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【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(1)◆騒然とした週明け◆  株式会社フィスコ 2017年5月21日

警戒材料目白押し、米株動向がカギ

先週12日に発生した世界規模のサイバー攻撃は「150カ国で20万件以上の被害」と伝えられた。「週明けに多くの企業が仕事に戻ると、被害がさらに拡大する恐れがある」とされ、仏ルノー工場が生産停止に追い込まれるなど、米市場オープンまで緊迫感が漂う。

今朝にも二発目か!との観測もあった北朝鮮のミサイル発射は、「新型中距離弾道ミサイルの発射実験に成功」との発表に止まった。が、中国の国際イベント(習主席が最も力を入れた一帯一路フォーラム)に重なり、韓国新大統領就任5日目での発射強行だ。しかも、日本海には米空母カール・ビンソンが依然展開中(先制攻撃と受け止められるリスクがある)で、着弾地点はロシアよりとされる。小康状態にあった北朝鮮情勢に再び緊迫感をもたらす恐れが大きい。

東芝が当初予定の22日から繰り上げ、本日、東証の自主ルールに合わせ暫定決算を発表する予定と伝えられる。監査法人との対立で4月に一時監査作業から離脱する事態に至っていたことが明らかになり、「監査無し決算」の異常事態に追い込まれている。加えて、カギとなる半導体事業売却で、対立する合弁相手のWD(ウェスタン・デジタル)が国際仲裁裁判所に売却差し止めの仲裁申し立てを行った(4月の分社化も撤回を主張)。事実上の決算発表最終日(金融機関が中心)で、日本企業の業績続伸を謳いたいところだが、東芝の行方を固唾を飲んで見守ることになる。週末に報道された日本郵政の野村不動産買収(野村不動産は東芝不動産を買収しているので、両方に絡む「西室案件」と呼ばれている)などのニュースはインパクトとしては弱いものになると思われる。

12日の米株はS&P500が1カ月ぶりに続落した。週間ベースでも4週ぶりに下落した。ナスダックは史上最高値更新基調だが、NYダウは3月1日の史上最高値(終値ベース2万1115ドル)を抜けず、ダブルトップ(二番天井形成)懸念が出始めている。市場の不安感を一掃できるかどうかは米株自身がカギと考えられる。米国地区連銀は個別にGDP予測を毎週発表している。普段フォローしていないが、12日の発表では、アトランタ連銀の予測モデル「GDPナウ」が第2四半期年率3.6%、NY連銀「ナウキャスト」が同1.9%と倍近い開きとなった。長期に及ぶ(雇用増で79カ月、約6年半)米景気回復に峠懸念があり、その見方が分かれていることを裏付けている。今週発表の住宅統計、鉱工業生産などの経済統計に要注意となろう。

トランプ政権は4%成長を目指しており、経済失速感が強まると、FBI長官強行更迭による「ロシア・ゲート」事件化と増幅し、リスク回避ムードを強める恐れがある(米国政治には、ロシア以外にも中国、イスラエル、サウジなど多くが激しいロビー活動を行っており、ロシアだけを問題視するのは釈然としない面があるが、メディアの反トランプ姿勢が勢いづいている可能性がある)。1カ月先の米FOMCでの利上げシナリオに向かっての揺り戻し相場の一環(したがって基調変化までには至らない)と受け止められるが、予断を許さない状況と考えられる。

以上

出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/5/15号)

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