【オムツと保育園2】布から紙へ、時代のあだ花 (2018/2/28 多摩市議会議員 遠藤ちひろ)
さて今そこにオムツ問題があるのはわかった。わずか1カ月前に気付いたくせに、鬼の首を取ったかの如くご近所のママにこの話を振ってみると、出るわ出るわ。
- オムツの中身を一度も見たことがないけど、匂いはすごい(30代 女性)
- 多少費用がかかっても、処分してもらいたい(30代 女性)
- 衛生の面からもオムツは園で処理すべき。持ち帰ってから開けるわけでもないし、一戸建ての場合はゴミの日まで家の中で保管しておかなければならない(30代 女性)
うーん、「赤ちゃんの便をチェックしてほしいから持ち帰ってもらっている」という園側の説明よりは、どう考えてもママたちの声に分があるよな。
私が赤ん坊のころはどうだったのだろう。私自身の母親も保育士だったが、私の使用済みおむつを自宅に持って帰ったのだろうか。
いや、その頃は紙おむつなんてなかったな。布おむつだから園で洗って再利用するしかない。…そう、実はこの問題は紙おむつ VS 布おむつ論争にも深く関わっていたのだ。
紙オムツと布オムツ
このオムツ問題は正確に言うと「紙オムツ問題」なのである。元来は、ほとんどの乳幼児が布オムツを使っていた。業者に委託するか、園で洗うかはともかく再利用が大前提だったため、今話題になっている使用済み紙オムツの持ち帰り問題は存在しなかった。
近年の高性能紙オムツの隆盛に伴い、持ち帰り問題が社会課題として生まれてきたというわけだ。
従って今でも布オムツを使っている保育園では、汚れたオムツを業者さんが回収し、洗濯して戻すシステムが主流である(その費用は親が負担する)。
なるほど、そうなるとこの紙オムツ持ち帰り問題は、布オムツから紙オムツへと変わっていく境目に咲いた、時代のあだ花的要素があるのかもしれない。
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著者プロフィール多摩市議会議員 遠藤ちひろ(えんどう ちひろ) 1976年茨城県生まれ。早稲田大学在学中に人材開発ベンチャーを起業。同社代表取締役を務めたのち、2010年に多摩市長選挙に出馬。惜敗するも翌年多摩市議会議員選挙に歴代レコードでトップ当選する。現在2期目。著書に「市議会議員に転職しました。ビジネスマンが地方政治を変える(共著、小学館)」ほか、大学などで講演多数。
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