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NYの視点:今週の注目:FOMC、BOJ、米予算、G20、オランダ選挙  株式会社フィスコ 2017年3月13日

関連ワード : 金融経済 

今週は主要各国中央銀行の金融政策に注目。米連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)、英国中銀、日本銀行、スイス中銀も金融政策決定会合を予定している。米FRBはFOMCで0.25%ポイントの利上げを実施する見込み。本年初めて。今回の会合では、イエレンFRB議長の記者会見やFOMCスタッフの金利、経済、インフレ予測が発表され、年内の利上げペースを探る。さらに、米国では、金融政策決定に重要な要素となる生産者物価指数(PPI)、消費者物価指数(CPI)、小売売上高の2月分が発表予定。また、2月の雇用統計でも賃金の伸びが依然低迷しており、労働市場のスラックが存続していることが明らかになったが、イエレンFRB議長が労働市場のスラックを判断する上で重要視している2月JOLT求人件数にも注目が集まる。

米国の新労働相の承認が遅れる中、金融政策の鍵を握る米国の最新の雇用統計では賃金の伸びがいまだに不十分で、市場はFOMCの年3回の利上げ見通しに依然懐疑的見方を維持している。ただ、本年に入り雇用が予想以上に増加しており、トランプ大統領への政策期待に企業が自信を強め雇用ペースを拡大している証拠となった。いずれ、賃金の伸びにもつながると期待される。

FOMCの平均の金利見通しは年3回。イエレンFRB議長を初めFOMCメンバーの半分はトランプ政権による政策がいまだに「不透明」だとし、予測に反映させていない。このため、企業が自信を強め雇用を増加している証拠を受けて、今後、金利や成長見通しを引き上げ、利上げペースを加速させる可能性もある。イエレンFRB議長は半期に一度の議会証言において、「雇用のオーバーシュートを回避したい」と言及しており、年3回と見ている利上げペースが加速される可能性も除外できない。

政治関連では米国政府が2018会計年度の予算発表を予定している。トランプ大統領は540億ドルの国防費増強すると同時に、非国防で同規模の支出を削減する方針をすでに表明している。予算ではさらに、南国境の壁建設のための費用を捻出していく。この中で、インフラ支出、税制策などが一段と明確化される可能性も期待されている。

また、ドイツのバーデンバーデンでG20中央銀行総裁・財務相会合が予定されている。ムニューシン米財務長官が初めて、出席。特に貿易や通貨問題に関する国際的な協力において、米国がどう対処するかを伺う展開となる。トランプ大統領は中国などが自国通貨を操作し製造業で有利にたっていると非難。貿易政策に関しても自由貿易を模索する中、より公平な協定に修正する必要性を強調している。G20共同声明では保護主義回避を公約する文言が削除されるとの報道もあるが、日本や欧州などは、G20で競争的な通貨戦争を避け、オープン貿易を共同声明で公約することが非常に重要だと考えている。

米国の利上げペース加速の可能性はドル高につながる。しかし、G20を控え、米国政府によるドル政策への不透明感が上値を抑制する可能性がある。ムニューシン米財務長官はG20で通貨中心の見解を表明する方針。貿易で優位にたつため自国通貨安を誘導しようとする国を米国を容認しないとのメッセージを打ち出す方針だという。

本年はポピュリズムが台頭する中、欧州での政治リスクを市場が警戒している。ドイツやフランスの選挙に先駆けて行われるオランダ選挙にも注目。オランダの選挙で、イスラム教徒の移民の排斥を掲げる極右政党が躍進すれば、このあと行われるフランスやドイツの国政選挙にも影響を与えかねず、欧州全体の不透明感が一段と深まることになる。

■来週の主な注目イベント

●G20
17−18日:自由貿易、為替が焦点に

●米国
14日:2月生産者物価指数(PPI):予想前年比+1.9%(1月+1.6%)、コアPPI:予想前年比+1.5%(1月+1.2%)
14−15日:連邦公開市場委員会(FOMC):予想:FF金利誘導目標レンジを0.25%引き上げ、0.75−1.0%へ
15日:米国政府は予算発表、2月小売売上高:予想前月比+0.1%(1月+0.4%)、2月消費者物価指数(CPI):予想前年比+2.7%(1月+2.5%)、コアCPI:予想前年比+2.2%(1月+2.3%)
16日:2月JOLT求人件数(1月550万件)

●欧州
14日:米独首脳会談
15日:任期満了にともなうオランダ議会下院選挙

事前の世論調査では、移民の排斥を掲げる極右政党「自由党」が高い支持、イスラム教徒の移民の排斥を掲げる極右政党「自由党」は15%の支持、現在の議席を倍増させる勢い。連立政権を率いる中道右派の「自由民主党」は支持率が16%にとどまり、議席を大幅に減らす見通し

●英国
16日:英国中央銀行:金融政策決定会合、金融政策(金利0.25%、資産購入目標4350億ポンド)据え置き

●日本
15−16日:日銀:予想:金融政策(政策金利(当座預金)‐0.1%、10年物国債利回り目標0%)据え置き、黒田日本銀行総裁会見

●地政学的リスク
ガザ紛争
イラク、イスラム過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」
シリア
イエメン
トルコ

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