第12回政治山調査「消費税増税に関する意識調査」(2/2)
消費増税への懸念は多く、投票行動にも大きく影響
続いて、消費税の増税を支持する政党または候補者に、次回の国政選挙で投票するかを聞いた(グラフ5A)。投票するという回答は31.2%、投票しないという回答は26.3%であり、明確に投票行動には影響しないと答えた人は6.1%にとどまった。投票する・しないの態度は分かれたものの、増税支持の有無が過半数の有権者の投票行動に影響を与えることが分かった。
これを支持政党ごとに見ると(グラフ5B)、自民・公明両党支持層の61.5%は消費増税を実施しても支持政党に投票すると回答しており、与党は支持層に対して、増税の必要性を訴え一定の理解を得ていることをうかがうことができた。一方野党支持層は、与党支持層ほど明確な態度は表明しておらず、各党がそれぞれの支持層に対して、支持・共感を得られていない状況が浮き彫りとなっている。
また、支持政党なしと回答した人の30.1%が消費増税を支持する政党・候補者には投票しないと答えているが、48%の人が「わからない」と回答している。いわゆる無党派増では、消費増税への評価と投票行動が一致するかは今後の政局や景気に左右される傾向が見られた。
同じくインターネット上のコミュニケーションツール利用頻度から投票行動を見ると(グラフ5C)、利用頻度の高い層では消費増税を支持する政党または候補者に投票する傾向が見られた。一方、利用頻度の低い層では「投票行動には影響しない」、「わからない」といった回答がやや多く、消費増税以外の争点への関心の高さをうかがうことができた。
~自由記述回答より抜粋~
投票行動に影響しない理由
・問題は消費税だけではない
・増税より防衛の方が大事だと思うから
・原発問題で決めるから
・経済復興や福祉・外交などの政策
・政党ではなく人物に投票する
喫緊の課題は「生活必需品に対する軽減税率の適用」
10月1日には、事業者-消費者間における不当な値引き交渉や消費税額の表示方法について定めた「消費税転嫁対策特別措置法」が施行される。来年の4月に消費増税を実施する場合、どのような課題があるかを聞いた(グラフ6)。
特に消費者から見た懸念は大きく、「生活必需品に対する軽減税率の適用等への検討が不十分である」(55.4%)という回答が最多となった。次いで「便乗値上げ等で消費者が不利益を被る恐れがある」(39.7%)、「課税を減免される事業者もあり、不公平である」(32.5%)、「段階的な税率の引き上げは無駄なコストがかかる」(31.4%)となった。
その他の回答としては「税徴収の仕組みがおかしい」、「付加価値税として正しい税体系にすべき」といった税制への不満から、「大企業から中小企業への値下げ要求が激化する」、「還元セールを禁止する意味が分からない」など率直な意見まで聞くことができた。
インターネットと選挙、コミュニケーションツールの可能性は未知数
本年7月の参議院選挙以降、インターネットを利用した選挙運動が一部解禁された(=ネット選挙解禁)が、ブログやSNSといったコミュニケーションツールの利用頻度について聞いた(グラフ7)。その結果、インターネット上のコミュニケーションツールはツールごとに見ると過半数が利用していない回答、それぞれ20%程度の人が頻繁に利用しており、複数のツールを駆使するユーザーが一定数を占めていることがうかがえた。
特にFacebookは「ほぼ毎日利用している」と「週に2~3回利用している」を合わせると25%となり、ネット選挙解禁時に多くの候補者がアカウントを取得したことからも分かるとおり、右肩上がりに増える利用者の実態を裏付ける結果となった。
最後に、普段の投票行動とインターネットによる投票について聞いた。普段投票に行っているかという問いに対しては、必ず投票に行くという回答が70.4%(グラフ8)、また、インターネットによる投票が可能となった場合の投票行動については、インターネットでの投票を望む回答が41.6%に達している(グラフ9)。ネット選挙解禁では一部の選挙運動が解禁されたが、前回の「第11回政治山調査」で聞いた「ネット選挙解禁で期待外れだった点」として22.1%の人が「インターネットで投票できなかった」ことと回答しており、投票率の向上や選挙運動・選挙事務の費用削減と効率化のために、さらなる検討を期待したい。
◇ ◇ ◇
消費税の増税は、そもそも「社会保障と税の一体改革」の中で論じられてきたものであり、高齢化が進む日本の課題として、また私たち一人ひとりの日々の暮らしに大きな影響を与えるものとして、十分な議論と説明を欠かすことはできない。政治山では引き続き、建設的な政策論議と国民的コンセンサスの形成に向けた過程に注目していきたい。
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