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フィリピン人家政婦受け入れ 働く女性の家事軽減などにつながるか? (2017/2/17 JIJICO

フィリピン人家政婦受け入れへ

国家戦略特区で外国人家事支援人材(本文では家政婦)の解禁を決定し、パソナや保育大手のポピンズがフィリピン人家政婦を受け入れ、4月からサービスを本格的に始めるということです。

では、なぜフィリピン人なのかということですが、フィリピン人は海外で働くことについて国のバックアップ体制がしっかりしていることなどがあるようです。報道によると、フィリピン政府の発表では、2013年末現在で、フィリピンの人口の1割にあたる、約1,023万人が、フィリピン国外で暮らしているのだそうです。フィリピン人は、英語も堪能なことから、世界中で看護師、技師、船員、ホテル従業員等々として働いて、こうした人達は、OFW(オーバーシーズ・フィリピ―ノ・ワーカーズ)と呼ばれているそうで、フィリピン中央銀行によると、2014年の送金額は、243億4,800万ドル(約2兆9,200億円)で、フィリピンの国内総生産の1割に相当するそうです。フィリピン技術教育省の調べでは、家政婦などとして働く人を育成する企業や機関もあり、海外に家政婦を派遣しやすい基盤があるようです。

では、今まで日本では、家政婦のような仕事で在留資格を付与することを、まるっきり認めていなかったのかと言えば、そうではなく、限定的に認めています。外交官又は領事官など入国管理局が定めている外国人との間で個人契約をして、使用人として家事に従事することは認められています。ですので、今回の制度は、日本人の家庭も対象にした、修正拡大版なのかな、と思います。

洗濯機

フィリピン人家政婦受け入れのメリット、デメリット

この制度は、女性に働いてもらう上での家事負担の軽減及び家政婦の労働力不足を解消しようという考えで検討され、国家戦略特区で実験してみよう、となったと推測しています。しかし、本当に働く女性の家事負担の軽減になるのかどうかは始めてみなければわからない、が現実だと思います。フィリピン人家政婦と会話などのコミュニケーションがとれるのか、家の中に入れるのは抵抗がある、と考える女性も少なくないと思いますし、又、児童や要介護者への対応が現実的に可能なのかということもあります。

このことについては、例えばどの業務を行ってよいか、そしてダメなのか、が決められています。炊事、洗濯、掃除、買物等の家事一般の業務は行えますが、児童については、日常生活の世話及び必要な保護は良いが(児童の送迎も含む)、あくまでも家事一般の付随的なものであること。

要介護者については、付き添いや手伝い、例えば、食卓への利用者の移動の手助け、買い物などの外出時の付き添いや、それに伴う衣服の準備及び着替えの手伝いは良いとされています。一方で、要介護状態の軽減又は悪化の防止等に資するために行う、入浴、排せつ、食事等の身体介護を提供する行為は含まない等々、と決められており、専ら、保育士や介護職員のような仕事をさせてはいけない、なっています。

また、待遇面でも、受け入れ企業との間で雇用契約を交わす、日本人と同等額以上の報酬、保証金の徴収等の禁止、住み込みは不可で住居を確保しなければならない等々が決められています。尚、受け入れ企業も、様々な要件が決められていて、ポピンズやパソナのように実績があり、財務基盤がしっかりしている企業が該当するようで、どの企業でも良い、とはならないようです。受け入れ企業側でも、家政婦として派遣するので、目が届かないことが不安かもしれないので、入国直後の研修や、当初は、先輩の日本人社員と同行させるなどするようです。

フィリピン人家政婦が使い捨てにならないような対応を願う

では、どのようなフィリピン人家政婦が選ばれるのか?ですが、家政婦としての知識や経験、その実務経験1年以上や日本語能力のN4レベル等が求められています。各種の報道を読むと、受け入れ企業は、フィリピンの人材派遣大手のマグサイサイグローバルサービス社に委託して、事前に研修しているとのことで、パソナでは、400時間の研修を実施し、そのうち約100時間は日本語の指導をし、他にも、家事や日本食の調理の仕方などを教えており、研修者の中から選抜するようです。又、ポピンズでは、大卒で看護師資格の保有者を選んでいるようで、両社とも、優秀なフィリピン女性が入国するのかな、と思います。

でも、そのようなフィリピン女性が入国しても、家政婦としてずっと日本に滞在することができず、最長の滞在期間は3年間です。仮に、この制度を長く続けるとしたら、3年間終了したとき、入国してきたフィリピン女性はどうするのか?があります。

個人的には、ステップアップできる道を示してあげたらどうか、と思います。日本語の勉強もして入国しているし、入国後も日本人家庭に派遣されるので、日本語も使用するし上達するはずです。ですので、3年間終了したら、大学を卒業していないフィリピン女性でも、働く在留資格「技術・人文知識・国際業務」の通訳の活動を認めることや、彼女たち向けの家政婦検定試験を創設して、それに合格すれば、引き続き働くことができる、などを検討して欲しいです。

使い捨てみたいなことは避けて欲しい、と切に願います。そして、国家戦略特区でこの制度が定着し、全国に広がっていけば、結果として、日本とフィリピンの更なる友好に繋がりますし、私の仕事の経験から、フィリピン女性は日本に住むと、日本に親しみを持ってくれやすいので、この制度を成功することを期待しています。

提供:JIJICO

著者プロフィール
折本 徹/行政書士

折本 徹/行政書士
折本 徹 行政書士事務所
1964年、東京都出身。日本大学法学部卒業後、当時、信用金庫で預金量1位の城南信用金庫に入社。主に、渉外業務を担当。 同庫退社後、1995年12月に行政書士開業しました。 1998年から、外国人関係業務に取り組み始めています。 早く業務に詳しくなろうと考え、当初は電話での無料相談を受けまくりました。 しかし、相談も依頼も、最初の頃は悪戦苦闘、冷や汗の連続でした。 「ローマは一日にてならず」の言葉どおり、少しずつではありますが、知識、経験を身につけました。 最近の主な実績 平成24年3月 専門学校より紹介される。在学中の韓国人男性が、調理と商業実務の知識を活かし、焼肉チェーン店の経営管理業務に内定。留学から人文知識・国際業務の在留資格変更申請を受託。申請日から7日で許可になる。 日本人男性(40代)と中国人女性(30代)夫婦の在留資格認定証明書交付申請を受託。

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