第9回マニフェスト大賞
大学に投票所を―投票につなげる松山市選管の啓発活動 (2014/12/10 愛媛県松山市選挙管理委員会)
政治山では、地方自治体の首長・議会の先進的な取り組みや、地域主権を支える市民の活動を表彰する「第9回マニフェスト大賞」を受賞された皆様から、取り組みの概要や経緯、今後の展望などを寄稿いただきます。今回は優秀ネット選挙・コミュニケーション戦略賞 審査委員会特別賞を受賞された愛媛県松山市選挙管理委員会による「大学に投票所を-投票につなげる松山市選管の啓発活動」をご紹介します。
『利用してみたい』を形に―キャンパス投票所
松山市では、2013年参院選から私立松山大学キャンパス内期日前投票所(以下「キャンパス投票所」)を開設し、学生との協働とSNSでの広報を絡めながら若年層の投票率向上を図っている。キャンパス投票所は、投票者を獲得するだけでなく、学生との協働の場として、そして大学内外の若年層に向けた選挙情報の発信拠点として機能する。いわば、若年有権者向けの「キラーコンテンツ」である。
キャンパス投票所の開設に向けまず取り組んだことは、学生の有権者数とニーズを把握することであった。アンケート調査などの結果、7割以上の学生は「キャンパス投票所があれば利用してみたい」と思っていることが分かった。また、同大学は国立愛媛大学と隣接しており、局所的に若者が多くいる地域にある。これらにより、大勢の利用者が見込まれると判断し、大学と協議のうえ開設に至った。
キャンパス投票所の開設と同時期にfacebookページを開設し、投票所の利用促進とセットでPRを行った。ハード面での期日前投票所、ソフト面でのfacebookというコンテンツは、ともに若年層向けのものであり、抱き合わせでPRすることにより、投票率向上への相乗効果を狙った。
結果、キャンパス投票所の利用者数は、2013年参院選で652人、2014年市議選で723人であり、市内27カ所の期日前投票所のうち、20~22歳の期日前投票利用者の5人に1人は、キャンパス投票所を利用している。投票率は、それぞれ前回の選挙と比べると、他年代の投票率は低下したが20代前半は向上するという成果を得た。
若者主導で選挙啓発―選挙コンシェルジュ
期日前投票所の運営などに「学生の意見」を取り入れようと、松山大学の学生を2014年2月に「選挙コンシェルジュ」(以下「コンシェルジュ」)として認定し、同年4月執行の市議選に向け活動を開始した。
コンシェルジュは男性1人、女性3人の計4人、年齢は20~23歳で、週に1回程度の活動とした。4人の主な活動内容は、「キャンパス投票所の設置準備」「大学内で配布する啓発物資の企画」「選挙公報のPR企画」「商店街で流す選挙CMの企画・出演・撮影・編集」などである。そして、これらの活動を市選管facebookに投稿して報告するほか、コンシェルジュ自身が普段利用しているSNSで友達などに発信し、情報の拡散を狙った。
11月16日に執行された愛媛県知事選挙・松山市長選挙では、隣接する愛媛大学でも期日前投票所を開設し、2大学で投票可能という環境を整えた。それに合わせて選挙コンシェルジュの増員を図った。大学間・学生間で「協力」「競争」関係を生み出し、facebookその他様々な媒体を活用し、多くの学生を巻き込んだ活動を展開している。
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