通路の幅や段差、喫煙所は誰目線?遠藤ちひろ市議のベビーカー初体験@多摩センター(後編) (2018/8/13 多摩市議会議員 遠藤ちひろ)
段差があったら長いスロープを歩くかエレベーターを利用することになるので、かなり気持ちに余裕が必要です。普段は何も考えずに階段を駆け上がるのですが、赤ちゃんを抱えて“エレベーターはどこだ!?”とキョロキョロ。
エレベーターマップが頭に入っていないので、右往左往してしまいます。知らない街ではなおさらでしょう。「スロープはこちら」のようなサインが必要なのだと、初めて気づきます。
そして大変なのは抱っこ紐を装着してベビーカーを持ち上げること。これはかなり力を使いますよ。胸元に赤子がいるためそこに気をとられて、必要以上に上腕二頭筋が震えるのです。この写真、私の胸元にちびっこがいるの、わかります?
“うりゃ”とやってみるも、持ち上げられるのは4、5段が限界です。ベビーカーをそっと降ろすように、新米パパはとても気を使いました。
中央公園は親子連れでいっぱい。芝生を横切りレンガ坂へ。スロープと美しい街並みが続きます。多摩ニュータウンはベビーカー生活を想定してまちづくりをしていることに、改めて気づきました。すれ違う知人が「あれ、2人もお子さんいましたっけ!?」。ふふふ、イクメン振りが板についてきたか。
最後は買い物。多摩センター駅前にはいくつかスーパーがあるのですが、通路が狭いお店はNG。安さは捨てがたいけれどベビーカーが他のお客さんに迷惑をかけそう、とママたちは敬遠するのだそうです。ということで、広々としたイトーヨーカドーの1Fフロアでお買い物。
品物を見るときも、片手はベビーカーを抑えていないと不安になります。何もかもが普段の生活と異なるうえに、長時間ベビーカーを押していると腰に負担がかかる…。
任務達成! スーパーで買い物に成功。不思議な達成感を感じたところです。
スーパー入口はほとんどが自動ドアですが、手で押して開けなければならないタイプのドアは本当に厄介。胸に抱っこ紐で1人。さらにベビーカーに3歳児がいるんだっつーの。ベビーカーを抑えつつ強引に片手でドアを押して入るしかないんですが、そもそもそんなところに行きたくなくなる。
抱っこ紐と赤ちゃんをお返しして一日体験終了。古くは大リーグ養成ギプスをはずしたとき。言い換えると登山で重いザックを降ろしたあとのような身軽感を得られます。
休日の午後にご協力いただいたママたちに感謝!
体験記しての感想と改善案
1.「どこにスロープやエレベーターがあるのか」わからない
- 【対応政策案】
- 駅から主要施設に向かう道には案内サインを配置する。ハローキティや耳すまキャラクターのサインで誘導したい。
- パルテノン多摩最上階にあるレストラン前にある柵は、ネットがかかっていない部分がある。落下防止ネットなどの対応が必要。
- 同じく5階レストランに向かうドアが手で開ける形態。ベビーカーでは通過しにくいので改修をきっかけに改善する。
2.多摩センター駅を背にしてすぐ、パルテ大通りに登るまでのスロープがぐるぐる面倒
デザイン性は優れているけれど実用性はどうなのか? スロープの真下に指定喫煙所があり、タバコの煙が立ち上ってくる。何の罰ゲームなのか。
- 【対応政策案】
- 多摩センター駅前には新たにエスカレーターが設置されるが、ベビーカーでの利用はできないため引き続き折りたたんでの利用になる(ベビーカーを乗せても安全なエスカレーターはないのか、調べる)。
- 受動喫煙防止条例を成立させ、スロープ下の喫煙所は速やかに移動させたい。
- 中央公園を横断する際の石畳がガタガタ。バリアフリー型に改修する。
3.今回はやらなかったけれど、おそらく大変なのはトイレ&オムツ換えだろう
2人を抱えたまま男性用のトイレに入るというのはかなりチャレンジングであることは想像に難くない。ていうか、男性トイレでベビーカーを見たことがない。聞いてみると、広い多目的用トイレを使うのだそうです。なるほど。子ども連れでにぎわうショッピングセンターの通路がなぜあんなに広いのか、はじめてわかりました。トイレも通路も広いと単純に「ありがたい」って思っちゃう。
- 【対応政策案】
- 図書館やパルテノンなど新たに公共施設を改修する際は、授乳スペースやオムツ替え台そ備えた多目的トイレを増設する。1Fのアクセスしやすい場所にあることが大事。
- あわせて市内商業施設にも多目的トイレの増設協力を呼びかけたい。
- ベビーカーでもアクセスしやすいよう、キティーストリートやパルテノン大通りのグラウンドレベルに(フロアを上下しなくてもよい階に)、多目的トイレを設置してもらう。
4.まとめと感想
解散となって抱っこ紐をはずしてからしばらくは、胸に赤子がいないのが不思議。抱っこ紐をしていたのは2時間くらいだったのに。赤ちゃんの体温で温かかった胸元が、なんか寂しい…。
同時に分かったことは、ベビーカーを押すと腰にくる。初めて押したことに加えて、男性だと微妙に腰をかがめてしまうからだろうか。帰宅してからどっと疲れが出て、腰をさすりながらいつもより1杯多くワインを飲みました。
でも見えてなかったものをいくつも発見できたことは大きな財産。当事者にならないとわからない問題をさきどりして把握できたので、まずは地元多摩センターから改善していこうと強い意気込みを持ちました。
<イメージ引用・ご提供・協力>
イトーヨーカドー多摩センター店様、たまこ部様、自立支援センター立川様、一目ぼれした瞬間に感謝と乾杯様、多摩市様、アマナイメージズ様ほか)。
-
著者プロフィール多摩市議会議員 遠藤ちひろ(えんどう ちひろ) 1976年茨城県生まれ。早稲田大学在学中に人材開発ベンチャーを起業。同社代表取締役を務めたのち、2010年に多摩市長選挙に出馬。惜敗するも翌年多摩市議会議員選挙に歴代レコードでトップ当選する。現在2期目。著書に「市議会議員に転職しました。ビジネスマンが地方政治を変える(共著、小学館)」ほか、大学などで講演多数。
公式ホームページ
- 関連記事
- 押してみないとわからない―遠藤ちひろ市議のベビーカー初体験@多摩センター(前編)
- 改修費用はひとり5万円!「第二のパルテノン多摩」は全国に―遠藤ちひろ多摩市議
- 【オムツと保育園1】汚れた紙オムツを持ち帰るなんて、冗談でしょ!?
- 【オムツと保育園2】布から紙へ、時代のあだ花
- 【オムツと保育園3】日本初の試み、豊島区で4月から