異才発掘プロジェクトROCKET―4期生32人が新たに仲間入り (2017/12/22 日本財団)
異才発掘プロジェクトROCKET
式典後トップランナーが初講義
突出した能力はあるものの現状の教育環境になじめず不登校傾向にある子どもたちを選抜し、学校でも家でもない新しい学びの場を提供する「異才発掘プロジェクトROCKET」。その第4期スカラー候補生32人が決まり、プロジェクトを共同展開している日本財団と東京大学先端科学技術研究センター(東大先端研)は12月12日、オープニングセレモニーを学内で開催。併せて分野の第一線で活躍しているトップランナーが初講義を実施した。
「Room Of Children with Kokorozashi and Extraordinary Talents」(志と特別な能力を持った子どもたちの集う場)の頭文字を取ったROCKET事業は2014年12月に始動した。小学3年~中学3年を募集対象とし、計画が始まった14年度(1期生)は応募者601人から15人、15年度(2期生)は同536人から13人、16年度(3期生)は同527人から31人をスカラー候補生に選んだ。現在12歳から18歳までの計59人が学んでいる。17年度4期生は同363人から32人を新たに選定した。
式典の開会あいさつで、日本財団の笹川陽平・会長は「私たちから見ればユニークな、個性のある子どもたちが居場所を見つけにくい教育制度に今はなっている。頭で覚えることも大事だが、その子の特性を生かし、個を確立させ、力強い子どもたちを育てるためには、体で覚える、手で触って覚える、歩いて覚える、外に出てさまざまな体験をさせることが大切だと思い、協力させてもらっている」と話した。
プロジェクトのディレクター中邑賢龍・東大先端研教授は、日本の公教育を否定しているわけではないと念を押した上で「はじきだされた子どもたちを応援するプロジェクトであることには間違いがないが、一生懸命仲良くチームを興して進めていきたい人たちと、自由に動き回って好き勝手やっている子どもたちが共存する社会ができてこそ、皆が住みやすい社会、元気のいい社会ができる思う。教育にも多様な軸が必要。この軸の多様性を子どもたちと追求していくのが実はこのROCKETだ」と説明した。
来賓あいさつに立った文部科学省初等中等教育局児童生徒課の松林高樹・生徒指導室長は、フリースクールなど学校以外の場で学ぶ、不登校の子どもの支援を目的にした法律(教育機会確保法)が昨年末にでき、国や自治体が一生懸命応援に努めることになったと解説。「学校は学校で大事だが、学校以外の場、多様な教育の場、そういう所もますますつくっていこうと思っている。その意味でROCKETにも大変注目している」と話した。
この後、4期生の紹介、1~3期生までが学んだユニークなプロジェクト紹介があり、式典終了後早速、初講義に移った。講師は認知心理学者の渡邊克巳・早大教授。プロフィルについて中邑教授が「脳科学や認知科学の研究で、日本のトップを走っている」と紹介。「無意識の世界:認知科学の視点から」と題した渡邊教授の講演は、心と脳の働き、視覚の変化などについて難しい内容ではあったものの、できるだけ専門的なところを除いた説明に、子どもたちは「人間の無意識の世界」の不思議さに引き付けられた様子だった。
●異才発掘プロジェクト ROCKET(日本財団公式ウェブサイト)
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