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調査は「政治家と市民のコニュニケーションツール」―事前調査の重要性とは (2018/10/31)

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 選挙となれば候補者の瀬踏みから当落の票読みまで、様々な調査が行われますが、その結果は調査会社によって千差万別。最近では世論調査と選挙結果の乖離が話題になることも珍しくありません。いったい何が調査の正確性を分けているのでしょうか。20年以上選挙調査に携わっているグリーン・シップの田中明子(たなかあきこ)社長にお話をうかがいました。

株式会社グリーン・シップの田中明子社長

株式会社グリーン・シップの田中明子社長

大手企業・政党だけではなく中小企業・一議員でも生の声を聞くことができるように

――はじめに、御社はなぜ選挙調査を始めたのですか?

【田中氏】 もともと世論調査や意識調査は大手メディアや大手企業にしか実施できないコストがかかるものでした。そのような中、政治家が地域の人々の課題意識等をうまく吸い上げられていない現状があることを知りました。

 コストの高止まりにより、中小企業や政治家が利用できない。労働集約型から切り替えて、より多くの企業や政治家が人々の生の声を聞けるようにしたいという想いから、調査に取り組み始めました。

――御社はどのようにして、中小企業や政治家が利用できるようにしたのですか?

【田中氏】 自動音声によるオートコールです。

 従来では、オペレーター人員を多く抱える必要があり、結果としてコストが非常に高くなっていました。しかし、自動音声によるオートコールで電話をかけることで、少ない人員で多くの電話調査ができるので、コストを下げて中小企業や政治家に提供できる価格を設定できました。

 その上、オペレーターによる調査と、自動音声によるオートコールでは、驚きの調査結果が出ました。

オペレーターによる調査よりも自動応答の方が正確な声が聞ける!?

――どのような調査結果だったのですか?

【田中氏】 選挙後に後追い調査を実施したのですが、オペレーターによる電話調査よりも、自動音声によるオートコールの方が、かえって選挙結果を正確に反映させていたのです。その精度は、実に95%でした。

――それは凄いですね。要因はなんだったのですか?

【田中氏】 調査結果によると、オペレーターによる電話調査の方が「自分の気持ちを初めて話す人に伝えたくない」といった気持ちが強くはたらく一方、オペレーター側はコール件数のノルマがあるため、投票に行かない人の声まで収集してしまうことで、実際の投票結果と大きく結果がずれてしまう、ということがわかりました。

 オートコールだと、嫌なら切ればよいし、受け手の心理的負担が少ない。有権者の意見も誘導されない。受動的ではなく能動的な意思を反映できる、それが特徴だと考えています。

 また、最大1000万件/日というオペレーターにはできない量を、選挙区ごとに投票と同時間帯9時~20時に万遍なく調査を実施することで、回答者の年代・性別の偏りを防ぐことができます。

 そのため、大手メディアの調査も受けており、衆院選・参議院の調査、全選挙区調査も数多く実施しています。

田中明子社長2

――具体的に、どのような調査が行われているのでしょうか?

【田中氏】 最近では、福祉なのか災害対策なのか…という自分の選挙区の政策ニーズを、限られた期間の中で、より多くの市民の声を聴くために調査を実施した候補者がいました。結果としては、思っていたものと真逆の結果が出たため、調査結果に基づき公約を作成したら当選できた、という事例があります。

 素晴らしい議員さんは、日ごろの活動が命。駅頭とかも地域の意見を聞く機会として活用してPDCAのようにサイクルを回している方は、やはり声がわかっているからこそ、その重要性を理解して調査を活用しています。

調査は、政治家と市民のコミュニケーションツール

――実際に調査を行っても、なかなか調査結果を政策や行動に反映させるのは難しいですよね?

【田中氏】 はい、やはり、結果を見てもらうだけでは、理解しづらかったり、誤った対応をされる方がいらっしゃいます。

 私たちは、「調査は政治家と市民のコミュニケーションツール」だと思っておりますので、調査結果だけではなく、地域ごとに希望政策や各候補者支持率だけではなく、どの地域にどれだけの未決定者がいるのか、優先アプローチ地域順位までご報告しています。

優先アプローチ地域順位のサンプル

――実際に調査を実施する陣営は増えていますか?

【田中氏】 はい。今はどぶ板だけでは勝てなくなっています。ベースとなる有権者の意識・要望・不満がどこにあるのかを捉えないと本質的には勝てません。組織的選挙は確かにありますが、浮動票の割合は約4割はあるので、その浮動票を取れるかどうかで全然変わってきます。

2019年統一地方選挙における調査も20万円(税抜)~にて対応しております。

ロボットコールセンター

スマホ対応やインセンティブ設計で乖離を防ぐ

――今後の調査のあり方、課題についてお聞かせください。

【田中氏】 海外では、イギリスのEU離脱の国民投票の結果が、世論調査と大きく乖離したり、トランプ現アメリカ大統領が選挙の際の世論調査でも、世論調査と大きく乖離する…といったように、世論調査の精度とあり方が問われてきていると思います。

 海外メディアはバイアスが強いということもあり、日本の世論調査は世界でも類を見ない精度を維持していると思います。ただ、それも回答してくれる協力者の方々がいるからです。電話は受けられないよ、となってしまったら、調査はできません。

 世論調査は、政治家と国民をつなぐ、非常に重要なコミュニケーションツールです。実際に内閣世論調査などは政権運営に影響を及ぼしています。生活を変えられるのは政治家であることは言うまでもありませんが、国民の評価がないと政治は暴走し始めます。

 正確性が担保された世論調査が行われることで、国民と政治の緊張関係を維持していくために今後もより「正確性」と「安心」、「回答しやすさ」を向上させる取り組みを進めたいと思います。

――最後に、御社の今後の取り組みについてお聞かせください。

【田中氏】 固定電話保有世帯の減少により固定電話のみでの世論調査ではバイアスがかかっている状態ですので、携帯電話への世論調査の取り組みを進めています。現在、回答いただくと、募金団体に当社が寄付をする、寄付型のスマホへの調査を行っています。

 固定電話を持たない若い世代の声をいかに政治に届けるか。もっと政治を身近にするため、工夫していきたいと思います。

株式会社グリーンシップ

株式会社グリーン・シップ
【本社】東京都千代田区平河町1-7-15
柳下フラッツビル3F
TEL:03-4405-7163(平日10:00-19:00)
FAX:03-6675-9735
https://www.green-ship.co.jp
【設立】2008年11月7日
【資本金】7,615万円
【従業員数】6名(2018年8月1日現在)
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