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地方銀行がサポートする中小企業の海外支援 (2016/6/27 nezas)

関連ワード : 金融経済 

海外に活路を目指す中小企業の頼もしい味方

 地方銀行のビジネスにおいて、地域企業のサポートは重要な活動の一つだ。なぜなら、日本国内ではいまだ厳しい経営環境が続いており、生き残りをかけて海外に活路を見出そうとする中小企業の姿が目立っているからである。

 とはいえ、中小企業が海外ビジネスで成功するのはそう簡単なことではない。海外の事情に詳しい専門知識を持ったコンサルタントやアドバイザーが不可欠といえるだろう。

 そこで近年注目されているのが、地方銀行による「中小企業の海外進出サポート事業」だ。

世界進出

 海外に進出して事業を展開すると一口にいっても、どの地域にどんな事業で進出すればいいのか悩むところだろう。さらに、進出先における資金面や人材面、セキュリティー面などは、ノウハウや経験のない中小企業にとってはまさに未知の領域である。スムーズに海外進出を果たすためには、その企業と海外の事情を熟知するパートナーの存在が必要であり、そのパートナーとして注目されているのが地方銀行である。

 実際、2013年度の地方銀行による海外進出支援は約1万3,000件(一般社団法人全国地方銀行協会より)にも達している。北海道銀行による「ロシアへの北海道寒冷地仕様住宅の売り込み」の支援や、栃木県の足利銀行による「JETRO等と連携した金属加工業者のタイ進出支援」といった具体的な支援がスタートしている。

 海外進出を果たしている日本企業は数多くあるが、ビジネスは進出してからが本番だ。現地銀行との折衝や取引の橋渡し、現地企業との商談会開催など、進出後のフォローもさまざまな形で求められている。地方銀行が実際にどのような形でサポートしているのか、その事例を2つ紹介しよう。

地方銀行が行う海外支援の例

●秋田銀行 ~アドバイザーと連携して事業計画策定をサポート~

 秋田銀行は、シンガポールに状態の良いお米を輸出する企業を支援した。玄米のまま低温でシンガポールに輸送し、現地で精米するという方法で、秋田県産あきたこまちをシンガポールで販売するビジネスである。

 秋田銀行では、輸出に詳しい同行の業務提携アドバイザーにビジネスの可能性について相談した。業務提携アドバイザーは秋田銀行と連携して事業計画のブラッシュアップを行い、米の輸出方法と販路確保についてアドバイスをし、秋田銀行は資金面でのバックアップを提供することになった。

 企業はアドバイスに従って、米の調達、輸出手続き、現地の倉庫確保、販路開拓までの事業構想を事業計画に反映した。そして、シンガポールに現地法人を立ち上げて、営業・販売に踏み切ったのだ。困難といわれる労働ビザの取得も、業務提携アドバイザーの尽力で速やかに行うことができた。

●福岡銀行 ~海外活動を「ワンストップ支援」~

 福岡銀行では、中小企業を中心に海外ビジネスの実態を調査した。その結果、日本の中小企業の多くが海外ビジネスへの取り組み方や情報ネットワークの構築、外国為替取引や海外現地法人の資金調達などについて、十分な知識やスキルがないことがわかった。中小企業は海外ビジネスの各ステージにおいて、「いつ」「何を」「どうすべきか」を十分に把握できていないという状況が浮き彫りになったのだ。

 そこで福岡銀行が取り組んだのが、海外ビジネスのサポートから外国為替取引まで全般を案内する「海外ビジネススタートブック」の制作だ。アウトバウンド(海外進出・輸出)とインバウンド(輸入や訪日外国人をターゲットとするビジネス)両面のニーズに対応し、冊子として幅広く利用できるように、内容を3つに分けてまとめている。

1.アウトバウンドにおける海外ビジネスサポート
2.外国為替サービス、デリバティブ商品
3.インバウンドにおける海外ビジネスサポート

 このスタートブックをツールとして、海外進出を実現する企業をワンストップで支援することが可能となった。海外ビジネス進出先の検討から市場調査、計画策定、取引先の開拓、各種貿易実務のサポートに至るまで、中小企業が海外ビジネスで成功するための支援体制を整備している。

中小企業が海外進出支援で求めるものは

 中小企業庁による2011年の調査で、「地方銀行による海外展開支援の具体的な取組内容」として上位にあがったものは次の通りであった(複数回答)。

・資金調達支援……57.1%
・現地市場や投資規制等の情報提供……56.0%
・現地事業支援……50.9%

 企業が求める地方銀行の役割には、資金調達だけではなく、現地での情報収集や具体的な事業支援がある。

 一方、同じ調査で「中小企業が今後期待する海外展開支援内容」では、上位にあがったのは次のようなものであった(複数回答)。

・リスク管理のアドバイス……14.3%
・進出先の投資環境の情報提供……14.1%
・資金調達……13.3%

 今後、海外への進出を予定している企業は、「海外市場の拡大」を目指しているのだ(商工中金『中小企業の海外進出に対する意識調査』より)。国内市場に代わるビジネスチャンスを求めて、日本企業は現在も活発に海外へ進出している。そのような企業のパートナーとして積極的に支援する地方銀行の存在が、今後も重要になりそうだ。

提供:nezas

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