自転車の酒気帯び運転でも罰則規定があるのでしょうか? (2015/11/25 法、納得!どっとこむ)
Q.
最近改正された道交法は、自転車に関する罰則と飲酒運転の撲滅をテーマにした改正と聞きました。つきましては、改正された道交法では、自転車の酒気帯運転も罰則規定が出来たのでしょうか?ご質問したいと思います。
(50代:男性)
A.
ご指摘いただいたように、2015年6月に道路交通法が改正され、自転車の運転についても罰則の強化などが図られています。今回の回答では、ポイントを整理してご回答したいと思います。
まず、いわゆる飲酒運転には「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の2態様があります。
「酒気帯び運転」は、道交法65条において「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない」と規定されています。
車両には軽車両も含まれることから(道交法2条1項8号)自転車でも酒気帯び運転が禁じられています。
酒気帯び運転か否かの判断は、呼気中に含まれるアルコールによってなされます。
呼気1リットル中にアルコールが含まれていれば、酒気帯び運転と判断され、
- 0.15mg未満
- 0.15mg以上0.25mg未満
- 0.25mg以上
で罰則規定が異なる運用が図られています。
ただ、酒気帯び運転の場合、自転車を含む軽車両は罰則規定で除外されているため、「違法ではあるが罰はない」という状態です(道交法117条の2の2第3号参照)。
一方、「酒酔い運転」は、酒気帯び運転のうち、「酒に酔った状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう)」を指します(道交法117条の2第1号参照)。要はひどい酔っぱらいの状態で、具体的には、まっすぐ走行できるか、ろれつがまわっていないかなどを通じて確認します。
上記のように、自転車の酒気帯び運転なら罰則はありませんが、酒酔い運転の状態であれば、罰則規定の適用があり、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金とされています(道交法117条の2の1項)。
まとめると、酒気帯び運転、酒酔い運転、いずれであっても自転車の運転は道交法上違法です。ただ、罰則があるのは酒酔い運転だけということになります。
「罰則がないから多少の酒を飲んで自転車を運転しても大丈夫」というわけではありません。
改正された道交法では、「危険行為」として14項目を挙げており、これらの行為について3年間で2回摘発を受けた場合は、都道府県の公安委員会から安全運転についての講習を受ける事が義務づけられるようになりました。仮に講習を受講しないと、5万円以下の罰金となっています(道交法108条の3の4、3の5などを参照)。
危険行為のなかには、信号無視、一時不停止、酒酔い運転、携帯やスマホを操作しながらの運転など「やってしまいがちな運転」が規定されています(参照:警視庁ホームページ https://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/bicycle/pdf/kousyu_leaflet02.pdf)。ぜひ、安全に注意した運転を心がけて頂ければと思います。
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