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日中友好と中国の公衆衛生・医療技術の向上に向け、高度の医学交流へ衣替え (2017/2/22 日本財団)

毎年30人受け入れ、人民大会堂で調印式
第5次日中笹川医学協力プロジェクト

日中友好と中国の公衆衛生、医療技術の向上を目指す「日中笹川医学協力プロジェクト」の第5次制度がまとまり2月17日、北京の人民大会堂で中国国家衛生・計画生育委員会、日本財団、日中医学協会の間で調印式が行われました。日中双方による共同研究コースと日本の大学で博士号の取得を目指す学位取得コースを中心に2018年4月以降5年間、医療研究者、専門医師を毎年30人受け入れる予定で、初級研究員の育成を中心に進められてきた同プロジェクトは、5次制度から、より高度の医学交流に衣替えすることになります。

関係者が見守る中、署名した

関係者が見守る中、署名した

笹川プロジェクトは1986年の創設以来、現在、第4次制度で日本に留学中の第38期生25 人を含め計2226人の中国人医師が日本の大学や研究機関で学び、OBでつくる「笹川医学奨学金進修生同学会」(本部・北京、趙群理事長)は中国医学界の中核組織に成長しています。

挨拶する崔副主任

挨拶する崔副主任

調印された第5次制度では、これまで笹川プロジェクトの中心となってきた初級研究員の養成を「中国国内でも十分可能になった」として見送り、新たに年間20人を目途とした共同研究コースと同10人の学位取得コースを設置。共同研究では日本が世界に先行する再生医学や老年医学など先端医学を研究し、学位取得コースでは専門誌などに積極的に論文を発表し博士号の取得を目指す、などとしています。

尾形理事長

尾形理事長

両コースとも医療経験だけでなく、英語で研究成果や論文を発表できる語学能力など高い資質を求め、候補者は中国側が大学病院や研究機関に在籍する医師から選考、日本財団が奨学金や研究費を負担し、日中医学協会と日本財団が受け入れに当たる大学や研究機関との調整を行うとしています。

横井大使

横井大使

調印式には関係ら約50人が出席、日本の旧厚生省に当たる中国国家衛生・計画生育委員会の崔麗副主任(副大臣)は「30年も長きにわたる国際協力プロジェクトとして中国全土の衛生事業の発展に貢献してきました」と関係者に謝意を述べ、日本財団の尾形武寿理事長は、プロジェクトの歩みを振り返った上、「例え結果が良くても10年一日の如く同じスキームでやるのでは意味がない。その時々に合わせ引き続きいい事業に切り替えていきたい」と新制度に対する期待を語りました。

調印後、関係者で記念撮影

調印後、関係者で記念撮影

また来賓として出席した在中国日本大使館の横井裕大使は、「日本が中国に対し提案している5つの協力分野のひとつに少子高齢化があり、これに対応するには医療分野の協力が重要」とした上で、「プロジェクト参加者の活発な交流で日中間の協力がさらに深まることを期待します」と述べました。

調印式が行われた人民大会堂

調印式が行われた人民大会堂

関係者によると、新制度の学位取得コースの設置は日中医学協会の小川秀興理事長(順天堂大学理事長)の発案。当の小川理事長は調印式後の懇談で「新しい制度を皆でサポートし、押し上げていただきたい。それが日中両国の変わらぬ友情の絆になります」と挨拶しました。

笹川プロジェクトにはこれまで日本国内の223の大学や研究機関、さらに大学教授ら1660人が協力。中国から欧米に留学する医学生が留学先に残る傾向が強いのに対し、笹川プロジェクトは中国に帰国し中国の医療に貢献するのを“原則”としており、同学会メンバーからは中国科学院の院士2人、50人近い大学の医学部長や病院長のほか、600人を超す教授クラスの人材が育っており、日中両国の医療専門家の交流や中国の地方・県レベルの医療水準向上に向けた国内交流、ボランティア診療などにも取り組んでいます。

●日中医学協会 ウェブサイト

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