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セクターの垣根を越えて、高度化・複雑化する社会課題の解決を~ソーシャルイノベーションフォーラム2016 (2016/11/14 政治山)

9月28日~30日に虎ノ門ヒルズで開催された「日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2016」には多くの参加者が訪れ、多数のメディアの注目も集めました。かつてない規模で開催された同フォーラムの総括と今後の取り組みについて、日本財団ソーシャルイノベーション本部上席チームリーダーである青柳光昌氏にお話をうかがいました。

日本財団ソーシャルイノベーション本部上席チームリーダーである青柳光昌氏

日本財団ソーシャルイノベーション本部上席チームリーダーである青柳光昌氏

30代のビジネスパーソンが多数来場

政治山
今回のフォーラム全体を通して、参加者の規模と属性についてお聞かせください。
青柳氏
3日間で延べ2200人の来場があり、当初目標としていた2000人を上回ることができました。また、今回はとくに若者とビジネスパーソンへの呼びかけに力を入れましたが、30代の参加者が来場者の3割を超え、10代から40代で来場者の4分の3を占める結果となりました。
政治山
笹川陽平 日本財団会長もフォーラム冒頭の主催者挨拶の中で、マルチセクターの重要性について強調されていました。
青柳氏
高度化・複雑化する社会課題の解決に取り組むためには、行政とNPOだけでなく、企業や研究機関などとの連携が欠かせません。今回は企業セクターからの参加者が35.6%に達し、教育・研究分野からの参加者も1割を超えました。マルチセクターによる取り組みを加速させるという目標も達成することができたと考えています。

激励と期待で熱気に包まれた3日間

政治山
「にっぽんの将来をつくる」という大きなテーマでしたが、主催者としての手応えはいかがでしたか。
青柳氏
講演やシンポジウム、それに30の分科会や10のソーシャルイノベーターによる展示ブースと盛りだくさんの内容でした。どのプログラムも充実した内容で、会場のあちらこちらで新たな交流が生まれるなど、熱気に包まれた3日間でした。満足度も概ね高く、アンケートでは95%以上の方が「非常によかった」または「よかった」との回答を得ることができました。
政治山
小泉進次郎 衆議院議員の基調講演も熱のこもった内容でしたね。
青柳氏
東日本大震災の復興に熱心に取り組み、現在は自民党の農林部会長として農政改革に携わっている小泉氏は、従来から多くのソーシャルイノベーターと交流を持ち、連携していました。その仲間への激励と新たなソーシャルイノベーターへの期待から、基調講演に相応しいメッセージをいただき、その熱は参加者にも伝わったようです。
ソーシャルイノベーターの個別ブース

ソーシャルイノベーターの個別ブース

セクターによって異なる関心、ビジネスパーソンは「資金調達」

政治山
2日目と3日目には全体で30の分科会が行われましたが、とくに注目度の高かったものがあればお聞かせください。
青柳氏
登壇者や内容によって規模も様々だったので、単純に参加者の多寡では判断していません。定員に対する参加者数の割合として、充足率がもっとも高かったのは「自殺大国ニッポン-若者が生き延びるための作戦会議」で、会場に入りきれない人が続出してしまいました。他には「どう育てる地域/まちづくりの担い手-担い手を育てるエコシステムづくりのポイント」、「ソーシャルイノベーター対談」なども高い充足率でした。
政治山
主なターゲットとしていた若者やビジネスパーソンの関心も、同様だったのでしょうか。
青柳氏
それは全く異なっていました。20代30代の企業セクターからの参加者にもっとも人気があったのは「成長を加速する次世代の資金調達-社会的インパクト投資とベンチャーフィランソロピーの可能性」で、ほかの関心テーマを見ても個別の社会課題よりも担い手や資金調達、評価手法に関する分科会への関心の高さをうかがうことができました。
政治山
関連する分野のプログラムが複数同時に行われていて、参加を希望するプログラムに参加できなかったとの声も聞かれました。
青柳氏
そのような嬉しい悲鳴もありました。性別や年代、セクターによって関心事も異なりますので、今回の参加者の動向を詳細に分析するなどして次の開催時には改善したいと思います。
政治山
10のソーシャルイノベーターブースも活況で、人が途切れることがありませんでした。
青柳氏
選出された10組11人の個別ブースについては、正直なところ想定以上の盛り上がりでした。展示品や試供品に工夫を凝らしたり、参加者と一緒に車座になってディスカッションしたり、あちらこちらで交流が生まれ、新たなビジネスチャンスにつながった人も少なくないようです。

日本財団ソーシャルイノベーション本部上席チームリーダーである青柳光昌氏

ソーシャルイノベーター同士の交流から新たなイノベーションへ

政治山
フォーラムからひと月が経ちましたが、受賞者された方々は今どのようになさっているのでしょうか。
青柳氏
特別ソーシャルイノベーターに選出された3組は、1億円の事業計画をさらにブラッシュアップしているところです。惜しくも受賞を逃した7組もフォーラムで得た知見や交流を活かすとともに関係省庁との連携を加速させるなどして、事業に取り組んでいます。また、ソーシャルイノベーター支援制度の次の募集についても申し込みや相談があり、フォーラムの手応えを感じています。
政治山
講評に立たれた元東大総長の小宮山宏 選考委員長からは、このフォーラムは来年はもちろん、10年20年と続けていかなければならないという激励もありました。
青柳氏
参加者の皆さんからも同様の声を多数いただいており、来年も同時期に開催することを決定しています。この取り組みは5年や10年で終わるものではなく、新しく生まれたソーシャルイノベーターがそこかしこで繋がり、また新たなイノベーションが生まれていく、そんな環境を整えていきたいと考えています。
特別ソーシャルイノベーター選出の模様

特別ソーシャルイノベーター選出の模様

政治山
最後に、今後の参加者に対してどのような期待をしているのか、お聞かせください。
青柳氏

今回フォーラムにはマルチセクターからの参加を呼びかけましたが、事業主体もNPOなどの非営利団体に限定しているわけではありません。情報発信力や資金調達力などソーシャルイノベーターに求められる資質は年々変わっていきますし、ヒト・モノ・カネといったリソースの豊富な企業の参入も、もっと増えて良いと思います。

また、今回は20代から40代の方に多くご参加いただきましたが、平日の日中に開催したこともあって10代の参加は全体の1.2%でした。学校と連携するなどして、より若い人たちにも参加を呼びかけていきたいと考えています。

<取材> 市ノ澤 充
株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー シニアマネジャー
政策シンクタンク、国会議員秘書、選挙コンサルを経て、2011年株式会社パイプドビッツ入社。政治と選挙のプラットフォーム「政治山」の運営に携わるとともにネット選挙やネット投票の研究を行う。

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