オフィスの機能追求でどこまで職場の生産性を高められるのか (2019/1/23 瓦版)
オフィス進化論 その参
いまや、ハードとしてのオフィスのカタチにベストといえる解はない。正確には、最適なカタチは各社各様で企業の数だけあるということだ。昔ながらのオフィスがしっくりくる企業もあれば、基本はリモートワークでオフィスはコミュニケーションの場と捉える企業もある。いわばハイブリッド型だ。
作業を推進するハードとしてのオフィスの未来形の追求
オフィスの進化を突き詰めれば、設備面の充実はもちろん、必然的にそこで働く社員の質や意識の問題に突き当たる。極論をいえば、社員全員がプロフェッショナルなら、もはやオフィスの機能性は関係ないということだ。逆にいうと、オフィスに機能性を追求することは、そうしたことを補完するためといえるかもしれない。
イトーキのオフィス変革の取り組みは、この命題にひとつの答えを示す興味深いものだ。オフィスによって生産性が高まる。それを可能にするためには、各居室が、取り組む作業を最大化してくれる空間である必要がある。イトーキが東京・日本橋に構えた新オフィスは、まさに作業内容に合わせた居室が複数用意された、仕事モードを駆り立てる仕様となっている。
電話をするならそれに適した機能を持つ居室。アイディア出しをするならそのための設備を備えた空間。高い集中が必要な場合はそうしたスペース、リラックスするための居室もある。どの居室も最新のオフィス家具や設備が導入されているのはもちろん、照明から机の高さ、防音、BGMなどいたるところに快適さを最大化する工夫が散りばめられている。
行動の可視化でPDCAをしっかり回し、柔軟に改善対応
どこでも仕事が可能な環境が整いつつある中で、あえてオフィスで仕事をする以上、そこが確実に付加価値を生み出す場でなければ意味がない。そうした考えがあるからこそのこだわりだ。加えて、イトーキではさらに一歩踏み込んだ施策も行っている。行動データ取得による働きぶりの可視化だ。
1日の業務でどんな部屋を活用する時間が多かったのか。これを予約データからグラフ化。アウトプット内容とすり合わせ、生産性向上に有効だったのかを検証する。これまでのオフィスでは、生産性を高める工夫はしても、やりっ放しで効果検証はおぼつかない側面があった。その結果、働き方改革そのものの効果もあいまいになり、単なる業務改善レベルに終わる。さらにそのことにさえ気づかぬまま自己満足となっていることも珍しくなかった。
同社では、こうしたデータによる検証をしながら、随時オフィス設計を見直すことも視野に入れ、柔軟に対応していくという。つまり、新オフィスはあくまで始まりでしかなく、最終形はない。これこそが、次世代のオフィスのあり方として究極のスタンスといえるのかもしれない。(続く)
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