熊本地震で被災した重度障害者が入院する場合、例外的に付き添いを認める―厚労省 (2016/5/17 メディ・ウォッチ)
平成28年熊本地震で被災し入院した「コミュニケーションなどに特別の技術が必要な重度障害者」については、入院前から支援を行い、当該患者とのコミュニケーション技術などを熟知している支援者が入院に付き添い、患者の生活支援を行ってもよい―。
厚生労働省は13日に、このような内容の事務連絡(平成28年熊本地震の発生に伴う重度障害者の入院に係る支援について)を行いました。
看護は「当該保険医療機関の職員によって行われる」ことが大原則
保険医療機関において、「看護」は当該保険医療機関の看護要員によってのみ行われ、患者負担による付き添い看護は原則として認められていません(ALS患者など、看護に当たり特別のコミュニケーション技術が必要な場合などが例外として認められている)。専門の看護職員による看護の提供が、医療安全を確保するためなどに必要とされているからです。
しかし、今般の熊本地震により被災し、重度の障害者が保険医療機関に入院した場合、その医療機関に「特別のコミュニケーション技術を持つ職員」が必ずしも配置されていないことが考えられます。また、「特別のコミュニケーション技術」は一般的な技術ではなく、患者個々人で異なることから、当該患者に適切な看護を行うために、今般、例外的に付き添いを可能とする取り扱いを厚労省が決めました。
具体的な取り扱いは次のとおりで、あくまで「例外的な措置」に止まっている点に留意が必要です。
(1)今般の地震により被災し入院した重度の障害者であって、入院中の看護に当たりコミュニケーションなど特別な技術が必要な重度障害者について、入院前から支援を行っており、当該患者のコミュニケーション技術や生活上の特性を熟知している支援者が、その入院中に付き添い、患者の生活に係る支援を実施して差し支えない
(2)(1)による支援は、保険医療機関の職員が、当該患者のコミュニケーションなどの技術を習得するまでの間に限定する
(3)(1)による支援は、「患者の生活に係る支援」のみを行うものであり、当該保険医療機関の看護要員による看護を代替したり、看護要員の看護力を補充するようなことがあってはならない
(4)支援者は、当該保険医療機関の職員と十分に連携をとり、当該入院に係る治療や療養生活の方針に沿うよう努めなければならない
(5)保険医療機関は、(1)により支援が行われる場合であっても、支援者の付添いを入院の要件としたり、支援者に当該保険医療機関の看護の代替となるような行為を求めてはならない
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