国内ホテル、民泊が奪っていた訪日外国人や家族客を強化へ 民泊ニーズをホテルに取り入れる動き (2018/8/10 Airstair)
訪日外国人観光客の増加を受けて、シングルやツインルームなど定員1~2名の客室だけではなく、訪日外国人や家族客(グループ客)向けの客室整備に向けた改装リニューアルや開業の動きが相次いでいる。
東京ディズニーリゾートオフィシャルホテルのヒルトン東京ベイは、ファンタジーの世界を体験できる「ハッピーマジックルーム」(全256室)を、2段ベッドを設置した「ファミリーハッピーマジックルーム」(全197室)へと改装。
また大阪市北区のホテル阪急インターナショナルは2018年6月5日に和室タイプのスイートルーム2室を最大4名の洋室ファミリールームに改装した。
オリックス不動産は、家族連れやグループ客向けに最大8名で宿泊できる部屋をそろえるUSJ公認ホテル「ホテル ユニバーサル ポート ヴィータ」を2018年7月15日に大阪市此花区で開業する。
住宅宿泊事業法が施行された2018年6月に民泊物件は大幅にその数を減らしたが、民泊が奪っていたグループ客や訪日外国人のニーズをホテルがカバーする動きがみられる。
アパホテル、京都で客室の8割が3人部屋のホテル開業へ
ビジネスホテルを全国で展開するアパホテルも訪日客に照準を合わせ全客室400のうち約8割にあたる314室が3人部屋となる大型ホテルを京都で開業。
鉄骨造の地上11階建て、ダブル26室、ツイン60室、トリプル314室の計400室を擁する大型ホテルで、露天風呂を完備する大型浴場を設置。
客室には幅180㎝の大型サイズのベッドやハウザーベットを導入し、インバウンドのグループや家族での利用が強く意識されている。なお、ロビーや全客室には通信速度とセキュリティー機能を兼ね備えた無料Wi-Fiも完備されるという。
アパグループの代表取締役社長の元谷一志氏は「訪日客は年々増加しており、客室内は幅1,800㎜のキングサイズベッドやハウザーベッドを導入した。トリプル利用など多様な宿泊需要に対応できるホテルになっている」とコメント。
ビジネスホテルとして知られるアパホテルも3名宿泊できるトリプルを大幅に強化する方針だ。
不動産など他業種もグループ客向け宿泊事業に参入
家族客やグループ客等をターゲットとした客室の整備はホテルだけにとどまらず、不動産事業者や異業種による宿泊事業への参入の中でも見られる。
不動産事業を展開する宅都ホールディングスは2018年5月に大阪市内に民泊施設「TAKUTO STAY堺筋本町」をオープン。全部屋13室は、キッチン調理器具一式付きで最大5~7名が利用できる部屋構成としているのが特徴だ。
注文住宅を中心に資産活用、介護・保育事業などを展開するヒノキヤグループは、子会社を通じて2018年4月に「レジデンシャルホテルIKIDANE町屋」をオープンした。最大4~6名が利用できる客室のみでキッチンや調理器具一式付きで洗濯機や洗面台なども完備する。
グループ客や家族客などをターゲットとし広めの客室を有する宿泊施設は、ホテルだけではなく異業種による参入の中でも相次いで増えており、今後もその数を増やしていくことになりそうだ。
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