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2020年債権法改正―債権譲渡制限特約について (2018/9/27 企業法務ナビ

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1、はじめに

 2020年施行民法の主要な改正内容として、法定利率の変更、消滅時効期間の変更と並んで債権譲渡の緩和があります。

 以下では、旧民法と改正民法の違いを踏まえつつ、債権譲渡の緩和が企業にどのような影響を与えるかをみていきたいと思います。

裁判

2、債権譲渡制限特約について

 旧民法の条文(466条)解釈によると、債権譲渡を制限する特約に反して債権が譲渡された場合、債権を譲り受けた第三者(以下「譲受人」といいます)が特約の存在を知り、または著しい不注意によって知らなかったとき(以下、「悪意・重過失」といいます)に債権譲渡が無効になります。

 これに対し改正民法によれば、悪意・重過失の譲受人であっても債権譲渡契約は有効となります。ただし、債務者は悪意・重過失の譲受人に対しては代金支払を拒むことができます(民法改正要綱案 第19.1.(1))。

 ここで気を付けていただきたいのは、債務者は悪意・重過失の譲受人に対して代金支払いを拒めますが、債務は消滅していないということです。すなわち、一定の条件の下で債務者は悪意・重過失の譲受人に代金を支払わなければなりません。その条件を定めるのが要綱案第19.1.(2)になります。同要綱案によると、譲受人は債務者に対して相当の期間を定めて譲渡人に代金を支払うよう催告することができ、それにもかかわらず債務者が代金を支払わない場合に、譲受人が代金を請求することができます。

 コメントでも述べますが、改正民法は上記のような調整によって債権の担保化を容易にしつつ譲受人の保護を図っているといえます。

3、コメント

 先に述べた通り、旧民法では債権譲渡が無効になる可能性があるため、債権を担保に融資を受けることが困難となり、債権の流動化を阻害するという弊害があります。

 これに対し、改正民法によれば債権の担保化が容易になります。すなわち、金融機関は債権譲渡が無効となるリスクを気にせず債権を譲り受けることができるので、以前に比べ企業側が融資を受けやすくなります。その結果、会社の資金繰りが改善され、個人保証などに頼らずに済むといえるでしょう。

 法務担当者としては、今回の法改正の趣旨を十分に理解したうえ、資金調達と債権回収の両面でいかに債権譲渡を活用するか、また活用する際のリスクなどを考察してみるとよいでしょう。

提供:企業法務ナビ

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