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北のミサイル発射、習主席訪問に“はしゃぐ”韓国へのけん制か 米紙分析  ニュースフィア 2014年7月1日

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北朝鮮は29日、今年3回目となるミサイル発射実験を行った。2発の短距離弾道ミサイルが日本海に着弾したが、被害はなかった。海外各紙は、これを中国の習近平国家主席の訪韓に対する抗議の意味を込めた瀬戸際外交との見方を強めている。また、ウォールストリート・ジャーナル紙(WSJ)は、日本との間で再開した拉致被害者返還交渉にも影響を与えると見ている。

【拉致問題の進展を「反故にしかねない」】
 各紙の報道によれば、同日午前5時ごろ、2発のスカッドタイプの短距離弾道ミサイルが北朝鮮南東部の沿岸から発射され、約500km飛行した後日本海へ着弾した。安倍晋三首相は、政府に情報収集と状況の分析を急ぐよう命じたが、今のところ船舶等への被害は確認されていない。

 日本と北朝鮮は最近、拉致被害者の消息の再調査を行う方針で合意している。日本政府は、北朝鮮側の調査報告の内容によっては、経済制裁の一部解除も検討している。1日には北京で両国政府の実務者協議が行われる予定だ。一方、今回のミサイル発射について、日本政府は北京の外交チャンネルを通じて北朝鮮に抗議した(WSJ)。

 同紙は、こうした状況下でのミサイル発射を「(日本との)取引を反故にするトリッキーな戦略」と批判。同時に、日本が拉致問題に絡めて経済制裁を一部でも解除すれば、「北朝鮮の核・ミサイル開発に対する国際社会の圧力に反する行為と受け止められるだろう」と、懸念している。

【中国の「親韓路線への転換」に抗議か】
 今回のミサイル発射の主要な狙いは、3日に予定されている習主席訪韓への抗議の現れだという見方が強い。これまでの歴代中国首脳は、朝鮮半島訪問の際には韓国よりも北朝鮮を優先してきた。習主席は初めてそれを覆し、平壌よりも先にソウルを訪問する。FTは、ミサイル発射を「後ろ盾であったはずの中国の(北朝鮮)軽視に対する明らかな反応」と表現している。

 NYTは、3月に安倍首相、オバマ大統領、朴槿恵(パク・クネ)大統領がハーグの核安全保障サミットで会談した際にも、北朝鮮が中距離弾道ミサイルの発射実験を行った前例を挙げる。そして、「北朝鮮のミサイル実験は近隣諸国が北朝鮮問題の協議を行う際に、政治的インパクトを与えるためにしばしば行われる」と指摘する。

 今週の習主席と朴大統領の首脳会談でも、北朝鮮問題が主要な議題となる見込みだ。同紙によれば、韓国メディアは習主席の訪韓を「伝統的な同盟国である北朝鮮を捨て、韓国を優先するという中国の方向転換のサインだ」などと、早くも軒並み「はしゃぎ立てている」という。ミサイル発射は、そうした韓国世論への牽制とも受け止められている。

【今回の発射実験は「特に挑発的」】
 ミサイル発射から一夜明けた30日には、北朝鮮は拘束している2人のアメリカ人旅行者を起訴する方針を発表した(NYT)。

 拘束されているのはマシュー・ミラー氏(24)とジェフリー・フォウル氏(56)。ミラー氏は4月10日に平壌に到着した際に北朝鮮への亡命を要求し、当局の係官の前で観光ビザを破り捨てるという「ばかげた態度」を取り、身柄を拘束されたという。フォウル氏のケースは詳細は不明だが、「旅行者として我が国を訪れる目的に沿わないこと」をし、「北朝鮮市民の法を侵した」とされている。NYTが北朝鮮メディアの情報として伝えた。

 今回のミサイル発射は、こうして日米中韓それぞれと懸案やぎくしゃくした関係を抱えている中で行われた。それだけに、これまでと比べても「特に挑発的だと各国に受け止められている」とNYTは記している。

提供:ニュースフィア

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