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震災に備え「地震保険」に入るべきか 仕組みや検討すべきポイントを解説 (2018/7/11 JIJICO

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地震が多く巨大地震の可能性もあるので「地震保険」に入るほうが良い

「日本は地震大国」とよく言われます。気象庁の調査では、2017年は震度1以上の地震が2025回と1日5~6回は日本のどこかが揺れていたという状況です。また、平成に入って阪神・淡路大震災や東北大震災など巨大地震が発生しましたが、この2つの震災における家屋の被害(全壊~一部破損)は約178万棟となりました。

さらに、政府の地震調査委員会の発表では、30年以内に震度6弱以上の地震に見舞われる確率は最も高い千葉が85%、三大都市圏では東京が48%、名古屋が46%、大阪が56%と予測しています。日本に住む限り地震による被害を受ける可能性は大きく、被害に耐えうる十分な資産を保有する人以外は地震保険への加入をおすすめします。

地震

地震保険の仕組みと保険料を知る

加入にあたって検討すべきポイントは?

1.地震保険の仕組み・補償範囲・限度額を知る
地震保険は地震・噴火などを原因とする火災・損壊などの損害を補償する保険です。火災保険では地震による損害はほとんど補償されません。地震保険の対象は居住用の建物と家財で、単独で契約することができず火災保険とセットでの契約となります(加入中の火災保険に途中でセットすることも可能です)。

保険金額は火災保険で設定した金額の30%~50%の範囲内で設定でき、上限は建物5000万円、家財1000万円となっています。保険金は実際の修理費ではなく、損害の程度(全損・大半損・小半損・一部損)に応じて保険金額の一定割合が支払われます。

2.保険料が安くなる4種類の割引制度
地震保険には4種類の割引制度が設けられており、建築年または耐震性能により10~50%の割引が適用されます。(ただし、重複適用はできません。)

建築年割引
1981年6月1日以降に新築された建物。割引率10%。
耐震等級割引
法律で定められた耐震等級1~3に該当する建物。割引率10~50%。
免震建築物割引
法律で定められた免震建築物に該当する建物。割引率50%。
耐震診断割引
耐震診断または耐震改修の結果、法律で定められた耐震基準を満たす建物。割引率10%。

また、保険期間は短期(1年)と長期(2~5年)があり、長期になればなるほど割安になります。さらに、割引とは異なりますが2007年より従来の損害保険料控除が改組され地震保険料控除が創設されました。これにより所得税が最高5万円、住民税が最高2万5千円を総所得金額から控除できるようになりました。

3.補償額を増やす方法
地震保険は1964年の新潟地震をきっかけとして始まり、その主な目的は被災者の当面の生活を支えることであり、保険金で損害をカバーする考え方の火災保険とは目的が異なっています。

従って、地震保険の保険金額は最大でも火災保険の50%にとどまっており、自宅の再建には不十分な面があります。そこで注目を集めているのが、火災保険の特約の追加で、2つのタイプがあります。

1つは被災時に地震保険と同額の保険金を出す「地震危険等上乗せ特約」であり、もう1つは地震保険金とは別に火災保険金の最大50%を補償する「地震火災費用特約」です。その他では「少額短期保険」があり、これは火災保険や地震保険に加入しなくても入れるのが最大のメリットです。ただし、補償を上乗せする分だけ支払う保険料も増えるため、家計でどこまで負担できるのかをよく考えてみましょう。

大地震のリスクがあるにもかかわらず地震保険の加入率は約30%にとどまっています。「備えあれば憂いなし」これを機会に検討されてはいかがでしょうか。

提供:JIJICO

著者プロフィール
山下幸子

山下 幸子/ファイナンシャルプランナー
大阪府池田市生まれ。同志社女子大学卒業後アパレル会社に就職、宝飾品の接客サービスに従事。宅建の資格取得後不動産会社に転職し、マンション・投資用物件など不動産の販売に携わる。結婚後、夫の転勤により仕事を退職し専業主婦に。出産後、自らの家計を考えるうちに大失敗し、お金の勉強を始める。ファイナンシャルプランナーの上級資格 CFPRを取得し、独立系FP事務所 山下FP企画 を設立。

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