(副塾長)は「人間よみがえり教育だ」と紹介した。
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