官民連携で災害対応力の向上を―『災害時における共助の活用の手引き』公開 (2025/7/29 政治山)

日本財団は、全国の自治体職員を対象に、災害発生時における官民連携を推進するため、『災害時における共助の活用の手引き』を新たに作成しました。本手引きは、被災地における行政と災害NPOとの連携事例を整理・体系化したもので、災害対策基本法の改正や防災庁の設置に向けた動きを踏まえ、官民連携における被災地支援の加速化および自治体の災害対応力向上を目的としています。
激甚・頻発化する日本の災害。被災した自治体によっては、災害対応が初めてとなることや、経験やノウハウが蓄積されていないことから、被災地の復旧・復興には混乱がつきものでした。本手引きでは、被災地で官民連携により支援が実現した10事例を掲載。当時における官民の各担当者へのヒアリングを通じて、実施に至るまでの時系列や連携体制図が明らかにされたほか、災害支援に関する用語解説や災害対応の全体像を示す俯瞰図、平時の官民連携体制を構築するための参考となるコラムなどが掲載されています。災害対応に関わる行政職員や民間支援団体の方々に広く活用され、地域の防災力および災害対応力向上に資することが期待されます。
今回の発表を受けて、日本財団の担当者は以下のように述べています。
「本手引きの整備は、自治体向けの実践的なマニュアルとしては国内初の画期的な取り組みとなった。最新の知見として能登半島地震での道路警戒体制や効率的な炊き出し運営の事例を詳細に分析し、加えて近年被害の甚大化が深刻な問題となっている豪雨災害や台風被害に見舞われた各地域の対応事例も幅広く収集して編纂している。
全国の幅広いエリアの自治体職員や災害NPOによる、実際の災害現場で培われた経験と知識が、今後の防災・減災対策の向上に貢献することを目指している。過去に災害を経験した被災自治体とNPOとのさらなる連携に留まらず、南海トラフ地震による甚大な被害が想定されている地域を中心とする『未災地』における事前準備としての活用にも期待したい」
■「災害時における共助の活用の手引き」の利用について
・ダウンロード申請フォーム(外部サイト)
・掲載事例
道路啓開 / 石川県珠洲市(令和6年能登半島地震)
炊き出し / 石川県珠洲市(令和6年能登半島地震)
在宅被災者 / 北海道厚真町(平成30年北海道胆振東部地震)
住家後背地の崖崩れ / 佐賀県唐津市(令和5年7月九州北部豪雨)
宅地内、住家内の土砂 / 熊本県球磨村(令和2年7月豪雨)
雨漏りする家 / 千葉県鴨川市(令和元年房総半島台風)
溢れる災害廃棄物 / 岡山県倉敷市(平成30年7月豪雨)
圃場に堆積する土砂 / 長野県長野市(令和元年東日本台風)
広域避難先からの帰還 / 茨城県常総市(平成27年9月関東・東北豪雨)
子どもの居場所 / 石川県輪島市(令和6年能登半島地震)
■関連リンク
災害対策事業(外部サイト)
https://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/disaster_recovery
■お問い合わせ
日本財団 災害対策事業チーム
メールアドレス:saigai@ps.nippon-foundation.or.jp
- 関連記事
- 西日本豪雨災害から1年、復興のなかで生み出された自治力
- 多発する災害 77.6%が不安、国の防災対策 80.9%が不充分―18歳意識調査
- 南海トラフに備え、救援活動のための図上訓練を静岡で実施