「健康経営」推進を加速、中小企業へ普及啓発―横浜市 (2017/8/24 タウンニュース)
横浜市は、企業が社員の健康づくりを積極的に行う「健康経営」の普及に力を入れている。3月には第1回の「横浜健康経営認証」を実施し、南区の1事業所を含む28事業所を認証。啓発セミナーを行うほか、9月には新横浜に市内で初めて健康経営支援拠点のモデル設置を予定している。
「健康経営」は従業員の健康づくりを積極的に行い、生産性や組織力の向上を図るための経営手法。経済産業省が普及を図っており、市も昨年11月に認証制度を創設。今年度の認証事業所募集も始まっている。
背景には企業を取り巻く社会状況の変化がある。今後、少子高齢化により労働力人口が減少。人材不足に加え、労働者の平均年齢は上昇する。健康リスク増加による生産性の低下も予測される。健康経営の効果として、生産性向上や医療コスト削減のほか、社員のモチベーション向上、企業のイメージアップなどが期待される。
市経済局が行った調査の2013年と16年の比較では「健康経営」の取り組み状況について、大企業は15.4%から29.2%に上昇したのに対し、中小企業は7.6%から7.5%とほぼ横ばい。中小企業にとって、実現にはハードルが高いことが分かった。
こうした状況を受け、市は主に中小企業が健康経営に取り組む場合を想定。認証制度などで支援し、企業の収益性向上につなげる考えだ。
この分野を研究する自治医科大学客員教授で内閣府経済財政諮問会議専門委員の古井祐司氏は「超少子高齢化社会では、企業経営には健康投資が不可欠になるだろう。今回の横浜市のような官のサービス活用で最初の一歩は踏み出しやすい」と指摘する。
離職歯止めにも
3月に「横浜健康経営認証」で最高の「AAA認証」を受けた井土ヶ谷下町の電気設備工事業、向洋電機土木株式会社の倉澤俊郎社長は「社員が健康であることは、家族の幸せにつながり、一日でも長く勤務しようと思うことにつながる」と利点を話す。同社の社員の健康管理の取り組みは全国的に注目され、社員が講演などに招かれることもある。
市は9月、新横浜に健康経営のモデル拠点「新横浜ウェルネスセンター」を開設する。ここでは、健康経営・管理に対する知識向上のためのセミナーなどを定期的に実施。健康機器での測定なども健診後の健康管理に利用できるという。市経済局の森田伸一担当課長は「人材確保のためにも、この施設や認証制度を活用してもらえれば」と話している。
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