前倒しは2~4時間、3分の1の投票所は午後8時前に締切 (2017/10/22 政治山 市ノ澤充)
投票率の改善や投票環境の向上など、総務省や各選挙管理委員会はさまざまな取り組みを行っています。2016年4月の公職選挙法改正では、子連れ投票の解禁や期日前投票所の受付時間延長、共通投票所の設置などの施策が講じられました。
一方で、投票所の数は徐々に減り、投票時間の短縮が多くの投票所で行われている現実もあります。今回の衆院選では、全国4万7741カ所の投票所の35%にあたる1万6710カ所では、投票時間を午後8時よりも前に締め切ることとしています。
これは足並みを揃えて開票作業に当たり、一刻も早く集計作業を終えるための施策で、前倒しは原則2時間までで、やむを得ない場合は最大4時間まで認められます。過去の国政選挙でも前倒ししている投票所が多く、大きな混乱にはなっていませんが、初めて投票に行く人などは注意が必要です。
また、一部の離島や遠隔地では投票期日=投票日自体が繰り上げられることがあります。今回は75カ所の投票所で、投票日よりも前に投票が締め切られました。その内訳は1日前56カ所、2日前7カ所、3日前12カ所、3日前倒した投票所はすべて鹿児島県内の投票所でした。屋久島町や三島村の離島にある12の投票所は、3日前の10月19日に投票を締め切られています。
投票所から開票所まで、投票箱を人の手で運び即日開票しようとする限り、終了時刻や締め切り日の前倒しは避けられそうにありません。これは在外邦人の投票においても同様のことが言えます(参考「ソロモンと南スーダンの投票期間は2日間―在外投票の実態とは」)。
山間部や離島に住む人や物理的に移動が困難な人、そして障害などを理由に選挙権行使の機会を著しく制限されている人の投票環境も整えていく必要があるのではないでしょうか。
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