進む円安、おびえる韓国ウォン 株式会社フィスコ 2013年11月26日
外国為替市場で円相場の下落が進んでいます。きのう25日には対ドルで6カ月ぶりの安値となる1ドル=101円91銭を付ける場面がありました。日銀の黒田総裁が2%の物価目標について、下振れのリスクが高まれば必要に応じて(政策を)調整すると述べたのをきっかけに、日銀による追加緩和期待が再燃。ここ数週間はヘッジファンド勢にとって円ショート(売り持ち)取引が盛んに行われているもようです。
一方、米連邦準備理事会(FRB)は量的金融緩和の縮小を来年3月までに開始するとの観測が強まっています。早ければ今年12月にも縮小がスタートするとの意見もありますが、市場参加者の間では“3月縮小説”が依然として優勢です。
投機筋は、来年には米国が緩和の出口を探る一方、日本は緩和策を一層深める方向に動くと予測。日米金融政策の方向性が逆方向に動くとの見方が円売りを後押ししているという構図が形成されています。ちなみに、ドイツ銀行はアベノミクスとFRBの金融政策正常化の影響で、ドル・円相場が1年後には1ドル=120円に達する可能性があると指摘しています。
さて、円安の進行を最も恐れているのが、お隣の韓国です。韓国は輸出立国とあり、自国通貨ウォンの上昇はサムスンやLGなど財閥企業の輸出の足かせになりかねません。特に日本企業と競合する部分の多い韓国にとって、対円でのウォン上昇は競争力の低下、引いては経済成長の鈍化につながる一大事です。
前日25日の韓国為替市場ではウォンの対ドル相場がいったん上昇後に下げに転じました。対円でのウォン上昇が韓国当局によるウォン売り介入をもたらすとの懸念が下げの背後にあるようです。
企画財政部(日本の財務省に相当)の玄オ錫(ヒョン・オソク)長官は25日、当局が外国為替相場を注視し、ウォンのボラティリティ(変動率)をモニターしているとの“口先介入”を実施。これより先、韓国当局は「一方的なウォン相場の流れに対して対策を取る」とも警告しており、こうした当局の態度がウォンの上値を重くしています。 (フィスコ・リサーチ・レポーター) <RS>
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