【衆議院議員選挙2014】
第21回政治山調査「主婦の半数強が棄権?戦後最低投票率の更新も」(1/2) (2014/11/28 政治山)
安倍内閣は、消費税率10%への引き上げ時期について、来年10月から1年半先延ばして2017年4月に実施するとして、その判断の是非を国民に問うために衆議院を解散しました。今年4月の8%への増税から8カ月、消費増税は私たちの日々の暮らしにどのような影響を与えているのでしょうか。
政治山では、株式会社うるるとの共同調査として同社が提供する主婦特化型マーケティング調査サイト「暮らしの根っこ」会員のうち、既婚の成人女性を対象に11月20日~25日の間でインターネット調査を実施しました(回答数1000、調査概要へ)。
本調査の結果を受けて、選挙・投票行動の研究や世論調査分析を専門とする早稲田大学現代政治経済研究所特別研究員の今井亮佑氏のレポートを紹介します。
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11月21日、安倍晋三首相は伝家の宝刀を抜いた。4年の任期の折り返しを前に、衆議院を解散したのである。これを受けて政治山は、既婚の成人女性1000人を対象とするインターネット調査を実施した。
この調査では、8%への消費増税直後の今年4月に行った「暮らしと消費増税に関する有権者意識調査」に盛り込んだ消費税に関する質問の他、第2次安倍内閣の実績に対する評価や、経済状況に関する認識、来る衆院選での投票意図などについても尋ねた。
本小論は、このインターネット調査について行った簡易な分析の結果を紹介するものである。
なお、以下の分析は、全国の有権者から無作為に抽出したサンプルを対象とした調査に基づくものではなく、あくまで、モニタ登録している主婦を対象としたインターネット調査に基づくものである。このため、分析に現れる数字は全国の有権者の意識を代表するものではない、ということに留意して結果を見る必要がある。
内閣支持率は2割未満と低調、不支持は4割超
「あなたは、現在の安倍晋三内閣を支持しますか、それとも支持しませんか」という質問に対する回答は、「支持する」が18.1%、「支持しない」が40.1%、「どちらでもない」が41.8%であった(グラフ1)。
各新聞社が行う世論調査とは異なり 、選ばれやすい「どちらでもない」という選択肢が含まれているため、巷間流布するいわゆる内閣支持率と単純に比較して論じることはできない。しかし、本調査の対象である主婦の間で、内閣支持率を不支持率が上回っているということは確かである。しかも、4月に行った「暮らしと消費増税に関する有権者意識調査」と比較すると、「支持する」の割合がプラス0.9%とほぼ変化していないのとは対照的に、「支持しない」の割合は7.3%も上昇している。衆院選を前に、与党にとっては頭の痛い調査結果と言えよう。
主婦の目から見た安倍内閣の目玉政策
続いて、「医療・介護」「外交・安全保障」「景気・雇用対策」「原発・エネルギー政策」「子育て支援・教育政策」「消費税増税」「女性の活躍推進」「地方創生(地方活性化)」という8つの政策課題について、第2次安倍内閣がよくやってきたと思うかよくやってこなかったと思うか5段階で評価してもらった。その回答の分布がグラフ2である。
第2次安倍内閣の実績に対する主婦層の評価は、概してシビアである。唯一「外交・安全保障」のみ、肯定的な評価(よくやってきた、ある程度よくやってきた)の割合(29.4%)が否定的な評価(あまりよくやってこなかった、よくやってこなかった)の割合(32.2%)と拮抗しているが、それ以外の7項目に関しては、否定的な評価の割合が肯定的な評価の割合を大きく上回っている。
第2次安倍内閣の目玉政策とも言える「景気・雇用対策」(いわゆる「アベノミクス」)や「女性の活躍推進」「地方創生」でさえ、少なくとも本調査の段階では、肯定的評価に足る実績を上げているとは見なされていない。
厳しい暮らし向き、良くなったと感じているのはわずか5.6%
いわゆる「アベノミクス」の影響(の有無)を日々の生活において肌で感じている主婦層は、経済の現状をどのように認識しているのであろうか。「現在の日本の景気は、1年前と比べるとどうでしょうか。現在のお宅の暮らし向きは、1年前と比べるとどうでしょうか」という質問で、第2次安倍内閣の下で日本の景気および暮らし向き(家計状態)が好転したと思うか悪化したと思うかについて尋ねた(グラフ3)。
まず日本の景気に関する回答は、「良くなった/少し良くなった」が13.8%、「変わらない」が44.6%、「少し悪くなった/悪くなった」が36.0%であった。第2次安倍内閣が放った「三本の矢」、すなわち金融政策・財政政策・成長戦略が目に見える効果を上げているとは主婦層は感じておらず、むしろ、景気は1年前に比べ悪化していると感じている回答者が多くを占める。調査実施の直前(11月17日)に内閣府が発表した7-9月期の実質国内総生産(GDP)第1次速報の値が予想以上に芳しくなかったことが、回答に影響したのかもしれない。
一方、暮らし向きに関する回答は、順に5.6%、46.0%、43.8%であった。日本の景気以上に、家計状態に関する認識は厳しい。主婦層は、今年4月の消費増税の影響に最も敏感であることから、増税の負担感が回答に反映されたものと考えられる。
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次のページでは、回答者の政党別の投票意図と予測値などについて紹介します。
<調査概要>
調査対象者 | 全国、20歳以上の既婚女性 |
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回答者数 | 1,000 |
調査期間 | 2014年11月20日(木)~25日(火) |
主な質問 | 調査テーマ「暮らしと消費増税に関する有権者意識調査」 ・普段あなたは何党を支持していますか。 ・あなたは、現在の安倍晋三内閣を支持しますか。 ・現在の日本が直面している8つの政策課題について、安倍晋三内閣はよくやってきたと思いますか。 (1)医療・介護(2)外交・安全保障(3)景気・雇用対策 (4)原発・エネルギー政策(5)子育て支援・教育政策 (6)消費税増税(7)女性の活躍推進(8)地方創生(地方活性化) ・現在の日本の景気は、1年前と比べるとどうでしょうか。 ・現在のお宅の暮らし向きは、1年前と比べるとどうでしょうか。 ・あなたは今度の衆院選で、どの政党の候補者に投票しようと思っていますか。 |
調査手法 | インターネット調査(主婦特化型マーケティング調査サイト「暮らしの根っこ」) |
調査実施機関 | 株式会社パイプドビッツ、株式会社うるる |