電力自由化スタート
第36回政治山調査「東電管内でひと際高い切り替えニーズ―クリーンエネルギーよりも安さと分かりやすさ」 (2016/3/10 政治山)
2016年4月1日から電力の小売全面自由化が始まります。すでに電力会社や料金プランの変更などを検討している向きも見られますが、消費者は何を基準に選択しようとしているのでしょうか。政治山では、全国の20歳以上の男女を対象に2月26日から3月1日まで、インターネット意識調査「政治山リサーチ」を用いた調査を実施しました(回答数2,212)。今回はその概要をお届けします。
9割以上が認知するも理解度にはバラつき
まずはじめに、「あなたは自由化について、どの程度ご存知ですか」との問いに対して、「よく知っている」21.2%と「聞いたことがあり、なんとなく知っている」49.5%を合わせて7割超が電力自由化を認知し理解していることがわかった(グラフ1)。
一方、「聞いたことはあるが、よく分からない」21.5%と「聞いたことがなく、分からない」7.7%を合わせると3割弱で、一部で理解が進んでいない現状をうかがうことができた。
既に10.6%が電力会社の変更を検討中
次に、電力会社の変更検討状況についてたずねたところ、「検討している」10.6%と「検討したいと考えている」27.7%を合わせた4割近くに、顕在化したニーズがみられた(グラフ2)。
また、「今のところ検討していない」という潜在的なニーズも45.2%に上り、「検討するつもりはない」という消極的な回答は16.5%にとどまった。
料金の安さと分かりやすさがポイント
続いて、電力の購入先や料金プランの変更を検討する際に何を重視するのか、3つまで選んでもらった(グラフ3)。回答者がもっとも多かったのは「料金の安さ」でダントツの59.0%、大きく離されて「メニューや契約内容の分かりやすさ」25.5%、「契約期間や切り替えの縛りがないこと」23.2%と続いた。
一方、「太陽光や風力などクリーンエネルギーの利用」10.2%や「企業またはブランドのイメージ」9.0%、「地域に密着している企業であること」7.2%の回答者は少数にとどまり、発電方法や企業イメージをあまり重視していないことが分かった。
関東地方で高く中国地方で低い変更検討ニーズ
さらに重視する項目を性・年代別に見てみると、40代以上の男性は「料金の安さ」を、同じく40代以上の女性は「メニューや契約内容の分かりやすさ」を重視する傾向がうかがえた(表1)。
また、60代以上は男女ともに、「電力販売に実績のある企業であること」と「地域に密着している企業であること」を重視し、20代男性は「企業またはブランドのイメージ」を重視する傾向が見られた。
最後に、電力会社の変更検討状況を地域ごとに見てみると、東京電力管内である関東地方では「検討している」14.8%と「検討したいと考えている」31.4%を合わせると46.2%となった(表2)。
一方、中国電力の管内である中国地方では「検討している」3.1%と「検討したいと考えている」19.6%を合わせても22.7%で、東電管内の変更検討ニーズの高さがうかがえた。
今回の調査結果を通じて、電力自由化に対する関心は概して高く、実際に切り替えの検討も進んでいることが分かった。新たに自由化される電力市場は約7.5兆円、契約数は8,000万件を超えると言われているが、これだけの市場となれば玉石混交、様々な事業者が参入することとなり、開始直後の混乱は免れないだろう。
電気は生活に欠かすことができない。切り替えとそのブームによって不利益を被ることがないように、監督官庁や関連事業者の取り組みに期待するだけでなく、私たち消費者も賢く、主体的に選ばなければならない。
本調査レポートについて
本調査の詳細なレポートでは、性別や職業などの属性と各設問とをクロス集計した結果もご紹介しており、「政治山会員」の方は会員ページにてご購入いただけます。
<調査概要>
調査対象者 | 全国の20歳以上の男女 |
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回答者数 | 2,212人 |
調査期間 | 2016年2月26日(金)~3月1日(火) |
主な質問 |
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調査手法 | インターネット調査(政治山リサーチ) |
調査実施機関 | 株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー |
- <著者> 市ノ澤 充
- 株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー シニアマネジャー
政策シンクタンク、国会議員秘書、選挙コンサルを経て、2011年株式会社パイプドビッツ入社。政治と選挙のプラットフォーム「政治山」の運営に携わるとともにネット選挙やネット投票の研究を行う。政治と有権者の距離を縮め、新しいコミュニケーションのあり方を提案するための講演活動も実施している。
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