【社会】なぜここまで大問題に? 製薬大手ノバルティス不正論文事件、家宅捜索へ NewSphere(ニュースフィア) 2014年2月21日
東京地検特捜部は19日、血圧降下剤「ディオバン」の不正論文事件で、スイスの製薬会社ノバルティスの日本法人ノバルティスファーマを家宅捜索した。同社には1月、誇大広告のかどで厚生労働省から訴状が出ていた。
バルサンタンの不正論文
同社はディオバンの広告に、その成分であるバルサンタンについての、2007年東京慈恵医科大学らの論文を引用していた。
論文の内容は当初から不自然と疑われており、のちにデータ改ざんや、同社元社員・白橋伸雄氏(昨年退職)が身分を隠して研究に関与していたことが発覚。論文は撤回されていた。
バルサンタンに降圧効果があることは確かであったが、それとは別に脳卒中や心臓病の予防効果があることを示すため、ライバル薬より好成績であったバルサンタンの降圧成績を、あえてそれらと同程度に改ざんしたとされている(血圧が下がれば脳卒中や心臓病は自ずと起こりにくくなるため、そのままでは比較が成り立たない)。
同社は当初、こうした不正への関与を否定していたが、のち認めるに至り、コンプライアンス体制の強化を約束した。家宅捜索を受けて同社は、捜査に全面協力すると表明している。
有罪となれば2年以下の懲役か200万円以下の罰金、またはその両方に処せられるが、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は「比較的軽い」量刑だと評している。
主力商品と重要市場
ロイターは、日本はスキャンダル前にはディオバンの世界販売の約4分の1を占めていた重要市場で、2005年以降は年間1000億円以上を売り上げていたと報じている。
ウォール紙は、2010年には(ノバルティス本体かノバルティスファーマか不明確だが)同社のベストセラー商品であったが、その後特許切れで売り上げが低迷し始めていたところ、さらにスキャンダル発覚で大打撃を受けたと報じている。昨年7~9月期の売上高は220.3億円で、2012年同期から16%減、2011年同期からは24%減となっていた。同社は現在、抗がん剤アフィニトールや多発性硬化症薬ジレニアに賭けているという。
関連記事
米司法省、東洋ゴム工業など23社に独禁法違反で巨額罰金 さらに拡大の可能性も
ソニースマホ、国内1位も世界7位に転落 逆転のカギは反日感情の克服?
サントリー、1.7兆円の巨額買収で、世界3位の蒸留酒メーカーへ その背景とは?
“サムスンは砂場のいじめっ子のよう”ダイソンへ約10億円の損害賠償請求を海外紙批判
スポティファイ、新サービスでは“ミュージシャンへのサポート”を重視へ 背景にあるストリーミング市場の実態とは
2年でモデル数倍増!? BMW、アウディ…各自動車メーカー多彩化戦略の背景とは
グーグル対アップル、次は「自動車」で対決か?