幕末の「研志塾」精神を再興―鳥取の「地域観」を身につけよう! (2017/7/14 日本財団)
幕末の「研志塾」精神を再興
日本財団、県と協力して実施
「地域のために何かをしたいが、どうしたら良いかわからない」。鳥取県で働く人たちに、個人として必要となる考え方や、組織を動かしていく方法を学んでもらおうというユニークな講座「研志塾」が県内持ち回りで開かれています。日本財団が鳥取県と協力して推進している「鳥取プロジェクト」の一環で、自分と地域との関わりを見つめ直し、「地域観」を身につけてもらうのが狙いです。
研志塾は、幕末期に鳥取藩主・池田慶徳公に仕えた儒学者、正がき適処が始めた私塾です。50歳の時、全ての官職を辞めて現在の北栄町に移住し、隆光寺本堂で塾を再開、地方の師弟を指導しました。幕末には、藩主を助けて明治維新の実現に奔走したといわれています。今回は5月から9月まで7回の講義のほか、7月に合宿を行う予定です。(※正がき適処の「がき」は、「かきね」を意味する漢字)
この日は、八頭郡八頭町郡家の旧商店で3回目の講義が行われました。場所を提供したのは一般社団法人・ワノクニ(平賀謙太代表理事)で、雑貨店だった店舗を改装してイベントの会場などに貸し出しています。受講者17人は三々五々集まり、2階の会場で講義の開始を待っていました。受講者の内訳は、男性10人、女性7人。職業別では県などの公務員が7人、団体関係4人、会社員3人、学生2人などです。この日の会場となった旧商店の正面
この日の講師は、コミュニケーション・エンジニアの原田博一さん。講座の前半3回の「個人編」が担当で、自覚をテーマに、コミュニケーションの取り方やデータの上手な扱い方について学びました。3回目のテーマは、「個人として地域観を身につける」で、まず受講者全員に「あなたにとって、あなたが暮らす地域とは何ですか」と問いかけました。各自が回答を書いた後、それをもとに3人ずつのグループに分かれて「地域とは何か」について討論しました。3人1組で地域とは何かを話し合う受講者
この後、講師の指示で「あなたの中に地域はどのように描かれているか」を実際に紙に描いて見ました。これは生まれてから現在までの心象風景を1枚の紙に図示するもので、地域の大まかな地形を描き、その周辺に四季の出来事や人生のイベント(生と死)を描くものです。全員が描き終えてから、3人1組になって絵を元に説明し合いました。子どもの頃の思い出や、肉親の死など、記憶に残る印象的な出来事が中心になっていました。自分で描いた心象絵図を説明する受講者”
次回の7月15日からは「組織編」と名づけ、個人で考えたことを組織で動かしていくために必要な視点や考え方を学ぶ予定です。担当はマーケティング専門家の長浜洋二PubliCo代表取締役CEOです。受講者の有賀亮子・県地域振興部文化政策課員は「宮城県生まれで鳥取県には4月に来たばかりなので、地域について学び、地域創生のために実践に移していきたい」と張り切っていました。
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