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入社式ならぬ、「復職式」を行う企業の狙いとは (2018/4/20 瓦版

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多様な働き方が救う人手不足という難局 Vol.0

復職社員をキチンと迎え入れる儀式

「おかえりなさい」。あいさつする人事担当役員の視線の先には14人の社員が座っている。実はそのうちの8人が、それぞれ出産や子育てなどの事情で、休業していたメンバー。この日、揃って出社したのは、「復職式」への出席のためだ。オイシックスドット大地(株)では、こうして復職者を受け入れる式典を毎年4月に実施している。

復帰先の部署上司も出席し、復職者を迎える式典であいさつする小崎氏

復帰先の部署上司も出席し、復職者を迎える式典であいさつする小崎氏

出産や育児で職場を離れた社員は、順調なら育児休業などを経て職場復帰を果たす。いまでは、とりづらいというケースは少数派になりつつあるが、それでも戻りづらさなどから離職や転職となるケースもある。復職後は急な呼び出しなどで、職場に負担をかけることも少なくない。

復職式は、そうした職場へ戻ってくる社員を全員が温かく受け入れ、スムーズになじめることを推進する狙いがある。「復職する社員は不安でいっぱいだと思います。こうした式で迎え入れることで、気持ちを新たにいいスタートを切ってもらい、受け入れる部署の社員も一緒にやりましょうと気持ちを新たにしてもらえれば」と同社人材企画本部部長の小崎宏行氏は説明する。

復職式に先立ち、3月には「復帰前研修」を実施。育休中に起きた会社の出来事を共有することで円滑な職場復帰をサポート。受け入れる上司や部署に対しても「復帰者受け入れ心得講座」を開催する。さらに、復職社員からの要望を吸い上げる仕組みを構築するなど、同社では、互いが気持ちよく働ける状況・環境づくりを継続的に行っている。

今後ますます重要になる、パフォーマンスが発揮できる職場づくり

こうした施策効果などもあり、同社では育休取得率100%、復帰率もほぼ100%と高水準をキープしている。2人目の育休からフルタイムでの復職をするあるママ社員は、「多様な働き方というと時短がありますが、私は制約はあるけどフルで働きたい。そうした要望でも出社時間の調整で柔軟に受け入れてくれるので、安心して働けます。復職は2回目ですが、不安はゼロで、4月が待ち遠しかったです」とその心境を明かした。

同社にはこの復職式の他、2時間単位の有給があるなど、多様な人材が働きやすい環境が整備されている

同社にはこの復職式の他、2時間単位の有給があるなど、多様な人材が働きやすい環境が整備されている

長時間労働が当たり前だったかつての働き方では、残業は善、定時帰宅/有給取得は悪、といった価値観が蔓延していた。だがいまや、それでは企業は人材からも消費者からもそっぽを向かれる時代。復職社員を温かく迎え入れ、式典まで開催するのは、会社が休業を前向きにとらえている姿勢を示す分かりやすい形でもあり、形以上の効果が期待できるだろう。

高齢化と人口減少は今後急速に進んでいく。職場では、育児に加え、介護、さらにシニア社員は自身が疾病を抱えながらの就労も珍しくなくなるだろう。そうなれば、だれもが時間通りに安定的に職場にいる状態を維持することは困難になる。確実に到来するそうした状況を、出来る限りクールにスマートに乗り切るには、新たな人材探しに労を費やすより、既存社員がいかに働き続け、パフォーマンスを発揮できる環境を整備できるかにかかっているといえるのかもしれない。

提供:瓦版

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