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地方公務員アワードが推薦受付を開始―主宰者は4月から公務員 (2020/6/12 政治山)

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 6月11日に株式会社ホルグは「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード(以降、地方公務員アワード)」の開催を発表した。電通やNECグループの協賛、Jリーグなどが後援に名を連ね、今年で4度目を迎える。

 同イベントを主宰するホルグ代表の加藤年紀さんは、地方公務員を支援する事業を起こし、2016年11月に起業。昨年8月に著書「なぜ、彼らは『お役所仕事』を変えられたのか?」を出版し、なんと今年4月には自らが地方公務員となった。

 本記事では、『地方公務員アワード』に秘めた想い、そして、公務員としての現状について加藤さんに伺った。

株式会社ホルグ代表の加藤年紀さん

株式会社ホルグ代表の加藤年紀さん

たとえ地味でも、高い成果をあげた公務員を表彰したい

――今年も地方公務員アワードの推薦受付が始まりました。4度目の地方公務員アワード開催で目指していることはなんでしょうか?

【加藤】 地方公務員アワードでは、地味派手問わず高い成果をあげた地方公務員を表彰します。市民が公務員の行動や実務を知る機会はあまりありません。アワードをきっかけに公務員個人の活動を、全国の公務員や市民に知ってもらいたいです。

 特に今年は、公務員のよく知られていない地味な部分が評価されることを期待しています。新型コロナウイルスの対応でも、医療従関係や者、保健所、そして、特別定額給付金の給付担当者など、自治体では多くの不慣れな実務が生じています。一見地味に思える給付事業ひとつとっても、高い質で業務を遂行している職員も存在していますが、それらが市民に伝わる機会はあまり多くありません。

同僚として公務員の姿を見たかった

――4月から加藤さんは、生駒市役所(奈良県)の人事改革担当者として地方公務員にもなりました。ついにご自身が、公務員の現場に足を踏み込んだわけですね。

【加藤】 地方公務員は休職率が高かったり、疲弊していることも多いと感じていたので、人事的な面で改善できる余地がありそうだと思っていました。

 また、役所という現場を、公務員の立場から見たいという思いも常にありました。週一テレワーク勤務なので限界はありますが、事業の大まかな構造や意思決定プロセスはもちろん、同僚としての公務員を自分の目で見たかったんです。

――人事としてお仕事をされて、見えてきたものはありますか。

【加藤】 もともと持っていた仮説として、歴史的な経緯から地方公務員は個人の力が発揮しづらい環境があるように感じました。また、人事は他部署から官民問わず不満の対象となる傾向がありますが(笑)、生駒市役所の人事課は真剣に仕事をしているなと強く感じています。

――民間経験者が役所で浮くという話も聞きます。同僚と良好な関係を築くために何を意識していますか。

【加藤】 まず、敬意を払うことだと思います。その実務において、自分よりも確実に知見があり、戦力になってきていた方たちだからです。よく、民間からの転職者が役所で浮くという話がありますが、どこかで相手を見下していて、それが伝わってしまうこともあるのだと思います。

 そして、部署や組織に最大の成果をもたらすためには、自分が組織においてどのようなパーツであるべきかを見極めることが大事だと思います。今、私は一番の下っ端として働いていますが、その立場で最大の成果を組織に残せることを常に考えています。

――ボトムアップで何かを実現するのは難しくないのでしょうか。

 むしろ、下手に役職がなくて良かったと感じています。その理由は、下っ端だから取れる攻めのスタンスがあるからです。今、私から人事課内で何かを提案をすると、生駒市役所の文化的、ないしは歴史的背景を汲んだフィードバックをもらえるので、一緒に正しい道筋を作っていけていると思っています。そういった観点から組織を理解できていなければ、自分が入ってきても動かせるものは少なくなると思っています。

世間の公務員像は実態と齟齬がある

――今後、加藤さんが公務員としても活躍されることを期待しています。最後に改めて、地方公務員アワードについての意気込みを聞かせて下さい。

【加藤】 公務員はとても重要な仕事を担っていると思いますが、世間からの公務員像は、まだまだ実態と乖離があると思っています。

 不祥事をした公務員は目立ちますが、成果をあげた公務員にはあまり光が当たりません。公務員のポジティブな面にも注目が集まるようになれば、公務員の仕事の成果が高まります。それによって、世の中はもっと良くなると信じています。

 地方公務員アワードは、7月7日、七夕の日まで応募ができます。ぜひ、地方公務員の方は身近にいる素敵な公務員を推薦してください。

――本日はありがとうございました。

 

◇地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード
2017年から毎年開催され、今年で4度目。毎年約10名の地方公務員が表彰される。今年は6月から地方公務員による推薦を受け付け、8月に受賞者の発表、11月に表彰式を開催予定。
<地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワードの詳細はコチラ>

◇株式会社ホルグが運営する地方公務員コミュニティ「地方公務員オンラインサロン」
2019年1月にオープンした、地方公務員限定のコミュニティ。毎月4回以上、活躍する首長や公務員等のウェブセミナー・ウェブ交流会に参加可能。メディアへの寄稿や新たな人脈の構築、士業などへの相談など、公務員が活躍する場を広げることが可能。2020年6月時点で331人が在籍。
<地方公務員オンラインサロンの詳細はコチラ>

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