2016年11月の後発品割合69.4%、政府目標70%達成はすでに達成か―協会けんぽ (2017/3/24 メディ・ウォッチ)
主に中小企業のサラリーマンとその家族が加入する協会けんぽでは、ジェネリック医薬品(後発品)の使用割合が昨年(2016年)11月時点で69.4%(数量ベース、新指標)となり、政府の掲げる「後発品使用割合70%以上」の第一目標までわずか0.6ポイントとなった―。
こうした状況が、協会けんぽを運営する全国健康保険協会が先ごろ公表した医薬品使用状況から明らかになりました。現時点で、すでに第一目標は達成されていると思われます。
協会けんぽの後発品使用割合、1か月当たり0.37ポイントのペースで増加
新規医療技術の開発・普及、高齢化の進展などに伴い医療費が増加し、我々の負担能力を超えつつあります。このため、公的医療保険制度の持続可能性を確保するために、医療費の増加そのものを抑える(医療費の適正化)方策が求められ、その1つとして「効果が同じで価格が安いジェネリック医薬品(後発品)」の使用促進が重視されています。
政府は、「2017年央に後発品の使用割合を数量ベースで70%以上とし、18年度から20年度末までのなるべく早い時期に80%以上とする」という目標を設定しています。
協会けんぽを運営する全国健康保険協会でも「後発品の使用促進」を重要施策に位置付け、加入者に対し「後発品に切り替えた場合には、自己負担額が○○円軽減されます」という効果通知を発出しているほか、毎月の後発品使用割合を公表するなどしています。昨年(2016年)11月の状況を見ると、数量ベースで69.4%(新指標、調剤分)となり、過去最高記録を更新しました。
2016年度診療報酬改定以降の、後発品割合の動向を見てみると、▼2016年4月:66.8%(0.3ポイント増)→▼5月:67.1%→(0.2ポイント増)→▼6月:67.3%→(0.2ポイント増)→▼7月:67.5%→(0.4ポイント増)→▼8月:67.9%→(0.4ポイント増)→▼9月:68.3%→(0.5ポイント増)→▼10月:68.8%→(0.6ポイント増)―▼11月:69.4%―となっています。1か月当たり平均0.37ポイントのペースで増加している計算で、また増加スピードが高まってきています。このままのペースが維持されていると仮定すると、現時点(2017年3月)には、すでに政府の第一目標値である「70%以上」をクリアできていると考えられます。
沖縄や鹿児島など23道県で70%以上を達成するも、徳島・山梨・高知では依然低調
協会けんぽ全体では目標達成が確実な状況ですが、都道府県別に見ると、依然として大きなバラつきがあります。
昨年(2016年)11月に後発品割合が高かったのは、沖縄県(80.3%)、鹿児島県(76.0%)、岩手県(75.5%)、宮崎県(72.8%)、長野県(72.6%)、山形県(72.5%)、富山県(72.4%)、宮城県(71.9%)、島根県(71.6%)、新潟県(71.4%)、山口県(71.4%)、青森県(71.4%)、佐賀県(71.3%)、石川県(71.1%)、北海道(71.1%)、福井県(71.0%)、熊本県(70.9%)、鳥取県(70.8%)、静岡県(70.7%)、群馬県(70.4%)、三重県(70.3%)、長崎県(70.1%)、愛知県(70.0%)で、これら23道県ではすでに目標を達成しています。
逆に徳島県58.1%(前月から0.5ポイント増)、山梨県60.9%(同0.5ポイント増)、高知県63.7%(同0.5ポイント増)などでは、前月からの上昇はあるものの、目標達成までにまだまだ時間が掛かりそうです。
なお、主な薬効分類別に後発品使用割合が高い医薬品を見ると、数量ベースでは血管拡張剤の76.4%(前月から0.1ポイント増)、去たん剤の72.8%(同0.3ポイント増)、消化性潰瘍用剤の65.5%(同0.1ポイント減)など、金額ベースでは血管拡張剤の63.2%(同0.1ポイント増)、去たん剤の56.9%(同0.2ポイント増)、抗生物質製剤(主としてグラム陽性菌、マイコプラズマに作用するもの)の39.5%(同0.9ポイント増)などとなっています。
逆に後発品使用割合が低いのは、数量ベースでは代謝拮抗剤の2.4%(同0.1ポイント増)、ホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)の10.2%(同0.1ポイント減)など、金額ベースでは代謝拮抗剤の1.9%(同0.1ポイント増)、抗ウイルス剤の3.0%(同0.1ポイント増)などです。
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