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今の投票制度に不自由を感じているすべての人に、ネット投票の可能性を示すべき (2018/4/24 政治山)

 去る4月18日、東京・永田町で開催されたセミナー「インターネット投票の実現に向けて-諸課題と検討状況」(インターネット投票研究会主催、情報通信政策フォーラム共催)には、与野党・衆参の枠を超えて7人の国会議員が登壇し、その中で立憲民主党の中谷一馬衆議院議員は、以下のように述べました。

利便性の改善と生産性の向上

――インターネット投票の導入について、どのように考えるか。

 インターネット投票は利便性の改善と生産性の向上といった観点から、検討を進めるべきだと考えている。これは国会議員になる前から取り組んでいることで、立憲民主党の中でも議論を主導していきたい。

 エストニアの事例が参考になるため月末に視察に行く予定だが、若者の投票率だけでなく高齢者の利用率が高いことにも注目している。投票所に行くのが困難な人、在外邦人や障害者、離島や山間部に住む人などに対しても大きな効果が期待できる。

 投票機器の導入等は早期にも可能かもしれないが、そのシステムを人々が使いたいと思えるか、セキュリティをどのように高めていくか、きちんとした制度設計が必要だ。

中谷一馬 衆議院議員

中谷一馬 衆議院議員

紙の投票とは当面併存すべき

――ネット投票を導入したら、紙での投票はできなくなるのか。

 現行の投票用紙を用いた投票とインターネット投票は、当面は並存すべきと考えている。韓国ではマークシート式を導入しているが、既存の投票方法にも効率化できるところはある。昨年の衆院選では、投票日に台風が来るということで、期日前投票所に3時間も人が並んで、結局投票せずに帰ってしまう人がいたというケースもあった。

 心配される高齢者等のネット利用のリテラシについては対応が必要で、エストニアでも電子政府を進めていく初期段階では高齢者向けに学習機会を提供していたし、韓国では世帯にパソコンがない場合に貸し出したりしている。そういった政府の取り組みに加え、子どもや孫に教わるケースも多く、段階的に不要となりつつあるようだ。

 選挙にかかるコストについては、紙の投票よりもネット投票の方が抑えられると考えている。インフラやハード面での初期費用はかかるものの、いったんシステムを構築してしまえば費用は下がっていくが、紙の投票では投票所の運営など場所と人にかかるコストはなかなか圧縮できない。徐々にネット投票に切り替えていくべきではないだろうか。

中谷氏(右)と鈴木隼人 衆議院議員

中谷氏(右)と鈴木隼人 衆議院議員

正しい情報提供と、確かな民意を届けるシステム作り

――選挙情報のオープンデータ化について、そして誰のためにネット投票を実現すべきと考えているか。

 選挙情報のオープンデータ化は神奈川県議時代から主張してきたことだが、選挙公報を作っている段階でほとんどの候補者がテキストデータを持っているのだから、それを候補者が届け出られるようにすればいい。任意でも構わないが、候補者としてより多くの有権者に情報を届けるのは当たり前のことだと考えている。テキスト化が難しいイラストや画像についても、本人が一番わかっているのだから本人が説明すればいい。

 今の投票制度に不自由を感じているすべての人にとって、ネット投票は役立つ可能性を持っている。民主主義の健全な発展、民意を届ける確かなシステム作りに努めていきたい。

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