NYの視点:FRBメンバーは景気過熱を警戒 株式会社フィスコ 2017年3月30日
トランプ政権による医療保険制度改革(オバマケア)撤廃の失敗で、減税やインフラなど景気押し上げ策の実現も難航するとの警戒感や1−3月期の低調な経済指標を受けて、市場の米国の利上げペース加速の思惑がいったん後退しつつあった。そんな中、米連邦準備制度理事会(FRB)の2名のメンバーが利上げペースを加速する必要性を指摘した。
ボストン連銀のローゼングレン総裁は経済の過熱を回避するためには一会合おきの利上げで、本年4回の利上げが必要だと主張。物価や資産価格が潜在的な過熱の兆候を示唆していると加えた。経済は強まっており、データが見通しから大きく外れない限り、FOMCは6月には追加利上げの準備ができるだろうとした。3月の連邦公開市場委員会(FOMC)で発表された四半期のスタッフ見通しで17名のメンバーが年内、4,5回以上の利上げを予想していたが、そのうちの1人と見られる。
ローゼングレン総裁はFRBの2つの責務である雇用とインフレが年内にも目標を達成すると見ている。また、米サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁も上向きリスクを考慮すると3回以上の利上げの可能性も除外しないとの見方を示した。
ただ、両総裁は2017年度の投票権を有していない。投票権を持つシカゴ連銀のエバンス総裁は、年内あと1回もしくは2回の利上げを支持すると慎重派。また、FOMCの中で、イエレンFRB議長、ダドリーNY連銀総裁とともに影響力のあるフィッシャー米FRB副議長も、FRBの見通しは昨年12月以降それほど変わっておらず、年内あと2回の利上げがおそらく妥当だろうとの考えを示した。フィッシャー副議長は見通しにいくらか財政の影響を考慮していたようだが、先週のトランプ政権のオバマケア撤廃の失敗で見通しの試算をいくらか修正する必要があるかもしれないと、利上げペースを加速する必要はまだないとの見方を維持した。
トランプ米大統領はワシントンで30日、いくつかの税制改革案を提示する予定。期待感からドルは下げにくい展開が予想される。
<SK>
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