働き方改革の具体例とは?~厚生労働省の働き方改革取り組み事例より~ (2018/3/15 nomad journal)
働き方改革の取り組み事例とは
厚生労働省のホームページにはさまざまな働き方改革の事例が載っています。このコラムでは4社の事例を紹介しますが、他にもさまざまな事例が載っていますので、ぜひ参考にしてください。特に同じ業界の働き方改革は読んでみる価値があります。ここの掲載されている以外にも働き方改革を実践している企業はありますので、今後もニュースなど注目してください。
1.テレワークの導入~石井事務機センター
働き方改革には在宅勤務などのテレワークも重要なテーマのひとつです。石井事務機センターはテレワークを導入し、以下の成果が上がっています。
- テレワークの導入前は毎月40~50時間残業が発生していたが、残業時間が半分に減少した(平均51.8%削減。70%削減できた社員もいる)。
- テレワークを導入することで、小さい子供がいる社員は子供が急な病気になっても自宅で勤務できるようになった。また、保育園のお迎え時間に合せて定時前に退勤し、自宅で勤務するといった働き方が可能になった。
- 求人票に「在宅勤務可」と一文あるだけで応募者数が向上し、より優秀な人材を確保できるようになった。また、新卒採用では就活学生に対して訴求したことで岡山県内の大学生の希望就職先ランキングで12位となることができた。
特に3つ目の応募者数の向上は注目すべきです。働き方改革をすることで、優秀な人材が集まるということを示しています。
2.長時間労働・腰痛・メンタル不調の防止~社会福祉法人あいの土山福祉会エーデル土山
福祉業界はとてもきつい労働環境で離職率も高いと言われています。その中で、以下のような働き方改革を実践しています。
『残業ゼロ』の取組
- 『役職者が率先してカエル』運動
- 『マイナス10分』運動(一斉出勤・一斉退勤)
- 『安全衛生委員会』でのチェック
- 『業務改善遂行室』の設置
『腰痛ゼロ』の取組
- 移乗用リフトの導入(合計10台(利用者対比6:1の割合))。
- 浴室に吊上式リフトを設置。
- 寝返り介助を体位変換のための電動自動式エアーマットを導入。
- 介護、看護職員全員にチタン式腰痛ベルトやネックレスを配布。
- ウォーターベットや酸素カプセルを施設に設置し、休憩時間や夜勤の仮眠時間等で利用できるようにしている。
- 定期的に腰痛チェックを行い、問題がある場合は産業医の診断を受け、ケアしている。
『メンタル不調ゼロ』の取組
- 毎月定例で15分程度、役職者が職員との『トーキング(個人面談)』を実施し、日頃の悩み相談だけでなく、指導や法人の思いを伝える場としている。特にメンタル不調を起こしやすい新人や人事異動者、精神疾患の既往者などには、看護職員や安全・衛生管理者が面談を行い、必要に応じ産業医にも相談し、診察を受けてもらっている。
- 育児や介護、看病などの各家庭状況に応じて職員の勤務形態や業務内容を柔軟に変更し、勤務継続ができるよう配慮している。
- パワハラ、セクハラ、マタハラなどが起きないよう、「モラルハラスメント防止ブック」という小冊子を作成して職員全員に配付し、防止教育を行っている。併せて、ハラスメントごとにポスターの作成及び掲示することにより、ハラスメントが起きない職場づくりに努めている。
残業ゼロを実現するだけでなく、腰痛ゼロ、メンタル不調ゼロのための取り組みをしているのが特徴的です。特に介護の場合、腰痛になる人が多いです。腰痛を改善するだけでも労働環境が改善すると言えるでしょう。
3.ワークライフバランス~花王株式会社
花王はワークライフバランスの実現に向けて努力している企業のひとつです。そのためさまざまな取り組みを行っています。
- メリハリのある働き方に向けた職場の意識啓発
- フレックスタイム制のコアタイム廃止
- 時間単位の休暇取得制度の新設
とくに時間単位の休暇取得制度の新設は新しいです。これは「「私事の都合で半日休暇を取得しても、数時間以内で用事が済むことが多い」との社員の声を吸い上げ、年次有給休暇のうち5日間と子の看護休暇・家族の介護休暇を1時間単位で取得できる制度」のことです。確かに短時間の有給休暇を認めることで、有給休暇を有効に使うことができるでしょう。
「育児はパートナーと協力し合うもの」「時間制約があっても、能力を発揮して就業継続できる環境の整備」を方針に各種支援を行う。
- 復職前セミナー
- 社内託児施設
- 男性社員の育児休業取得促進
育児に関しては男性にも育児休業取得を促進しています。そのため、「2015年の花王グループにおける男性の育児休業取得率は、127名(対象者の約40%)」となりました。この取得率は高いと言えます。こうした取り組みは他社でも積極的に行ってほしいものです。
4.朝型勤務の導入と労働時間の削減~株式会社オプト
労働時間を削減する取り組みはさまざまな企業で行われていますが、朝型勤務の導入は企業としては珍しいと言えます。
- 「残れナイン」による所定外労働時間の削減
- 「朝パン」の配布
- 短時間勤務制度
- 在宅勤務
- 年次有給休暇取得促進の取組
- リフレッシュ休暇
特にこの企業では「定時は9:30~18:00であるが、夜残業するのであれば、朝に効率的に働いてほしいとの考えで、早めに出勤した社員にインセンティブを与えるために8:45から「朝パン」の配布を始め」、「2015年1月からは「モーむす(モーニングおむすび)」と称し、おむすびの配布に変更が決定」されています。こうした取り組みはとても珍しいですね。早く出社して早く帰ることで育児も余裕を持ってできますし、朝の満員電車を避けることもできます。
さまざまな事例を勉強しておきましょう
これからさらに働き方改革を実施する企業は増えてきます。働き方改革をしっかりと行っている企業に人材が集まるのは間違いありません。どのような働き方改革が行われているのか勉強し、あなたの働き方について振り返ってみましょう。そして自社での働き方改革の取り組みもチェックしてみてください。
記事作成/ジョン0725
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