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「子ども第三の居場所」がもたらす効果について、日本財団が調査を実施 (2022/5/19 政治山)

 日本財団は、同財団が全国に展開する「子ども第三の居場所」の効果や支援の内容を把握するため、開所から1年以上経過している32拠点のスタッフ、そこに半年以上通う小学生約300人、その保護者約300人を対象にアンケート調査を実施しました。

 本調査結果を受けて、日本財団経営企画広報部 子どもサポートチームの高田祐莉氏は、以下のように述べました。

「これまで「子ども第三の居場所」の効果は現場での実感でしか分からなかったが、本調査によって、7割以上の利用児童にとって様々なプラスの効果があることが明らかになった。また、約8割の保護者が居場所スタッフによる相談支援を受けており、「子ども第三の居場所」は子どもへの直接支援だけでなく、保護者も含めて子育てを包括的にサポートする場であることがうかがえた。

 さらに、居場所支援をより効果的に行うための運営体制や費用面の条件や、居場所を継続するための行政への要望も見えてきた。日本財団としては、こうしたエビデンスに基づき、居場所支援の重要性を政府や自治体に訴え、政策の充実につなげていきたい」

 調査結果の概要については以下の通り。

 今回の調査結果から、居場所に通うことで、通う前と比較して、7割以上の子どもの周囲とのつながり・学習習慣・安心感・生活習慣が好転していること、7割以上の保護者の余力や周囲の人とのつながりが改善していることがわかりました(図1)。

図1「居場所に通うことによる子ども・保護者の変化」

 子どもと保護者の関わりについても、居場所に通う前と比較して、保護者が子どもと会話する頻度が増えるなどの改善がうかがえました。居場所では、多様な支援がきめ細かく行われており、居場所に通う7割以上の子どもが受けている支援メニューは6項目あります(図2)。

図2「居場所での支援メニュー実施率」

 また、5種類以上の支援を受けている子どもは8割以上となっています。さらに、保護者の8割以上が居場所で面談等何らかの支援を受けていることがわかりました。これらのことから、居場所は、子どもだけでなく保護者も含めて、子育て全体を包括的に支援する場になっていると考えられます。

 クロス分析により、子どもへの支援と保護者の生活習慣等スコアの関係性や、保護者の生活習慣等スコアと子どもの生活習慣等スコアの関係性が明らかになりました。居場所で子どもに様々な支援を行うことが保護者の生活習慣やつながりにプラスの影響をもたらし、さらにそれが子どもの生活習慣や学習習慣の改善につながっている可能性が考えられます。

【実施概要】
◇調査対象
・子ども調査:開所1年以上経過している拠点のうち、半年以上居場所に通っている子ども
・保護者調査:開所1以上経過している拠点のうち、半年以上子どもを居場所に通わせている保護者(きょうだい児がいる場合は子ども別に回答)
・拠点マネージャー共通調査・子ども別調査:開所1年以上経過している拠点マネージャー(代表して1名が回答)
◇調査期間 2021年12月10日(金)発送~2022年2月7日(月)到着分までを集計
◇アンケート配布拠点数・有効回答数
・配布拠点数:34拠点/回収拠点数32拠点
1.子ども調査:有効回答数:344件(拠点数:32拠点)
2.保護者調査:有効回答数:305件(拠点数:32拠点)
3.拠点マネージャー子ども別調査:有効回答数:388件(拠点数:32拠点)
4.拠点共通調査:有効回答数:32件

詳細な調査レポートはこちらをご覧ください。

【「子ども第三の居場所事業」について】
家庭の抱える困難が複雑・深刻化し、地域のつながりが希薄化したことで、安心して過ごせる居場所がなく、孤立してしまう子どもは少なくありません。日本財団は、2016年よりすべての子どもたちが将来の自立に向けて生き抜く力を育むことのできる「子ども第三の居場所」を全国に開設し、放課後の居場所、食事、学習習慣・生活習慣の定着、体験の機会を提供しています。同時に、学校や地域、専門機関と連携し、「誰一人取り残されない地域子育てコミュニティ」のハブとしての機能を担っていきます。2022年度には、全国174拠点の「子ども第三の居場所」の開設運営・開設準備が進められています。
<子ども第三の居場所事業>

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