社内通貨が職場活性化に有効な理由 （2017/10/26 瓦版）
お値段以上の価値を生み出す社内通貨活用法
着実に認知度が上がっているビットコイン。では、「ウズポ！」 はご存じだろうか。おそらくほとんどの人が知らないだろう。実はウズポ！は、（株）UZUZの社内通貨。「UZUZポイント」の略称で、超マイナーな職場限定通貨だ。だが、その流通がもたらす職場活性効果は、お値段以上となっている。
営業インセンティブから深化して誕生
社内通貨を活用する企業は、いくつかある。その目的は、職場での活躍に対するインセンティブや企業が用意したサービスの購入用といった場合が多い。同社の社内通貨は、もともとは前者の目的で、既存ユーザーからの知人紹介を獲得した際のインセンティブとして、発行された。
あくまで成果報酬的に活用されていたウズポ！。それがなぜ、社内活性化へ活用範囲が拡大されるようになったのか。「インセンティブとしての活用で始まりましたが、仕組みとしては他にも使えるよねとなり、社内コミュニケーションが取りづらい環境も生まれていたので、成果に対する報酬以外にも用途を拡げました」と同社専務取締役の川畑翔太郎氏は説明する。
川畑氏のいう、コミュニケーションの取りづらい環境とはズバリ、働き方の多様化だ。同社が社員の事情を考慮して始めたテレワークが徐々に広がり、その延長でパラレルに働く社員も誕生。営業拠点も増え、社員が一か所で集う機会が徐々に減少。そこで、細切れになったコミュニケーションをつなぐ潤滑油として目をつけられたのが、ウズポ！というわけだ。
1ポイント1,000円のウズポ！は、知人紹介のインセンティブとしてはもちろん、月に一度の社内表彰、さらに感謝や褒める気持ちを贈り合う「サンクスウズポ！」として支給され、多ければ月に40ウズポ！くらいを貯めこむ社員も現れる。獲得ポイントは、可視化されており、全社員が閲覧可能。そうなると何が起こるのか。飲食にも活用できるポイントは、あっという間に同僚のアルコール代へと転換される…。
高貯蓄者に群がる“タカリ”にもなぜか寛容になれる
「ポイントをたくさん獲得している社員には、いつの間にか“タカリ”が群がります（笑）。私も飲み会の時、気軽に使っていいよといったらごっそり使われていました」（川畑氏）と証言するように、ウズポ！は、まさに社内の潤滑油として、そのコミュニケーション活性化に大きく貢献している。
月平均で20万円から30万円相当は流通しているというウズポ！。社内コミュニケーションへの貢献度を考えれば安いものといえるだろう。もっとも、導入当初は、あまり使われなかったというから意外だ。その理由は、獲得ポイントが可視化されていなかったため。各自がポイントを獲得したことは覚えていても、現金でないため、実感がない。周囲も意識しないため、気がつけば獲得していたとなり、うまく流通しなかったという。この辺りは、なんらかの社内活性化を検討する企業も参考にした方がいいかもしれない。
社内クラウドファンディングの公認通貨にも
このウズポ！、社内交流に留まらず、社員の脳の活性化もするようで、その活用範囲はどんどん広がっている。なんと、社内クラウドファンディング実施というアクションを生み出した。ウズポ！ はその公認通貨となり、新規事業の資金としても活用されている。第一号案件は、動画撮影機材の購入。動画コンテンツを作成するための費用ねん出に実施された。プレゼンは、事業の担当者が実施。本家同様に出資者に特典を設け、目標金額は15万円に設定。見事に社員の共感を集め、達成となった。
ウズポ！を活用した社内クラウドファンディングで購入した撮影機材
新規事業を立ち上げるにあたり、社員からその関連資金を募るとなると、反発も起こりかねない。「それなら起業した方がいい」という意見も出てくるだろう。だが、社内通貨ならなぜか気軽に参加してみたくなる。価値は現金と変わらないのに、そう思わせるのは、社内通貨の目に見えない大きな効果といえるだろう。そうした意識をうまく汲み取り、すかさず有効活用する辺りは、同社に社内通貨がしっかりと定着している証しともいえるだろう。
すぐれた制度で職場が活性化するケースは少なくない。一方で、制度はすぐれているのにさっぱり浸透しない場合も珍しくない。その間になにがあるのか…。やはり、いかに制度を自分事として受け止められるかが大きなポイントといえるだろう。頑張った人にその対価として公平に行き渡る社内通貨。そこには不透明さは微塵もない。だから純粋にうれしいし、おすそ分けしたくもなるのだろう。使い方次第だが、職場活性化に留まらず、新規事業立ち上げにも活用できる社内通貨。秘められたポテンシャルは高く、各社各様に大きく拡がる可能性もありそうだ。
【会社概要】
会社名:株式会社UZUZ（英語名：UZUZ, Inc.）
所在地：
▼UZUZ本社オフィス
〒160-0023
東京都新宿区西新宿3丁目11-20オフィススクエアビル新宿4階
設立年:2012年2月22日
資本金:1,500万円
事業内容:
1．若手人材（既卒・第二新卒・フリーター）に特化した人材紹介事業
2．就業サポートに伴う教育事業
3．採用ツール制作・運用代行事業
4．採用コンサルティング事業
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