経産省のIT導入支援補助、中小規模の医療・介護サービス事業所も対象―厚労省 (2018/10/18 メディ・ウォッチ)
経済産業省の実施している「IT導入支援事業」は中小規模の医療・介護サービス事業所等も対象となっているので、生産性向上に向けて活用を検討されたい―。
厚生労働省は10月16日に発出した事務連絡「『サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金)』の周知のお願いについて」の中で、こう呼びかけています。
働き方改革には生産性向上が不可欠、その1手段としてICT導入が有用
安倍晋三内閣は、「働き方改革」を進めています。そこでは、労働者の健康を確保するために「時間外労働の上限を厳格に定め、これに違反した事業者に罰則を科す」ことが注目されますが、これを実現するためには「効率のよい働き方の実現」、つまり「生産性の向上」を進める必要があります。
また、今後、高齢化だけでなく、高齢者を支える若年世代人口が減少していく(2025年から2040年にかけて急速に若年世代減少が進む)中では、費用負担はもとより、「医療・介護を提供する人材」の不足が顕著となります。このため厚生労働省は「限られた働き手が最高のパフォーマンスを実現する」、つまり「生産性の向上」によって人材不足の一部を補うことが不可欠と指摘しています。具体的には、2040年に必要となる医療・介護・福祉分野のマンパワーは「1065万人」と推計されますが、健康寿命の延伸や生産性の向上により「935万人」に抑えることが可能とされています(もちろん935万人の確保も高いハードルである)。
この点、生産性を向上させるための1つの手段として「ICTの導入」があります。例えば介護分野では、認知症高齢者の挙動について、見守りセンサーの活用などが進んできています。これにより、介護者等は「人の手を使わなければなしえない業務」に専念でき、生産性が向上すると考えられています。また、より普及している事例としては、「レセプトの電子化」などがあげられるでしょう。
経済産業省では、中小企業・小規模事業者の生産性向上に向けて「業務効率化等に資する簡易的ITツール(ソフトウェア、アプリ、サービス等)の導入」を支援していますが(2017年度の補正予算で実施されている「サービス等生産性向上IT導入支援事業」)、厚労省は、▼介護事業も対象となっている▼11月19日まで三次公募がなされている―ことを強調し、介護事業所等において本支援事業を活用してはどうかと提案しています。また、介護事業に限らず「医療法人」や「社会福祉法人」も対象となっている点に留意が必要です。
●経済産業省の「IT導入補助金」に関するサイトはこちら
医療法人・社会福祉法人であれば、「常勤の従業者が100人以下」の事業所・施設が対象となり、▼ソフトウェア・クラウドの利用費▼導入関連経費―などが補助対象となります。介護事業では、例えば「帳票・書類の作成・提出をIT化するソフトウェア等の導入」などが思い浮かびます。詳細は経済産業省の該当ホームページでも検索可能ですが、後述するように「IT導入支援事業者」との相談が近道のようです。補助額は「15万円以上50万円未満」で、事業費用の50%以下となります。
補助を受けるためには、次の3ステップを踏むことが必要です。
▽支援機関(近隣の「よろず支援拠点」「商工会」「商工会議所」「ITコーディネーター」など)に、経営課題や課題解決のためのITツール(ソフトウェアなど)を相談する
↓
▽導入したいITツールやIT導入支援事業者(事務局の認定を受けた事業者)を決定し、そのIT導入支援事業者ともに経済産業省のホームページから必要な情報を提出する(申請)
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▽経済産業省で審査を行い、採択の上でITツールを導入・活用する(補助事業の実施)
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