ベネズエラ、ビットコインマイナーが10万人規模に (2017/10/23 ビットコインニュース)
ベネズエラにおけるハイパーインフレーションの影響が、中央主体がおらず「採掘」できる仮想通貨需要を喚起している。AFP通信が伝えた。
オフィス街の一角、施錠された密室で、マイニング用のコンピュータが20台動いている。これは、ベネズエラ国内では珍しくない光景だという。ガレージの地下室、オフィス、あるいは倉庫に至るまで、秘密警察の目を逃れて採掘に勤しむ人びとが存在する。
ビットコインのマイニングは、専用のコンピュータ(ASICと呼ばれる)と電気、インターネットがあれば、世界中のどこからでも参加することが可能だ。マイニングを行う人びとをマイナーと呼び、コストメリットを生かすため、主に電気代の低い地域で、データセンターのような専用のマイニングファームを設立し産業的に事業を行うことが多い。
ベネズエラは今年9月、2,400%のハイパーインフレーションに見舞われていると試算されている。外貨である米ドルを調達する方法も乏しく、ボリバルの価値が日に日に減価していくことに耐えかねもはや自国通貨への信頼をなくしたベネズエラの人びとは、ビットコインで日銭を稼ぐことに活路を見出しているようだ。ベネズエラの電気代には助成金が出ており、殆ど無料で電力を使用できる。
AFPのインタビューに応えた匿名の人物は、オフィスに20台のマイニングマシンを設置し、月に800ドル以上(2600万ボリバル)を稼ぐと語っている。ベネズエラにおいてはマイニング自体は違法ではないものの、同国の諜報機関「SEBIN」が電力使用量を監視し、異常値を検知すると強制捜査に入ることは知られている。そのため、マイニング機器は分散して設置し、サーバーを海外に設置することで監視の目を逃れているようだ。
個人間でビットコインの売買を仲介するLocalbitcoinsでは、10月の出来高が645億ベネズエラ・ボリバルの高値をつけた。これは、公称レートを用いると3億米ドルほどになるが、実質レートでは200万米ドルほどの計算だ。米政府は8月、マドゥロ政権が国会権力を超越する制憲議会の選挙を強行したとし追加の経済制裁を行う大統領令に署名したと発表。国内に外貨が枯渇し、自己の資産を守る手段としてビットコインが選ばれた。
ベネズエラ商工会議所連合(FEDECAMARAS)のNoel Alvarez元会長は、「依然として、ビットコインにアクセスできる人びとの数は1%に満たない」という。2017年の初めには、当時ベネズエラで最大の取引所だったSurbitcoinが、銀行口座が突如凍結、その2週間後に操業を再開した。しかしながら、ベネズエラ国内ではビットコインでの支払いを優先的に受け付ける人びとも現れているようだ。同国のオンライン旅行代理店Destiniaは、ビットコイン決済を受け付けた。同社は「ビットコインを優先して支払い方法として受け付けることは、ベネズエラの不確実性に対する助けになるかもしれない」と述べている。
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