~日本経済を揺るがすリスク要因~
特集「参議院議員選挙2013」
2013参院選の展望と相場予測(3)
~日本経済を揺るがすリスク要因~
(2013/7/3 株式会社フィスコ)
安倍政権の死角 自民大勝で全てがバラ色になるわけではない
安倍政権の死角は、国内要因では、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加による農業部門への処遇、ネジレ国会の終焉を受けた倒産予備軍の破綻処理加速、国外要因では、対中国・韓国の領土問題が想定される。
<国内要因>
・農業部門の処遇
環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加への対策として、農業部門への補償規模が膨大になる可能性があることで、財政負担の増額、債券市場への売り圧力が懸念される。
・大規模倒産予備軍
参議院選以降は、大型倒産の懸念が高まることで、株式市場の下落、ドル・円相場の連れ安のリスクもある。
<国外要因>
・領土問題を受けてアジアでの日本製品不買運動
尖閣諸島問題を契機に、中国と日本の関係悪化で昨年夏に見られたような反日デモや日本製品不買運動などが発生する可能性はある。また、韓国とも同様である。
2006年から2007年の第一次安倍内閣の際には、それまでの小泉政権で悪化したアジア情勢に配慮して靖国神社への参拝を見送ったが、昨年9月の党総裁選候補者による共同記者会見で安倍氏は「首相在任中に参拝できなかったことは、痛恨の極み」とコメントしている。もちろん、首相就任前で一国会議員としての発言であることから、この時点ではさほど波紋が広がることはなかった。
今年の靖国神社の春季例大祭では、首相は真榊(まさかき)の奉納に留めているが、内閣No.2の麻生太郎財務大臣が一般参拝、そして、超党派議連の「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」による参拝者は1989年以降最多の168人。こうした動きに対して、中国、韓国は瞬時に懸念を表明。その後は、お互いの閣僚の訪韓、訪日が突如キャンセルという自体に陥っている。
安倍晋三首相は4月の参議院予算委員会で、安倍内閣の閣僚らの靖国神社参拝に中国や韓国が反発していることに関して、「国のために尊い命を落とした英霊に尊崇の念を表するのは当たり前だ。我が閣僚はどんな脅かしにも屈しない。その自由は確保している。当然だろう」と述べている。こうした姿勢は、選挙の結果を大きく左右する無党派層からの支持も得やすい。春季例大祭での靖国神社への参拝は見送ったが、今後、終戦記念日に参拝するかどうかを大きな注目となる。
これまで、安倍晋三首相を中心とした閣僚などの言葉によって支えられてきた株式市場ではあるが、参議院選挙で自民党が圧勝すると、今まで控えていたことを一気に推し進めるのではないかとの見方がある。
市場関係者は、昨年8月から9月にかけて発生した中国での日本企業に対する暴動や、日本製品不買運動による日本車の売上急減などをはっきりと記憶している。「緊張の夏」再来となれば、アジアで展開している銘柄を中心に日本株への売り要因なる可能性に注意しておく必要がある。
- 株式会社フィスコは、投資支援サービス等を提供するプロフェッショナル集団です。2013年4月19日に、インターネットを使った選挙活動を解禁する公職選挙法の改正に伴う新たなコンテンツ提供を発表し、各政治家の発言要約や影響分析のコンテンツ提供を開始しており、その付加価値向上に取り組んでいます。