第8回マニフェスト大賞
世代や立場を超えたマニフェスト推進運動のさらなる展開を (2013/12/5 ローカル・マニフェスト推進ネットワーク九州 神吉信之氏)
地方自治体の首長・議会の先進的な取り組みや、地域主権を支える市民の活動を表彰する「第8回マニフェスト大賞」のグランプリと各最優秀賞の発表が11月1日、東京・港区の六本木アカデミーヒルズで行われ、8部門16作品が表彰されました。政治山では受賞された皆様から、取り組みの概要や経緯、今後の展望などを寄稿いただきます。今回はマニフェスト賞(市民)審査委員会特別賞を受賞されたローカル・マニフェスト推進ネットワーク九州の神吉信之氏です。ローカル・マニフェスト推進ネットワーク九州はマニフェスト型公開討論会のパイオニア。「九州方式」と呼ばれる統一フォーマットを利用し、誰にでも書けて比較しやすいマニフェストづくりを普及させるとともに、現在も若者の政治への関心の掘り起こしなど、政治参加の啓発・推進運動のトップランナーです。
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取り組み概要
2005年の設立以来、07年東国原知事が誕生した宮崎県知事選、佐賀県知事選、福岡市長選など、約50自治体の首長選挙70回以上のマニフェスト型公開討論会のサポート。09年の阿久根市議会選挙など地方議会選挙で7カ所。マニフェスト検証・評価では、佐賀県知事、熊本市長、山口市長など30回以上(約25自治体の首長マニフェスト。特に福岡県では市レベルで半数以上)を各地の青年会議所や市民団体と一緒に手がけてきている。
マニフェスト型自治体経営では、熊本県御船町をモデルとするべく協力。ほか、熊本県人吉市、福岡県八女市、長崎県平戸市など10自治体以上で研修や勉強会等を行う。また、福岡、鹿児島など各地での推進大会やフォーラムも多数主催・協力。09年からは市民と議員の条例づくり交流会議in九州を1年おきに開催協力し、議会改革にも携わっている。
取り組むことになった経緯や抱えていた課題
もともと公共政策に関するNPOで政治家などを招いての議論や選挙時の公開討論会を推進していたことから、2003年マニフェスト元年の統一地方選時の福岡県知事選で新人候補のマニフェスト作成に関わる。そのことを通して政策主体の選挙や自治体ガバナンスのためにマニフェストが必要と感じ、東京で北川さん(北川正恭・早稲田大学マニフェスト研究所所長)に、市民側からマニフェストを推進する必要性を説いたところ、「じゃあ、九州ではあなたが推進しなさい」(笑)と言われたのがきっかけ。
「どう書いていいのか分からない」と、当初公開討論会参加に難色を示す候補予定者が多かったことから、生まれたのが九州方式と言われる統一フォーマットでした。表面は、現状認識⇒ビジョン⇒優先順位。裏面は、テーマごとに、行財政改革、地域経済活性化策、医療・福祉、養育など、期限と財源を伴って書いてもらう。一通りフォーマットを埋めると、マニフェストが完成する。共通のフォーマットなので比較もしやすい。九州でのマニフェスト普及に、このフォーマットは一役買ったと思われます。
取り組みの裏話(苦労した話や気を付けた点)
当初は、保守系の候補者から「マニフェストは民主党が推進しているんでしょ」と言われることがしばしば。それを払拭するために「○×さんのようなバリバリの保守でもマニフェストは書いていますよ」(笑)と良く言っていました。県知事や政令市の首長が推進していると説きやすいので、積極的にアプローチしました。また、意義も含め、作成のポイントにおける説明や一定期間の作成のサポートも行っています。
検証に関しては、最近はそうではありませんが、行政機関に協力を求めると「それは政治マターなので・・・」と、行政サイドからの協力が得難い場合があるので、まずは首長を落とし(笑)、トップダウンで行政サイドへの協力を求めています。
大きなポイントとしては、市民サイドからアプローチする場合、得てして市民側のメリットしか強調しない傾向があるので、首長、行政にもメリットがある。また、議員にもメリットがあることを説きながら推進しています。
今後の展望や目標
本年度は特に若者の政治参加を促すため「若者が考える日本の未来予想図(=マニフェスト)」と題し、参院選の福岡選挙区や長崎県平戸市、御船町等でSNSを活用した参加型ネットフォーラムを共催。参院選でのフォーラムでは「政治山」さんにもご協力をいただき、ネット上で若者の視点で議論を展開。ドットジェイピー福岡支部主催の学生議員インターンによる「政策立案コンテスト(プランナー)」もサポート。このような若年層における政治参加を推進するとともに、2015年の統一地方選に向け、再度マニフェスト選挙・政治の推進のため九州各地で推進フォーラムを開催する、などを行っていきたい。
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